何か、毎週どっか行ってるようで、アップが追い付かない。
と言いつつ、また本の話。
東京人という雑誌は、買ったことがあっただろうか。
横浜人だから、別に買ったことがなくても、全然おかしくないのだが、このような充実した特集が組める雑誌であれば、特集記事によっては、買ったことがあってもおかしくない?
井上ひさしさんは、高校の先輩(菅原文太さんと並んで当時から有名だった)だから、当然、親しみを持っているし、展覧会などにもよく行った。
しかし、本書を見ると、それらの作品群から知ったことの、何十倍もすごい人であることがわかる。
小説や、演劇など、完成品を見ることが当然多いのだが、そのための、制作メモ、推敲の様子、取材記録など見ると、気の遠くなるような努力を重ねて一つの作品が出来上がっていたことがわかる。
そのため、遅筆堂などと言われていたのだが、本人は、作品のクオリティのみが唯一の関心事だったのだろう。
私の井上作品とのつながりと、私と特集記事に出てくる話とのつながりについてちょっと。
井上作品について、そう多く触れていたわけではない。
ただ、ひょっこりひょうたん島は、欠かさず見ていた(その前のブーフーウーも)。本書によると、その映像はほとんど残っておらず、見ていた人の残したメモが作品内容を手繰る大きな材料になっているようだ。
当然それが、井上作品と知るのはずっとあとのこと。
そういえば、親が、まだNHKセンターが日比谷にあるころ、見学に連れていってくれて、そこにひょっこりひょうたん島の人形が展示されていたのを思い出した。思ったより、大きいイメージだったかな。
そして、高校時代の青葉繁れる。まさに、母校をネタにした小説で、ちょうど在学中に、映画化され、草刈正雄や、秋吉久美子がロケに来た。
この映画は是非もう一度見たいのだが、残念ながら、DVD化されていない。
大学に入ったころに吉里吉里人が出て、分厚い小説であったにも関わらず、珍しく読んだ。
中央に対して、反骨精神をお持ちなのかなと思ったかな。よく覚えていない。
新宿区に住んでいたころ、頭痛肩こり樋口一葉という演劇があって、紀伊国屋ホールへ見に行った。考えてみると、こまつ座の旗揚げ公演か、その再演だったようだ。
面白かったし、単なるユーモアだけではなく、まさに芸術を感じた。
生前に最後に読んだのが、伊能忠敬の小説だったと思う。大河ドラマ化を期待しての作品だったようだが、残念ながらその夢はまだ果たせていない。
まだまだ楽しませてもらえると油断をしていたら、がんであっけなく亡くなられてしまった。
ご存命であったら、OB会にも遊びに来てもらいたかった。
本書に登場する話で私に関連する話としては、まず井上麻矢さん。こまつ座を仕切っておられ、OB会に顔を出していだいたこともある。本書を読むと、なかなかすごい家庭環境であったことがわかる。
ひょっこりひょうたん島と、吉里吉里人についての寄稿は、片岡力さんという方だったが、読み進むと、なんと、高校の3年後輩!従い、寄稿の内容も、私の目線に極めて近い。
樋口陽一さんは、高校の大大先輩。井上ひさしさんと同級になるが、これほど井上作品にお詳しいとは、恥ずかしながら、存じ上げなかった。
井上ひさしさんが初代館長を務めた仙台文学館の館長は、今は高校の1年後輩の方。本特集にも多くの資料を提供されている。
そして、井上ひさしさんの新聞部の後輩である藤原作弥さんという方が、母校について寄稿をしている。
菅原文太さんが、新聞部の4年先輩で、井上ひさしさんが3年先輩だったというから恐れ入る。特に菅原文太さんは、父親が河北新報の記者だったということで、ひじょうに厳しかったという。とてもそういうイメージはないが。初代校長は、大槻文彦先生という大言海を著した人だが、井上ひさしさんは、図書館でそれを読破していたのだという。私が在学中の校長先生の先生時代のあだ名がエトロンだということは聞いていたが、その先生は、藤原さんの担任であり、そのあだ名の名付け親や、井上ひさしたちと伝わっているそう。いやいやびっくり。
すばらしい1冊。
特に、母校が同じ私にとっては。