酢豚のひとりごと

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『美しきものの伝説』

2010-12-20 17:27:58 | 演劇

「美しきものの伝説」 彩の国さいたま芸術劇場
作:宮本研、演出:蜷川幸雄

「美しきものの伝説」は何十年も前に文学座の舞台を見たことがある。冒頭で、たしか売り子に扮していた太地喜和子の迫力が印象に残っている一方、あまりの長さに途中で寝てしまった苦い記憶もある。

今回は蜷川幸雄が指導するネクストシアターによる若手俳優中心の舞台。
社会主義革命に燃える若者の熱気、演劇はいかにあるべきか、新時代に目覚めた女性たちの恋、内容は盛りだくさんである。
ただ革命を目指しているにしては、全体のトーンが明るくて、命をかけるという切実さが希薄に感じられる。女性たちの恋もさらっと通り過ぎる。
演劇と社会性の問題がセリフに一番説得力があったと思うが、全体に中途半端な感じは否めない。

大杉栄・伊藤野枝と聞いただけで、血がたぎる世代ならともかく、若い人には人間関係を把握するだけでも時間がかかったに違いない。パンフレットに丁寧な説明があるのはその辺も意識してのことだろう。

さいたまネクスト・シアターは今回が第二回目の公演。演技面では「真田風雲録」に比べて格段の進歩であることは間違いないのだが、その分荒削りの魅力は消えた。

今回三方に席がある形だったが、逆の一番上の席に太田緑・ロランスに似た人がいた。「審判」「失踪者AMERICA」「「表に出ろいっ!」など最近つづけさまに舞台を見ているので本人かどうかちょっと気になった。

公演は12月26日まで