近鉄の「1dayおでかけきっぷ」を使った御朱印巡り、今回は吉野です。
吉野は近鉄吉野線の終点にあり、春の桜や秋の紅葉で知られる景勝地です。もう一つの顔が修験道の聖地であること。吉野には金峯山寺があり、今も女人禁制を守る大峯山への入り口ともなっています。大峯山をはじめ黒滝村や天川村、さらにその先にある熊野などへの山道が続いており、足利尊氏に敗れた後醍醐天皇勢が南朝を置いたところです。
吉野へは阿部野橋からの特急または急行があります。
特急で1時間15分前後、急行で1時間30分少々です。橿原神宮前から吉野までの吉野線内では急行が各駅に停車し普通の代わりとなっており、特急もほぼ1駅ごとに停車します。吉野特急の特急料金はどこまで乗っても520円ですから吉野までなら特急に乗るのもいいと思います。座席の快適さが違いすぎることも理由で、案外お買い得なんです。
阿部野橋駅からスタート。
今日の特急もホームベース君でした。私の乗っている車両は発車間際に1名乗り込んだくらいでほぼ貸切でした。
ホームベース君の車内はこのような感じです。昔の「雷鳥」みたいな感じです。
南大阪線は藤井寺までは比較的妥当なルートをたどりますが、そこから先は地図で見れば明らかに不自然なルートを取っています。古墳の間を縫うように走り右に急カーブして道明寺駅に入り、次の古市駅でも無理な左カーブで橿原を目指しています。特急とてこの区間ではスピードが上がりません。
これは柏原-道明寺-古市-富田林というルートが最初にでき、ここから阿部野橋方向と橿原神宮前方向へ線路を延ばしたためです。恐らく大軌ならば藤井寺の先で緩やかに右カーブさせて古市まで真っ直ぐ線路を引いて立体交差させるはずで、建設資金に乏しかった大阪鉄道は無理があっても安上がりなこのルートを選ぶしかなかったのでしょう。
橿原神宮前からは単線になり急カーブや急勾配が続くため特急のスピードもがくっと落ちます。停車しても乗り降りするお客はなくドアもすぐに閉まります。吉野川の大鉄橋を渡ると吉野神宮で、次が終点の吉野です。
終点の雰囲気がある駅です。
吉野駅は谷底にあり、尾根筋にある金峯山寺など吉野のコアなエリアに行くには七曲がりという急な坂を上るかロープウェイで上るかになります。今回は一番奥の奥千本まで足を伸ばすためロープウェイの利用です。
ロープウェイは近鉄ではなく吉野大峯ケーブル自動車という地元資本の会社がやっています。ケーブルカーではなくロープウェイなんですがこれは英語のケーブルカーがロープウェイを意味するためです。
1929年開業という現存する中では最古のロープウェイです。戦前に存在したロープウェイの多くが戦時中に休止させられ金属製の支柱などは回収されていますが、こちらは生活用であったため営業を続けることができ、現役として90年以上使われ続けています。
ゴンドラも50年物で床面がフラットではなくケーブルカーみたいに段があり古い形態をそのまま残しているある意味貴重な存在です。ただ寄る年波には抗しきれず2017年から2年間運休となり、現在は火・水・木は全面運休し代行バスが運転されています。
結構揺れます。もちろんロープウェイも改良され最新のものは揺れにくいのですが、古い方式なので揺れるんですね。3分少々で山上に到着です。
山上に到着。一帯は「下千本」という吉野のいわば入り口で標高は300mほど。この先中千本・上千本・奥千本と続きます。奥千本の金峯神社の標高が760m前後なのでバスに乗って奥千本まで行き、歩いて下千本まで戻ってくることにします。
吉野山内のバスも吉野大峯ケーブル自動車が運行しています。現在は土日祝のみの運行となっています。マイクロバスが来ました。降りるバス停を申告し運賃前払いとなります。奥千本まで20分弱・500円かかります。
