議論 de 廃棄物

環境・廃棄物問題の個別課題から問題の深層に至るまで、新進気鋭の廃棄物コンサルタントが解説、持論を展開する。

自治体が出しているモデル契約書の法令違反

2011年01月19日 00時08分23秒 | コンサル日誌
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T都がインターネットで公開しているモデル契約書では、契約の解除に
ついて以下のような表現となっています。

*******************
(契約の解除)
第14条 
~第1項省略~

2 前項の規定によりこの契約を解除するにあたって、この契約に基づき
甲から引渡しを受けた廃棄物の処理を乙が完了していないときは、
当該廃棄物を甲乙双方の責任で処理した後でなければこの契約は解除
できない。

~以下省略~
*******************

この条文には問題が2点あります。

【問題点1】
廃棄物処理法に違反していると思われます。

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2では「委託契約を解除した場合の処理
されない産業廃棄物の取扱いに関する事項」を契約書に記載しなければ
ならないとされています。しかし、上記表現ではこの記載をしているとは
言えません。

【問題点2】
業者が違反しても、問題を起こしても、すぐに契約解除できない。

例えば、改正法施行後、処理困難通知を受け取ったら、皆さんはどう
されますか?現場の確認、行政に相談、排出部門への通知、構内の
保管場所の確保、他の処理業者に受け入れ可能か相談、などの対処が
考えられます。そして、その処理業者との契約の解除をすることも
あるでしょう。

しかし、上記のような契約を締結していると、未処理の産業廃棄物を
引き上げるまでは契約を解除できないことになります。解除できない
のであれば、契約どおりの数量を処理委託しなければなりません。
もし契約書に100t/月と記載してであれば、未処理の産業廃棄物は
減るどころかどんどん積みあがっていき、契約解除はますますできなく
なるという悪循環に陥り、、、、なんてことにはならないでしょうが、
何かおかしくないですか?
4月以降の話になりますが、処理困難通知を受けたら委託をストップし、
産業廃棄物を引き上げるなどの措置を実施した後に、ようやく契約解除
のような事務処理をすることが多いのでしょう。でも繰り返しますが、
「なんてひどい業者だ、即刻契約解除だぁっ!!」ができないなんて、
やっぱり変です。

契約の解除をするとは、今後は委託しないということです。過去に委託して
しまったことについては影響しないのですから、契約解除のタイミングと
未処理産業廃棄物の扱いは、別で考えるべきです。

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■□■□■□■□■□■編集後記■□■□■□■□■□■□■□
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実は今回のネタ、過去に扱っています。こんなことに何度も触れたくは
ないのですが、法遵守を指導すべき自治体が出している雛形を用いると
法令違反になるわけですから、何とかしてほしいと思い、再度取り上げ
ました。
T都内でなくても、いろいろなところで見かけます。ぜひ見直してみて
ください。

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