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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

掌の宇宙・細密銅版画/天理ギャラリー

2006-02-27 23:25:40 | 行ったもの(美術館・見仏)
○天理ギャラリー 第127回展『幕末明治の銅版画-玄々堂(げんげんどう)と春燈斎(しゅんとうさい)を中心に-』

http://www.sankokan.jp/exhibition/gallery/index.html

 銅版画とは、鉄筆等でひっかいたり、酸を腐食させたり、色々な方法で銅版に傷をつけて、 そこにインクをつめて紙に刷る技法である。日本では、天明3年(1783)、司馬江漢が制作した銅版画が最初だそうだが、天保期(1800年代半ば)から、京大阪では、社寺や名勝を描いた小さい銅版画が、お土産品として売られるようになった。展示品の中には、実際に寺社の境内で銅版画を売っている店を描いたものもあった。いまの観光名所の絵葉書みたいなものなのだろうが、伝統的な木版画に比べると、ずいぶん「ハイカラ」なお土産だったんじゃないだろうか。

 銅版画は、木版よりずっと細い描線が引ける。だから、いまの絵葉書より一回り小さいくらいの画面なのに、視点を引きに引いて、広い空間を細密に描き出したものが多い。どれも人物は1センチくらいの大きさだ。ベタ塗りを使わず、線を多用するので、全体が柔らかな感じの仕上がりになる。人物の足元に必ず影が描かれているのがちょっと不思議だった。

 明治期には、地図など大判の刷り物や、全編にわたって銅版画を集めた小冊子、名所や買物の「独り案内」シリーズが刊行されている。ちなみに、いちばん新しいもので1890年代だった。このへんから写真に代わられていくのかなあ。
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