議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

排出事業者のみの義務

2008年11月11日 06時09分28秒 | コンサル日誌
■排出事業者のみの義務
 セミナーで廃棄物処理法を解説するときによく言うのですが、契約書の作成もマニフェスト交付も排出事業者のみの義務です。つまり処理業者は、契約書を作成していない、又はマニフェストを受け取らないまま産業廃棄物を引き取ったとしても、廃棄物処理法上の問題は全くないということです。

■よくある運用
 契約書もマニフェストも、収集運搬業者などが印刷済みの雛形を持ってきて、排出事業者は「ハンコやサインをするだけでおしまい!!」という運用がよくあります。雛形をもらって運用すること自体は法的な問題はないでしょう。しかし、排出事業者は自分だけに課せられた義務であることを認識して、契約、マニフェストの内容を十分に確認する必要があります。記載ミスがあった場合、排出事業者のみがその責任を負います。とはいえ、「ハンコやサインだけでおしまい!!」、というのではそんな意識が薄れてしまうでしょう。できれば、どちらも自社で準備したほうがよいと思います。

■ちなみに・・・
 もっとも、「契約、マニフェストがないと引き取りをしない」という処理業者もいますし、行政も「排出事業者に契約、マニフェストの運用指導をしてください」と処理業者に言うこともあります。
 なお、処理業者は、マニフェストを受け取った場合には、適切に運用することが求められています。つまり、受け取ったときには返送するなどの義務が発生しますが、受け取らなかった場合の規定はないのです。

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4 コメント

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問題はまったくないと言い切れる根拠は? (異議あり)
2008-11-12 12:23:05
廃棄物処理法第29条では、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金になる行為として


第12条の3第2項前段の規定に違反して、管理票の写しを送付せず、又は同項前段に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして管理票の写しを送付した者

と規定されていますので、マニフェストをもらったかどうかに関わらず、運搬受託者にマニフェストの適切な運用を義務付けています。(処分受託者に関する罰則も同様)

第12条の3第2項には、「マニフェストの交付を受けた運搬受託者は」などと、運搬受託者の義務を軽減する規定がありませんので、マニフェストの運用は運搬受託者すべての義務と解釈するべきではないでしょうか。
(もちろん、専ら物の場合は話が別)

「マニフェストの交付を受けていない時は、マニフェストの運用をしなくても良い」という判例や通知があるのでしたら、お示しいただければ幸いです。
返信する
おっしゃるとおりです (堀口昌澄)
2008-11-13 00:12:19
異議ありさま

コメントありがとうございます。

マニフェストの交付そのものは排出事業者の義務ですが、交付されようとされまいと、運搬受託者はマニフェストを排出事業者に返送しなければならない、ということですね。記事では、「受け取った場合」に運用が求められているとしていましたが、不適切でした。お詫びして訂正します。

再度整理しますと、

【法第12条の3第1項】 要点
事業者のマニフェスト交付義務だけを定めている。運搬業者の義務はなし。

【法第12条の3第2項】 抜粋改変
「産業廃棄物の運搬を受託した者は、当該運搬を終了したときは、前項の規定(排出事業者はマニフェストを交付すべしと書かれた規定のこと)により交付された管理票に必要事項を記載し、管理票を交付した者に当該管理票の写しを送付しなければならない。」

 従って、廃棄物を引き取った際にマニフェストの交付を受けていなくても、その時点では問題になりません(法第12条の3第1項)が、その後の運搬終了時に困ったことになるのです(同第2項)。
 変な話ではありますが、すべての収集運搬業者は、排出事業者からマニフェストを交付されたかどうかは関係なく、交付されたマニフェストを返送しなければならないのです。「マニフェストがもらえなかったから、しょーがないじゃん」ではなく、もらうようにして、返送義務を果たすようにしないとマズイということですね。
返信する
異議なし (関係者)
2008-11-13 00:52:41
異議あり 様

>マニフェストをもらったかどうかに関わらず
→前項の規定により「交付された管理票に・・・しなければならない。」という規定です。
 排出事業者が「管理票を交付しない」場合、収集運搬業者は、どうやって存在しない管理票の写しを送付したり、記載をしたりできるのでしょうか?この質問の回答がわかれば、おのずと正解は出ます。

>マニフェストの運用は運搬受託者すべての義務
→「「交付されたマニフェスト」の運用は運搬受託者すべての義務」
と解するのが妥当です。

>「マニフェストの交付を受けていない時は、マニフェストの運用をしなくても良い」という判例や通知
→他ならぬ「法第12条の3第2項」です。よくよく熟読玩味してください。

 堀口様の記述に誤りがあるとは思いません。
返信する
みなさんのご意見を (堀口昌澄)
2008-11-13 05:56:31
 関係者様

 コメントありがとうございます。交付を強制できない運搬受託者は、交付を受けなければ義務の果たしようがない⇒その時点で義務を免除されるのか、そうではないのか、というポイントでしょうか。

 この点が争点になりうるということに触れずに記事を書いたのが、説明不足だったことは否めません。

 それにしても、これは意見が分かれる所なのかもしれません。絶対の正解はないのだと思いますが、他の方のご意見も頂戴したく。よろしくお願いします。
返信する

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