今回は誰にしようと昭和45年度の大映社員名簿を見ていて、最後まで大映に在籍してい
た目黒幸子さんに目が止まりました。村田知栄子さんや町田博子さんらと同様に、大映
東京撮影所製作の作品には、殆どといっていいくらい交代で三人の女優さんの名前が出
てきます。名前だけでは覚えがないという方も、この写真を見れば納得する筈です。しか
も調べていて昨年の10月に亡くなられていることも知り、この私が愕然としています。
目黒幸子さんは東京出身で大映4期のニューフェイスです。同期の俳優さんは彼女の他
に北原義郎、中条静夫、早川雄三らが居ますが、存命者は北原義郎さんのみで寂しい限
り。彼女のデビュー作は昭和24年(1949)の「愛染草」(監督・田中重雄)で、昭和46年(1971)
に大映が倒産するまでに約120本くらい出演していて、「浅草の肌」「浅草物語」「あにいもう
と」「馬賊芸者」「浅草の夜」「赤線地帯」「穴」「夜の蝶」「氷壁」「巨人と玩具」「かげろう絵図」
「女は二度生まれる」「化身」「黒の試走車」「嘘」「妻の日の愛のかたみに」「闇を裂く一発」
など、列挙し始めたらキリがありません。
昭和30年(1955)に当時助監督だった井上芳夫監督と結婚しましたが、大映倒産後の昭和
56年(1981)に離婚したそうです。芸熱心な人で大映在籍時に会社の了解をとり、三島由紀
夫の浪曼劇場に参加していたのですが、三島由紀夫の自刃により解散、大映後は劇団NL
Tに入団して舞台での活動が主となっていました。平成27年(2015)10月8日に骨髄腫と老衰
のため亡くなりましたが、若いころから太極拳が特技というユニークな女優さんでした。