オーディオは自分さえ満足していればそれでいい趣味だが、たまには第三者の意見も取り入れて「成長の糧」になればと思っているので、およそ1か月ぶりに仲間のYさんに来ていただいた。
とはいえ、新しいプリアンプを導入してから我が家のオーディオは以前よりも変容したはずなので「どうです、いい音になったでしょうが・・」という下心がまったく無いと言ったらウソになる(笑)。
いつものことながら、Yさんの音質についての論評は始めの方はやや低姿勢で好意的な評価が続き、それが段々と進むにつれて「歯に衣を着せぬ」言葉が飛び出してくるのがいつものパタ~ンなので後半が楽しみ~(笑)。
今回(19日)もそうだった。
10分ほど聴いていただいてから「どうですか?」と直截にお伺いすると「とても自然な音で聴きやすいですね。このプリアンプはとてもいいです」と、心から感心した面持ちだったのでまずはひと安心。
持参されたCDがこれ。(少しピンボケ気味)
「JBLのユニットなのにとても弦が綺麗ですね」と、第一声。
「そうでしょう、真空管アンプで鳴らすと金属くさい響きが随分抑えられますよ」
次に、ジャズを。
「075が満を持したように躍動してきましたね。こんなに鮮やかなシンバルの音は初めてです! 横に置いていたときよりもこの位置の方がずっといいです。ぜひジャズ通の人たちに聴かせてあげたいほどですね」
「超重量級のステンレスの削り出しホーンが利いてると思います。それに駆動するアンプがクセの無い71Aシングル(前段管:AC/HL)ですからね」
と、ここまでは良かったのだがこれから段々と雲行きが怪しくなってきた(笑)。
いつものように低音域のメリハリを確認するために、ゲリー・カーのコントラバスを聴いた途端に、「随分と低音が淋しくなりましたね~、これではウェストミンスターの箱がまったく生きてませんよ」
「 ”二兎を追うもの、一兎をも得ず” ですからね、もう低音は半分あきらめてますよ」と自分。
「それはもったいないですねえ・・。なんとかなりませんか~」
「おそらくプリアンプから無理に3台のアンプを出力しているので負荷がかかり過ぎて低音部の迫力が無くなったのだと推察しています」と、自分。
「それなら、プリアンプを通さずにDAコンバーターから直接低音域を受け持つアンプに直結すればいいんじゃないですか?」
「あっ、なるほど、そういう手がありましたか!」
「A-22」(GUSTARD)にしろ「エルガー・プラス」(dCS)にしろ、DACの出力は「RCA系統とバランス系統」の2種類あるのでどちらか一つを低音用アンプに直結するという奥の手があった!
この方式だと、プリアンプの出力が3系統から2系統になるので負担も随分軽くなってまさに「一石二鳥」とはこのことか。
幸い、ずっと以前に「バランス → RCA」変換ケーブルを「T」さん(東海地方)に作っていただいている。
たいへんな優れものでまったく音の劣化を感じない変換ケーブルでやっと出番がやってきた。
ただし、システムを弄るとなるといろいろと作業の手が込んで面倒そうなので、次回へのお楽しみということで、ひとまず「Y」さんには辞去していただいた。
およそ3時間ほどの試聴だったがいつものように「AXIOM80に代えてほしいのですが・・」という声が出てこなかったのはうれしい限り(笑)。
さあ、それからおよそ1時間ほど「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら、ようやく「低音域用アンプ」として落ち着いたのが「71Aプッシュプル」だった。
「WE300Bシングル」や「PX25シングル」も試してみたが、プリアンプを通さないとやや細身の音になってどうしても量感が欲しくなるが、その点「プッシュプル」は図太さと厚みがあって今回のケースではピッタリだった。
やはりオーディオはお値段やブランドではないですね!(笑)
(71Aプッシュプルの)ボリュームの位置も丁度半分くらいの位置で済むほどで、余裕たっぷりの低音に心の底から痺れまくった(笑)。
これはまさに「起死回生の一手」でしたよ!
さっそく「Y」さんに連絡して「おかげさまでバッチリでしたよ」「それは良かったですね、ぜひまた聴かせてください」「ハイ、わかりました」
とはいえ、長く聴きこんでいくといつものようにどこか不満が出てくるんだろうけど・・。
その一方、天邪鬼(あまのじゃく)かもしれないが、(オーディオは)完成形が無くて常に問題を提起してくれるところが気に入ってるのでいっさい苦になりませんから、ホントに~(笑)。