酢豚のひとりごと

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『ザ・ダイバー』

2009-09-11 11:48:45 | 演劇
「ザ・ダイバー」 東京芸術劇場(池袋)小ホール1 

「ザ・ダイバー」は元々野田秀樹がイギリスで上演のために書いた作品。その英語版は昨年日本でも上演された。
今回はその日本バージョン。出演は野田秀樹、大竹しのぶ、渡辺いっけい、北村有起哉。

大竹が元カレの野田とどんな演技を見せるか、ミーハー的興味もある舞台。

不倫相手の子供二人を放火で殺してしまう女ユミ(大竹)。精神科医(野田)は多重人格の症状を示す女から、事件の真相を聞きだそうとするのだが・・。
陰の女が正妻へ怨みを抱く話自体は珍しくないが、能の「海人」や「源氏物語」を絡めるところが、野田の卓越したところ。

英語版ではその色づけが上手くいったとは思えないが、日本版では見事にはまっている。例えば「源氏物語」から引用されるセリフの数々が耳に心地よいのだ。

大竹しのぶは多重人格を無理なく演じ分け、英語版のストイックなキャサリン・ハンターとは違うユミを演じる。野田秀樹も押さえた演技で存在感をしめし、北村有起哉の源氏の演技もはまっている。渡辺いっけいはもう少し力を抜いて演じた方が笑いをとれたのではないだろうか。

ともかく英語版では言葉の壁でわかりにくかった部分もすんなり入れ、面白く見ることができた。