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郵便局

 民営化された郵便局に行った。先月の終わりに行ったときには、「民営化直後は混雑が予想されますので・・」などという張り紙がしてあった。どうして混雑するのかよく分からなかったが、実際に行ってみたら駐車場が満車で停められなかった。興味本位で大した用事もないのに出かける人が多いのかな、と思ったりしたが、かく言う私自身もわざわざ用事を見つけて行ったようなものだから、多分そんな野次馬気分の人が多いのだろう。

 

 私が行ったのは、「特定郵便局」と呼ばれていた近所の郵便局だが、外側から見ただけでは今までと大きく違うところはない。ただ、入り口の扉に「JP」のロゴと、業務内容を細かく説明したシールが貼られているくらいが目立った違いだった。郵政民営化とは、「郵便事業・郵便貯金・簡易保険の3事業を扱っていたのが郵政公社であるが、その公社を民間企業化すること」らしいが、私のように世情に疎い者にはイマイチぴんと来ない。一緒に行った妻が、「ひとつの建物に、クロネコヤマトとUFJと東京海上が一緒にあるようなもんじゃない」と言っていたが、大きな郵便局ならそれでもうまく機能するかもしれないが、こんな小さな、職員が4,5人しかいない郵便局ではいったいどうやってそれぞれの業務を区別するのだろう。などと思いながら入っていくと、今までとまったく同じ職員が今までと同じように仕事をしていた。


 誰が贈ったのか分からない「祝・民営化記念」と書かれた胡蝶蘭が置いてあるのが目を惹くぐらいで、特に華やかな雰囲気はない。ぐるっと見回しても違った様子はないなあ、と思っていたら、妻が「TVがなくなっている」と言った。確かに長椅子の横にあったTVがなくなっている。「本当だ・・。経費節約のためなのかな」と私は答えたが、どうしてなんだろう。職員にたずねたかったが、新しい制服を着て忙しそうに動いている人たちの邪魔はできないと思って我慢した。もう少し落ち着いたら聞いてみよう。そう言えば、いつもいたガードマンのおじさんもいなくなっている、これも経費節約か・・。
 郵政民営化には、「過疎地域など採算がとりにくい地域では、全国一律のサービスが受けられなくなるかもしれない」という不安が常に付きまとう。また、私の子供たちが生まれたときから掛けていた郵便局の学資保険もなくなると妻が言っていた。我が家では、学資保険があったからこそ進学のために資金をこつこつと貯めることができたのに、それがなくなるのは若い親たちには辛いことだ。このように私たちが感じる不平や不満を挙げればきりがないだろう。はたして民営化事業が成功するかどうか、それは国民の立場に立ったサービスを常に提供し続けることができるかどうかにかかっていると思う。
 そんなことを思いながら用事を終えて出て行こうとした私を、「ありがとうございました」といつもよりも大きな声で送り出してくれた職員の気持ちがいつまでも続くなら、民営化もいい方向に進むような気がしないでもなかった。
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