夜のバス

時刻表通りにバスは来ない。　いつものことだ。
アルコール含みの街へ出る時、タクシー料金の１／７という安さからバスで出かけるのだが、一番バスに乗る機会が多いのは忘新年会シーズン、つまりは真冬な訳で、５分？　１０分？　酷い時は２０分遅れなんてこともある。　誰だって待つことは嫌だろうが真冬のバス停となると本当につらい。　冷たい金属板の時刻表を見ては何度も腕時計に目をやる。　バスはまだ来ない。　そんな凍てつく寒さの中ではじっとしていられない。　子供の頃うすっぺらい長靴を履いて足踏みしていた真冬のバス停を思い出す。　あの時も手足がかじかんで、自然と足踏みモードになっていたっけ。　

バスが来ると最後列のいつもの席に座る。　たぶん赤字路線なんだろう、勝手に決めてる指定席に座れなかったことは一度もない。　今夜のバスは比較的新しい車体のようで少し残念、クレオソート油？の滲み込んだ枕木のような黒っぽい板の床が残る古いバスの方が好きなんだ。　基本的に物質の構成分子はＣＯＨ（炭素・酸素・水素）が多い方がいい。　途中から改良？変更されたパーツ、無機質な近代の設備はどうも好きになれない。　クレオソートがカラダに良くなくたってバスの床は板材でなきゃダメなんだ（笑）

終着点まであと２停留所というところで、駅前通と昭和通の交差点渋滞にバスは行く手を阻まれ殆ど動かなくなってしまった。
時計の針は１８時４０分、もう既に待ち合わせの時間だ。　あと５００メートル、諦めて歩くことにする。

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