かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

密教の水源をみる

2011年07月26日 | Books


古本市で、何気なく買った清張さんの本から、病みつきになって、これで、何冊目?
でも、これが、今の私の興味に一番FITした本だった。
AMAZONの古本で、100円だったが、元は、1984年の発行で、2100円。アベノセンタービルの天地という古本屋で、1500円で取引され、巡り巡って私の手元に今ある。

本の題名は、すごく学術的に見えるが、テレ朝か何かの企画で、清張さんが、空海や、密教に関係のありそうな中国と、インドの地を、巡った写真付き紀行文といってよい。
ただ、その中に、清張さんの持論が、たっぷり披歴されており、とても興味深く読める。

面白いのは、当時の中国から仏教や、密教を伝えた人々を、リアルに、客観的に見つめていることだ。
例えば、唐招提寺の鑑真さんは、中国ではほとんど無名。記録にものほとんど残っていないという。確か、名僧を招聘したのではなかったか?
6回目の渡日でやっと成功したが、視力を失ったことになっているが、東夷伝が伝えるのみで、大げさに書いただけではないか?
鑑真さんの渡日の話は、その他の日中の史料を研究した結果、虚構と断じるのである。

空海の能力の高さは、認めているが、唐に行ったのも正式な遣唐使として行った訳ではなく(これは知られている)、また密教を持ち帰ったのも、偶然に近いとする。その他の仏教は、既に日本で知られており、一方、最澄が、天台宗を学ぶ明確な目的を持っており、日本でまだ誰も知らなかった真言宗に飛びつき、正式な遣唐使ではなかったから、すぐに帰国し、日本に真言宗を広めることができたと分析する。
さらに、当時の密教は、まだ確立されておらず、道教と同レベルの呪術的なものと、中国ではとらえられていたという。

インドに行くと、ますます話は、展開。まず、私などとは違うのが、ペルシャ、キリスト教等、インドの西方の宗教や文化や言語との比較がそこここでなされることだ。
私などは、インドから東という観点でどうしても見てしまう。

そして、極めつけは、インドにおける密教の位置づけに関するお考えだ。

「中国で成立した密教が、この『ウパニシャッド』の師弟口伝という「秘密の教義」からその継承手段のヒントを得たことは容易に想像がつく。その奥伝の師資相承的な形式は、やはり善無畏や龍樹らが中国へ持ち込んだものを思われる。
日本で「密教」は「顕教」(仏教の既成諸派)に対蹠しての謂だが、「密教」の原形は「秘密の教義」にある。密教を「秘密仏教」などど解するのは誤りである。」

かなり大胆な言いようである。

「『大日経』は七世紀半ごろにナーランダー寺でつくられた可能性が強く、それを補強した『金剛頂経』がそれよりやや遅れて同寺でできたらしい。してみると仏教とバラモン・ヒンドゥ教とを合成してもの、仏教でもなくバラモン教・ヒンドウ教でもない「第三のインド宗教」が、小規模ながらナーランダー寺の学僧によってつくられたと見るべきであろう。
その「第三のインド宗教」がインドにひろがらなかったのは復興したヒンドゥ教の猛威のために仏教も消滅したくらいだから、仏教よりももっと狭い範囲の中でわずかに存在した「第三のインド宗教」は、壊滅した。そうしてそれが八世紀の壊滅直前に中国へ輸出されたのである。」

こう見て来ると、密教は、仏教の一部であるという考えを、根本から見直さざるを得なくなるのである。何と!
チベットの密教の様子をご覧になった後のお考えをもお聴きしたかったが、流石に高山病には弱く、今回の取材でも、ラダックには、同行しなかったそうだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぶらりインドその7 デリー国立博物館その6

2011年07月25日 | India・Sri Lanka・Nepal・Bhutan・Uzbekistan

ノルウェーの事件は、驚いた。平和の典型みたいなイメージの国だったのだが、どの国にも影の部分はある。それにしても、犯人は、どうやってあれだけの武器を入手できたのだろうか。
驚いたと言えば、中国の高速列車事故。こちらは、人災の色彩が強い。しかも今回の事故の教訓を生かす風でもなく、車両は、埋めてしまったと報道されている。信じがたい話だが、この事故の記憶もすぐに薄れて行くのだろうか。私だったら、少なくとも数年は乗る気が起こらない。上海の、リニアモーターカーも、今から思えば怖かったな。



Lady with mirror, Prathihara, 10 AD, Gwapor, Madhya Pradesh
鏡を持った娘、プラシハラ?、10世紀、グワポール?マディヤプラデーシュ州



Sri Lakshmi ( Goddess of wealth and consort of Vishunu ), Kushana, 2AD, Jamalpur Mathra, Uttar Pradesh
ラクシュミ(豊饒の女神、ヴィシュヌ神の妻)、クシャナ朝、2世紀、ジャマルプル、マトゥラー、ウッタルプラデーシュ州



Saptamatrikas ( Seven divine mother), Prathihara, 10 AD, North India
サプタマトゥリカス?、7人の神々の母、プラシハラ?、10世紀、北インド



Lintel showing trinity ( Brahma, Vishunu and Shiva ), Western Chalukya, 11 AD, Karnataka
三神一体(ブラフマ、ヴィシュヌ、シヴァ)の楣、西チャルキア朝、11世紀、カールナタカ州



Flying Celestids, Early Western Chalukya, 7AD, Alholc, Karnataka
飛天、早期西チャルキア朝、7世紀、アルホルク?、カールナタカ州
日本の飛天にもつながるものなのか?



