goo

「グラントリノ」

 WOWOWで録画してあった映画「グラントリノ」を見た。

『長年一筋で勤め上げたフォードの工場を引退し、妻にも先立たれた孤独な老人ウォルト・コワルスキー。いまや、彼の暮らす住宅街に昔馴染みは一人もおらず、朝鮮戦争帰還兵の彼が嫌ってやまないアジア人をはじめ外国人であふれる通りを目にしては苦虫をかみつぶし、亡き妻に頼まれたと、しつこく懺悔を勧めてくる若造神父にも悪態をついては追い返す日々。自宅をきれいに手入れしながら、愛犬デイジーと72年製フォード車グラン・トリノを心の友に、お迎えが来るのをただじっと待つ退屈な余生を送っていた。そんなある日、彼が大切にする自慢の庭で、隣に住むモン族の気弱な少年タオと不良少年グループがもみ合っているのを目撃したウォルト。彼らを追い払おうとライフルを手にするが、結果的にタオを助けることに。タオの母親と姉がこれに感謝し、以来何かとお節介を焼き始める。最初は迷惑がるものの、次第に父親のいないタオのことを気に掛けるようになるウォルトだったが…』


 私にとってのイーストウッドは、「ダーティーハリー」だ。映画監督としての評価はかなり高いが、『チェンジリング』はあまり面白くなかった。もちろん私ごときが文句を言ったところで彼の評価が落ちることなどないが、もっと評価の高い『グラントリノ』は劇場で見そびれただけにいつか見たいと思っていた。WOWOWでクリンイーストウッドの作品がまとめて放映される日が先日あったので、これを逃すわけにはいかないと録画しておいたものを、日曜の夜に見たのだ。
 普通日曜の夜はビールをしこたま飲んでいて、とてもまともな状態ではなく、録画してある映画やDVDを見始めても途中で眠ってしまうこともよくあるが、この「グラントリノ」は違った。なんにしてもイーストウッドが渋い。御年何歳になるのかは詳しくないが、首筋の皺を見ればだいたいの年齢が分かる。かつてのアクション俳優として老いさらばえた姿をスクリーンに晒すのは抵抗があるように思うのだが、そんなことなどまるで関係なしに現在の己の姿を正直にスクリーン上で披歴していることに感動を覚えた。確かにかつてのしなやかな動きはないが、年齢を重ねた重厚さがそれを補って余りある。彼が話す一語一語が、たとえ俗語まみれであっても、心に響いてくる。
「すごいなあ」
 松田優作が生きてたら、こんな感じで私たちの心を打ったのかもしれないなあ、と思った。

 だが、信じられなことが起こった。残り10分ほどのところで突然録画が終わってしまった。ちょうどクリントイーストウッドが銃でハチの巣にされるシーン。単身悪の巣窟に乗り込んだ、老イーストウッドがどういう始末をつけるのか固唾を飲んで見守っていただけに、この唐突な中断には驚いてしまった。私の部屋の録画機で録画したものをDVD-RAMにダビングして、それを妻の部屋で見ていたのだが、まったく事情が分からず困ってしまった。私の録画機からはもう消去してしまったので、きちんと録画予約がされていたのかどうか確かめることができなかった。2時間弱の映画なので、RAMの録画時間には問題はないし、タイトルからの録画予約もうまく行ったはずだ。なのに、どうして・・。
 そんなことよりも問題は、「グラントリノ」の結末だ。残り10分ほどだが、そのまま簡単に終わるはずがないだろう。あれだけ高い評価を受けた作品だけに、「暴力の連鎖」で話を終わらせているはずもない。そのあたりをしっかり確かめなくては、落ち着かない。DVDを借りてくるしかないよな・・。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする