新型コロナウイルスの影響で各交通機関は壊滅的打撃を受けています。近鉄もその一つで、伊勢への修学旅行がことごとく中止になるなど客足が止まっています。
何とか近場の開拓を、ということで近鉄が8月から始めたのが「
おでかけ1dayきっぷ」です。「大阪・奈良・京都版」と「愛知・三重版」があり、「大阪・奈良・京都版」は大人1日1,000円で乗り放題となります(以下説明は全て大阪・奈良・京都版です)。奈良県の最東端にある三本松駅より西が乗り放題、しかも生駒ケーブルや西信貴ケーブルも対象になるのです。
正規の大人運賃は鶴橋-奈良や鶴橋-大和高田が片道500円。例えば奈良に行ってから夕方生駒山上で涼むこともできますし、特急券を買えば特急にも乗れるため阿部野橋から吉野まで特急に乗っても大幅に安くなります。ただし前日までに日付指定で購入する必要があります。
ケチな近鉄がこんな大盤振る舞いな切符を出してくるとは思ってもいませんでした。
西信貴ケーブルも対象で正規で片道860円の鶴橋-高安山が往復1,000円でしたので移動運用のために買ってみましたが雨のようなので急きょ切り替え室生寺と長谷寺を回ってみます。どちらも鶴橋から言えば大和高田より東にあたるので往復するだけでも元が取れます。
しかもうまい具合に室生寺が新たに作った
宝物殿が9/5から一般公開となっています。ただ新型コロナウイルスの影響で当面は30分ごと20人に限っているそうです。拝観受付は9時からなのでこれに間に合うように行けば初回の9時30分に間に合うかも知れません。
ということで鶴橋駅からスタート。まずは室生寺を目指します。最寄りの室生口大野駅までは急行が利用できます。
五十鈴川行きに乗りましょう。
五十鈴川は伊勢神宮への最寄り駅である宇治山田のさらに先にあり、約140km離れていて2時間20分以上かかるようです。ちなみにJRですと姫路-大津間に相当し、新快速で1時間46分です。
長距離になので一応こんな座席になっています。ところがカーブやポイント通過のときに妙な横へのがたつきがあるのが玉に瑕。約1時間で室生口大野駅です。ちなみに鶴橋から900円ですから片道でほぼ元を取っています。
室生口大野駅からは奈良交通の室生寺行きのバスが出ています。
日中のみ1時間おきと本数が少ないためバスに合わせる必要があります。集落を出るとほぼ無人に。途中に個人の家の名前が付いたバス停があるものの(東北地方ではたまにある)、そこの家の人以外は使わないでしょうね。
15分で室生寺バス停です。小さいながら門前町になっていて宿やお土産物屋が並んでいます。何もない山の中にお寺と門前町があるという不思議なところです。
室生寺が見えてきました。680年に聖武天皇の勅命で役小角が創建したとされ、長らく興福寺の末寺でした。1694年に真言宗に改宗(真言宗豊山派)、さらに1964年には独立し真言宗室生寺派の大本山となっています。真言宗に改宗後は女性でも入山できるため「女人高野」と呼ばれるようになりました。
拝観受付に足を運ぶと待ち客はゼロ。9時の拝観受け付け開始まであと15分くらいなので待ってみます。バスでやってきた数名が後に続くだけであっさり1番乗りとなりました。
宝物殿の整理券ももちろん1番でゲット。これで9時30分に入れます。
受付のすぐ前に御朱印所があります。御朱印はお参りしてからにしましょうか。
宝物殿までは30分弱あるのでまずは本堂へ。
1308年に建立され国宝に指定されています。本尊は平安期の如意輪観音像です。本尊をライトで見せてくれるので遠いながらもよく見えます。横にある本尊の写真とイメージが違うので聞いてみたら平成期に修復を行い、その際に保護用に塗られていた黒漆を剥がし本来のお姿に戻したそうです。本物と写真を見比べてみると興味深いです。
本堂でも御朱印を頂けます。こちらが本堂の御朱印。
程良い時間なので戻りましょう。宝物殿は御朱印所の隣に入り口があります。
前日から一般公開が始まったばかりで、こちらには金堂にあった国宝の釈迦如来像、十一面観音菩薩像などが収蔵されています。室生寺の諸堂は古いため修復が追いつかず、収蔵されている仏像などを良好な状態で後世に伝えるためには膨大な費用と時間がかかるそうです。そこで宝物殿を建てて守ることにしたそうですが、国宝を収蔵する場合には国の補助が大きいため、国宝の2体を中心に収蔵するよう設計されたようです。
宝物殿自体はじっくり鑑賞しても15分ほどで終わります。
それでは金堂に。平安初期の建物でこちらも国宝です。
屋根は仮修理となっており本格的な修理が待たれます。宝物殿に移されなかった仏像は引き続きこちらに安置されています。
金堂や本堂の先にあるのが五重塔です。室生寺の代表的な建造物で、平安初期の様式を今に残す国宝です。高さは16.1mで周囲の木々より低いのが特徴です。
普通はここまで見れば十分ですが奥の院まで行ってみましょう。
このような山の中を進むと奥の院が見えてきます。弘法大師を祀っています。
奥の院でも御朱印が頂けます。
奥の院独自の御朱印はこちらです。
見て回ったので最後に朱印所へ。
リストはこちらにあります。さらに現在は「宝物殿完成記念」の御朱印がありましたが本堂と同じ十一面観音の御朱印に記念印が押されたものでした。なので御詠歌のみお願いします。
これで室生寺はおしまい。帰りのバスに乗りましょう。
帰りは駅の1つ手前の
大野寺で下車します。
大野寺は681年に役小角が開いたとされるお寺で、室生寺の西の大門との位置づけで続いてきました。このため真言宗室生寺派に属しています。宇陀川の対岸に彫られた弥勒菩薩の磨崖仏があります。
境内はこの通りコンパクトです。
小さいながらも花が咲いていて心地いいお寺です。
これが磨崖仏です。13m以上あり国内最大規模だとされます。
こう彫られているとのことですが見えますか?宇陀川の対岸にあるのは川向こうがあの世を表しているからだそうです。
大野寺の御朱印です。
前半はここまで。御朱印情報は最後にまとめてご紹介します。