「最近はコロナでさっぱりです」とのこと。近鉄が「ガラガラの近鉄特急で吉野へ」とやっていることを話すと驚いている様子。かき入れ時の紅葉までに落ち着いてもらえれば、と話してくれました。
途中から人家の全くない林道に入ります。対向車が来れば怖いくらいの道ですが全く来ません。ひたすら上って勾配が緩くなったら奥千本に到着です。
人気のない場所で、バス停の目の前に金峯神社の鳥居があるだけです。
金峯神社は御朱印が頂けるらしいのでお参りに行ってみましょう。創建年などはかっきり分からないものの、藤原道長も参詣した記録があるそうです。吉野の地の神様である金山毘古命を祀っているそうです。
社務所に人影があります。お参りしてから御朱印をお願いしましょう。まわりには西行が隠遁した西行堂などがありますが近辺で普段人がいるのはこの社務所くらいだそうです。うしろでテレビの音がしていますので電気は来ているようですね。
金峯神社の御朱印です。
西行堂を薦められたもののこんな道で靴が合わず断念です。履いてきた靴では確実に滑ってしまうことでしょう。
ここからケーブル乗り場までひたすら下りが続きます。約5kmで標高差は400mあります。しばらく人家のない道を歩きます。いかに金峯神社がポツンとあるのかがよく分かります。ようやく人家が見えて吉野水分神社です。
7世紀頃の文献まで遡ることができるものの創建ははっきりせず、9世紀に現在地に移っています。秀吉が子宝祈願をしたところ秀頼を授かったため、秀頼の名で社殿を整備、これが今も残されており国の重要文化財になっています。
明治の神仏分離で金峯山寺から独立した神社となり現在に至っています。
境内は無人で御朱印は300円を小銭入れに入れて送り先をこのノートに書いておけば後日郵送されるそうです。時折判読できない字を書いている人がいるようで送られてきていない場合は連絡して欲しい旨ありました。
ここからまた人家が途切れ吉野の雄大な景色を見ながら坂を下ってゆくことになります。金峯山寺はまだまだ遠くにしか見えません。
今回はここまで。続きます。
吉野は近鉄吉野線の終点にあり、春の桜や秋の紅葉で知られる景勝地です。もう一つの顔が修験道の聖地であること。吉野には金峯山寺があり、今も女人禁制を守る大峯山への入り口ともなっています。大峯山をはじめ黒滝村や天川村、さらにその先にある熊野などへの山道が続いており、足利尊氏に敗れた後醍醐天皇勢が南朝を置いたところです。
吉野へは阿部野橋からの特急または急行があります。
特急で1時間15分前後、急行で1時間30分少々です。橿原神宮前から吉野までの吉野線内では急行が各駅に停車し普通の代わりとなっており、特急もほぼ1駅ごとに停車します。吉野特急の特急料金はどこまで乗っても520円ですから吉野までなら特急に乗るのもいいと思います。座席の快適さが違いすぎることも理由で、案外お買い得なんです。
阿部野橋駅からスタート。
今日の特急もホームベース君でした。私の乗っている車両は発車間際に1名乗り込んだくらいでほぼ貸切でした。
ホームベース君の車内はこのような感じです。昔の「雷鳥」みたいな感じです。
南大阪線は藤井寺までは比較的妥当なルートをたどりますが、そこから先は地図で見れば明らかに不自然なルートを取っています。古墳の間を縫うように走り右に急カーブして道明寺駅に入り、次の古市駅でも無理な左カーブで橿原を目指しています。特急とてこの区間ではスピードが上がりません。
これは柏原-道明寺-古市-富田林というルートが最初にでき、ここから阿部野橋方向と橿原神宮前方向へ線路を延ばしたためです。恐らく大軌ならば藤井寺の先で緩やかに右カーブさせて古市まで真っ直ぐ線路を引いて立体交差させるはずで、建設資金に乏しかった大阪鉄道は無理があっても安上がりなこのルートを選ぶしかなかったのでしょう。
橿原神宮前からは単線になり急カーブや急勾配が続くため特急のスピードもがくっと落ちます。停車しても乗り降りするお客はなくドアもすぐに閉まります。吉野川の大鉄橋を渡ると吉野神宮で、次が終点の吉野です。
