『黒猫』 作・演出:奥秀太郎。
初台の新国立劇場の小劇場で、千秋楽を見た。
舞台の上はテーブルと四脚の椅子だけ。机の上には眼鏡が一つ。他の電灯や本箱、窓、時計それに二階の窓のところに黒猫がいるが、すべて映像による。
野田秀樹の「THE BEE」で映像を担当した奥秀太郎の演出らしいスタート。
映像は舞台の進展にともない街や工場などにどんどん変化。列車も走る。
エドガー・アラン・ポー原作『黒猫』をアレンジし、日本に舞台を置き換えたもの。工業都市の廃虚ともみえる団地に住む真知子を中心に話は進む。
真知子役は藤谷文子。生き生きした時の表情は目が輝いてすごく魅力的なのだが、けだるい時の演技が素人っぽく見え落差が激しい。本人はその時々の気分の変化をつけているつもりだろうが、うまくいっていない。男出入りが多く、同僚の子供を殺してしまうような女にしては、妖しさや激しさが不足で、行動がいま一つ説得力に欠ける。
手塚とおるは廃虚の写真家で死体が塗り込められた壁のことを証言するのだが、それまでの登場理由があいまい。個性的な役者さんなので、真知子を愛する六という刑事(戸田昌宏)ともっとからませば面白かったのでは。
話の筋に物足りなさはあるが、映像や音楽が効果的に使われ刺激的な舞台には仕上がっている。
奥は「残酷で絶望的、悲惨で救いようのない物語を作りたい」と言うが、何度も登場する宅急便の配達は、最近の殺人事件が思われて違う意味で不気味だ。
初台の新国立劇場の小劇場で、千秋楽を見た。
舞台の上はテーブルと四脚の椅子だけ。机の上には眼鏡が一つ。他の電灯や本箱、窓、時計それに二階の窓のところに黒猫がいるが、すべて映像による。
野田秀樹の「THE BEE」で映像を担当した奥秀太郎の演出らしいスタート。
映像は舞台の進展にともない街や工場などにどんどん変化。列車も走る。
エドガー・アラン・ポー原作『黒猫』をアレンジし、日本に舞台を置き換えたもの。工業都市の廃虚ともみえる団地に住む真知子を中心に話は進む。
真知子役は藤谷文子。生き生きした時の表情は目が輝いてすごく魅力的なのだが、けだるい時の演技が素人っぽく見え落差が激しい。本人はその時々の気分の変化をつけているつもりだろうが、うまくいっていない。男出入りが多く、同僚の子供を殺してしまうような女にしては、妖しさや激しさが不足で、行動がいま一つ説得力に欠ける。
手塚とおるは廃虚の写真家で死体が塗り込められた壁のことを証言するのだが、それまでの登場理由があいまい。個性的な役者さんなので、真知子を愛する六という刑事(戸田昌宏)ともっとからませば面白かったのでは。
話の筋に物足りなさはあるが、映像や音楽が効果的に使われ刺激的な舞台には仕上がっている。
奥は「残酷で絶望的、悲惨で救いようのない物語を作りたい」と言うが、何度も登場する宅急便の配達は、最近の殺人事件が思われて違う意味で不気味だ。