芥川賞作家にしてクラシックに造詣の深かった「五味康佑」(ごみ こうすけ)さん(故人)が著作の中でいみじくもこう述べられていたことが脳裡の片隅に残っている。
「どんな長編小説も俳聖・芭蕉の一句に及ばないことがあります」
その代表的な名句・・
「荒海や 佐渡に横たふ 天の河」 「夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡」 「象潟(きさがた)や 雨に西施(せいし)が ねぶの花」 、そして「面白うて やがて悲しき 鵜舟かな」・・
詩情豊かなイメージに思わずウットリしませんかね(笑)。
この25日(土)に「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきました。開催地は福岡市の中心部「国際会議場」で、大分県内各地からオーディオの勇士が6名集っての道行でクルマの持ち出しと運転は「Y」さん。
主催は「マックス・オーディオ」(本社:北九州市)さんで、「社長の大原さんという人はとてもオーディオ熱心でユニークな人ですよ」(Yさん)とのことで、九州の田舎者にこういう機会を与えていただいて大いに感謝です~。
このフェアはコロナ禍で長いこと中断していたが、たしか3~4年ほど前にも訪れたことがあり、何といっても高級なスピーカーが聴けるのが楽しみの一つ。
そして、今回のハイライトは「1485万円」のスピーカーが聴けたこと!
「AUDIONEC」(フランス:オーディオネック)の「EVO3」
で、肝心の音なんだけど・・。
広大な周波数レンジ、力強い音というのは間違いないが、「それがどうした」という気になるのはこちらの僻みかな~(笑)。
重量は110Kgなので「ウェストミンスター」級で大したことはないが、家庭で音楽を聴くとなると「どれだけ繊細な音が出るか」がポイントになりそう。
「デジタル機器に比べてスピーカーの進歩は遅々としている」と、されているが、いろいろと工夫の跡が見られるのでこういう最新のSPを一度でも聴けて良かった。
いずれにしても、この程度の音に1500万円も出す気にはさらさらならないが、「ステータス」の側面からアラブの石油王、世界のIT長者あたりに狙いを定めているのだろうか。
ほかにも、
「B&W」の「801 D4/B」も聴いてみた。お値段の方は「594万円」
そして「ウィルソン・オーディオ」のスピーカー。
これが「858万円」・・、何だか金銭感覚が麻痺してきますね(笑)。
いずれも似たような音に感じて、どこがどう違うの~。
「ELAC」(ドイツ:エラック)のスピーカーは独自の工夫がしてあって「コーン」型の表面にクリスタルカットを施して表面積を増やす工夫をしていたので感心したが、音の方もとても良かった!
お値段は「165万円」(スタンド込み)。
各ブースを回りながらYさんが「どれもこれも似たような音がしますね・・。あなたの家でAXIOM80を聴かせてもらう方がよっぽど面白いくらいですよ」と、呟かれた。
夢を与えてくれる高級オーディオをけっして否定するわけではないが、乏しいお金を捻出して創意と工夫にあふれたオーディオもまた良きかな~。
で、最後に一句。
「面白うて やがて悲しき オーディオかな」(笑)。
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