終点の雰囲気がある駅です。
吉野駅は谷底にあり、尾根筋にある金峯山寺など吉野のコアなエリアに行くには七曲がりという急な坂を上るかロープウェイで上るかになります。今回は一番奥の奥千本まで足を伸ばすためロープウェイの利用です。
ロープウェイは近鉄ではなく吉野大峯ケーブル自動車という地元資本の会社がやっています。ケーブルカーではなくロープウェイなんですがこれは英語のケーブルカーがロープウェイを意味するためです。
1929年開業という現存する中では最古のロープウェイです。戦前に存在したロープウェイの多くが戦時中に休止させられ金属製の支柱などは回収されていますが、こちらは生活用であったため営業を続けることができ、現役として90年以上使われ続けています。
ゴンドラも50年物で床面がフラットではなくケーブルカーみたいに段があり古い形態をそのまま残しているある意味貴重な存在です。ただ寄る年波には抗しきれず2017年から2年間運休となり、現在は火・水・木は全面運休し代行バスが運転されています。
結構揺れます。もちろんロープウェイも改良され最新のものは揺れにくいのですが、古い方式なので揺れるんですね。3分少々で山上に到着です。
山上に到着。一帯は「下千本」という吉野のいわば入り口で標高は300mほど。この先中千本・上千本・奥千本と続きます。奥千本の金峯神社の標高が760m前後なのでバスに乗って奥千本まで行き、歩いて下千本まで戻ってくることにします。
吉野山内のバスも吉野大峯ケーブル自動車が運行しています。現在は土日祝のみの運行となっています。マイクロバスが来ました。降りるバス停を申告し運賃前払いとなります。奥千本まで20分弱・500円かかります。
「最近はコロナでさっぱりです」とのこと。近鉄が「ガラガラの近鉄特急で吉野へ」とやっていることを話すと驚いている様子。かき入れ時の紅葉までに落ち着いてもらえれば、と話してくれました。
途中から人家の全くない林道に入ります。対向車が来れば怖いくらいの道ですが全く来ません。ひたすら上って勾配が緩くなったら奥千本に到着です。
人気のない場所で、バス停の目の前に金峯神社の鳥居があるだけです。
金峯神社は御朱印が頂けるらしいのでお参りに行ってみましょう。創建年などはかっきり分からないものの、藤原道長も参詣した記録があるそうです。吉野の地の神様である金山毘古命を祀っているそうです。
社務所に人影があります。お参りしてから御朱印をお願いしましょう。まわりには西行が隠遁した西行堂などがありますが近辺で普段人がいるのはこの社務所くらいだそうです。うしろでテレビの音がしていますので電気は来ているようですね。
金峯神社の御朱印です。
西行堂を薦められたもののこんな道で靴が合わず断念です。履いてきた靴では確実に滑ってしまうことでしょう。
ここからケーブル乗り場までひたすら下りが続きます。約5kmで標高差は400mあります。しばらく人家のない道を歩きます。いかに金峯神社がポツンとあるのかがよく分かります。ようやく人家が見えて吉野水分神社です。
7世紀頃の文献まで遡ることができるものの創建ははっきりせず、9世紀に現在地に移っています。秀吉が子宝祈願をしたところ秀頼を授かったため、秀頼の名で社殿を整備、これが今も残されており国の重要文化財になっています。
明治の神仏分離で金峯山寺から独立した神社となり現在に至っています。
境内は無人で御朱印は300円を小銭入れに入れて送り先をこのノートに書いておけば後日郵送されるそうです。時折判読できない字を書いている人がいるようで送られてきていない場合は連絡して欲しい旨ありました。
ここからまた人家が途切れ吉野の雄大な景色を見ながら坂を下ってゆくことになります。金峯山寺はまだまだ遠くにしか見えません。
今回はここまで。続きます。