Triphan Kara ( a Jain Patriarch), Pallara-Cholla Circa, 10 AD, South India
トリファンカラ(ジャイナ教の創設者)、ポララ・チョーラ頃、10世紀、南インド



Descent do Buddaha( founder of Buddhism ), Pala, 11AD, Eastern India
ブッダ(仏教の創始者)の降臨、パーラ朝、11世紀、東インド

自分でもよくわかって書いていないので、写真を中心にお楽しみを。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

松本清張の日本史探訪

2011年07月24日 | Books
今日で、アナログ放送が終わった。生まれながらのテレビっ子世代としては、感慨深い。
奇しくも、FTVでは、27時間TVの日。東北復興というテーマもあって、結構盛り上がっている。そういえば、オールスターも仙台で開催された。
FTV開局の日生まれの私としては、時代の変わり目の立会人になった気もする。
放送が終わった後の、アナログ放送のメッセージの寂寥感は、何だ?



松本清張さんの日本史探訪を読んだ。
こちらも、オムニバス形式の本だが、全ての対談に、松本さんが加わっているので、看板に偽りなし。
テーマは様々で、卑弥呼の時代から江戸時代まで。対談相手は、超一流ばかり。

面白かった。昭和45年から52年にNHKで放送された番組の、ダイジェスト版らしい。
面白い訳だ。

特に面白かったのは、大岡越前と伊能忠敬のところ。

大岡越前に関わる逸話には、インドの話とか中国の話とか、その後の話とか、いろいろ混ざっているそうだ。では、単なる偶像かというと、裁判の迅速化に代表される司法制度の近代化に、大きく貢献したのだという。

伊能忠敬については、井上ひさしさんの小説でも読んだことがあったが、56歳から72歳にかけて、後にイギリス人を驚嘆させるほど精度の高い日本地図を完成させた。
地図を作るというのは、とにかく地味な仕事だそうで、とにかく、飛行機の無い時代、こつこつやるしかないのだそうだ。それも、当時の平均寿命を過ぎてから始めたのだからすごい。
地図が海岸線中心になっているのは、当時の政情(黒船がいろんなところに現れる)によるという。国防目的が強かったのだ。
これといった才能の無い一般人にとっては、伊能忠敬さんの生きざまなど、結構参考になるかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

久しぶりの伊豆

2011年07月23日 | Other Eastern Japan
今日は、久しぶりに伊豆に来た。
夏休み最初の週末だが、が過ぎ去ったせいか、さわやかな過ごしやすい1日になった。
外では、鶯まで、鳴き出した。
富士山も、夏には珍しくご覧の通り、くっきり。
今日、登山した人は、さぞかし絶景を満喫されたことだろう。
ところで、アナログ放送もいよいよ終わる。
デジタル難視聴地域だった東伊豆も、小室山にサブ電波搭ができ、改善されてきている。
たた、この電波搭は、静岡の電波を流している。一方、この地域の人は、従来、東京からの電波を使っていた人が多い。東京から地デジの電波を受けようとすると、やはり弱い。特に、私の好きな?NHK教育が。
スカイツリーが稼働すると、電波も強くなるらしいから、期待したい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

THE COMPLETE GUIDE TO THE BEATLES' UK RECORDS

2011年07月22日 | The Beatles



すごい、超マニアックな本が出た。
UK版にこだわって、ちょっとづつだが、集めている私には、ぴったりの本。
日本人による、UKアナログについての解説本。イギリス人もびっくり?

説明も、まさに、核心をついていて、アナログマニアには、必須の本。
一方、一般人には、何じゃこれ?という内容かもしれない。

”これまで初版を探す糸口としてアナログ版に刻印されたマスター音源の整理番号、マトリックス・ナンバーが重要視されたいたが、最近はそれだけではなく刻印されたアルファベット番号が、実は、1,2、3,4,5,6,7,8,9,0をG、R、A、M、O、P、H、L、T、Dに置き換えたマザー/スタンパー番号であることがわかり、また新たな識別ポインントが加わった。つまり”G”が1番目のスタンパー番号で、”GTM"なら194番目ということになるが、通常1枚のアセテート盤からは3,4枚のマザー盤が作られ、さらに各スタンパーが作られ、さらに各スタンパーから2~3,000枚はプレスできることから、初盤を判断する基準として本当に意味があるのは、ビートルズの場合はファーストアルバムしだけかもしれない。と言うのもそれ以降のアルバムは、最初から数十万枚も出荷枚数があったことから、最盛期には30万枚前後のマザー盤が最初から用意され、200枚前後のスタンパーで一斉にプレスして出荷していたことから、あまりスタンパー番号にこだわるのは意味がないからだ。”

何と奥深い。確かに、2枚目以降のアルバムの音を聞き分けるのは、難しいが、1枚目のPlease Please Me は、プレスが早いのと遅いのでは(マトリックス・ナンバーが若いのと、そうでないものとは)、音がかなり違う。アナログならではの醍醐味?と言える。

スリーブの解説、レーベルの各パーツの詳説、その他UKアナログのデリバティブについての解説。Those are what I want.

現在は、UKシングル(モノ中心)を、気が向いたらGETしているのだが、今後は、本書を見ながらの収集になるだろう。

入手の難易度によって、*~*****の5段階に格付けされているが、****のものも結構持っていたので、ちょっとうれしい。流石に、*****のものは、なかった。
このクラスだと、ちょっと手が届かない。というか、ほとんど出物がない。
まずは、所有しているものが、本書に紹介されているアナログ盤のどれに位置づけられるのか、チェックしたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする