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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

バーク・コレクション/東京都美術館

2006-02-12 22:03:25 | 行ったもの(美術館・見仏)
○東京都美術館『ニューヨーク・バーク・コレクション展』

http://www.tobikan.jp/

 ニューヨーク在住の日本美術収集家、メアリー・バーク夫人が40余年をかけて収集したコレクションの里帰り展。

 「縄文から琳派、若冲、蕭白まで」のキャッチコピーのとおり、会場に入るとすぐ、待っているのは土器と埴輪である。『横瓶』は弥生時代の黒っぽい須恵器。博物館なら考古資料のコーナーにあるべきものだが、蜘蛛の巣のように張り付いた自然釉(燃料の薪の灰が降ってガラス化したもの)が、宇宙のビッグバンをあらわすようで、十分、美的な観賞に耐える。その隣の、大玉スイカのようにぽってりした弥生土器も面白い。魔よけの丹の色(赤)が日の丸を思わせる。

 『石山切』とか『平治物語絵巻断簡』とか『住吉物語絵巻断簡』などは、あ~こんな名品を海外に流出してしまったなんて...と歯噛みしたくなる名品である。その一方、室町時代の『源氏物語絵巻』なんて、珍妙な作品もあった。源氏物語の5帖をダイジェストで描いたミニ絵巻で、あまり色気のない白描画が、坂田靖子の絵(懐かしい~)に似ている。よくぞ、こんな作品を見出してくれました!と感謝したくなる。江戸時代の『大麦図屏風』も、作者不詳で、類例を知らない、不思議な作品。自分の趣味に忠実な、個人コレクションならではの収集品だと思う。

 いちばん見たかったのはポスターにもなっている曽我蕭白の『石橋図』。蕭白には、いろいろ変な作品があるけれど、これほど問答無用でかわいい作品は初めてである。石橋に群がる大小の獅子の群れは、なんだかアニメーションみたいだ。虚空を悠々と落下する獅子の子が、ナウシカに見えてくる。蕭白のもう1枚『許由巣父・伯楽図屏風』もいい。蕭白の描く中国の隠士って、ちょっとお茶目で、金庸の武侠小説とかに出てきそうな顔をしている。

 このほかでは、与謝蕪村の絵画を初めて意識して見た。有名な『奥の細道画巻』は、文人の手すさび風だが、実はさまざまな技術を使い分ける、本格的な画人だったようだ。それから英一蝶が1枚。なんでもない風俗画であるが、解説を読んで、このひと、幕府に嫌われて三宅島に島流しにされ、また帰ってきたということを初めて知った。興味深い。
コメント (1)
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