「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオの投資効果と満足度

2023年03月18日 | 読書コーナー

「ビンボー オーディオ」を常に強いられているので「コスパ」がいつも念頭にあり、つまり最小のコストで最大の成果をあげたい・・。

制約が無いところに工夫は生まれないし、ボケ防止で頭の訓練にもなるのでむしろ「ウェルカム」の心境だが、そうはいっても悔しさ半分といったところかな(笑)。

とはいえ、オーディオは投資すればするほど(投資額に応じて)満足度が低くなることを感じている。

なぜか?

格好の本がありました。

先日のこと、行きつけの図書館の新刊コーナーに次のような本があった。タイトルは「人生を変える数学、そして音楽」。


                           

「数学」と「音楽」とを関連づけて述べるなんて、まことにユニークな視点だと思いつつ、はたしてどんな方が書かれたんだろうかと興味を引かれて末尾にある著者のプロフィールを見ると驚いた。

「中島さち子」さんという方で、1979年生まれの大阪府ご出身で「東京大学理学部数学科卒」。

「学歴」というのはこれまでの経験上あまり当てにならないが(笑)、高校2年生の時に国際数学オリンピック・インド大会で金メダルを獲得という勲章には心から敬服した。しかも日本人女性の受賞は後にも先にも唯一人というからすごい。

現在一児の母として、またジャズ・ピアニストとして活躍されているそうで、こういう方なら「数学」と「音楽」について述べる資格が十分あるに違いないと、いそいそと借入手続きを済ませた。

余談になるが、人間を文系、理系で大雑把に分けるとすると、音楽好きはどちらかといえば理系に多いというのが、自分の大まかな見立てである。

代表的なのがあの「相対性理論」で有名な物理学者アインシュタインで日頃からヴァイオリンを”たしなみ”つつ「死ぬということはモーツァルトを聴けなくなることだ」という有名な言葉があるほどで、天才が楽しんだ趣味を凡人が同じレベルで味わえるなんて、音楽ぐらいではあるまいか。

ちなみに自分は「農業経済学」専攻という「文系、理系」の境界線に位置しており、都合によってどちらかに変色するカメレオンみたいな存在である(笑)。

さて、本書をざっとひととおり目を通してみたが、前半は数学の面白さについて、中程は数学と音楽のつながりについて、後半は音楽の楽しさについて述べられている。

正直言ってなかなか高度な内容だった。自分のような頭の冴えない人間が理解するのはたいへんというのが率直な感想。

読後感を書こうにも隔靴掻痒(かっかそうよう)の感があるので、数学にもっと素養のある方が読めばこの本の奥深さを的確に伝えられるだろう。


さて、数学の面白さで印象に残ったのが「オイラーの公式」として紹介されていたもの。(28頁)

「1/1の二乗」+「1/2の二乗」+「1/3の二乗」+「1/4の二乗」・・・・・=π(パイ)の二乗/6

何でもない数式なのに「解」となるとなぜか急に、「円周率π(パイ)」が登場してくるという数学の神秘な世界には恐れ入った。

先年の「NHKーBSハイ」放送では数学界最大の難問とされる「リーマン予想」(素数の並び方の規則性)についての番組が放映されていたが、素数とはこれ以上分解できない数をいう。(2、3、5、7、11・・)

素数だけを使った数式が円周率πと関係しているという興味深い番組だったが、あまりに魅力的な命題のため、深入りし過ぎて精神に異常をきたした幾人もの数学者たちが紹介されていた。


この「リーマン予想」が証明されると宇宙全体の真理の解明に寄与するという。

これは素人考えだが、そもそも太陽系の惑星はすべて球体だし、円というものが万物の基本形なのは間違いない。したがって、あらゆる局面に円周率πが顔を出してくるのは当然のことであり、大切なSPユニットだってほとんどが円形だ。箱も球体にしなくては~。エッ、ちょっと意味不明(笑)。


さて、前置きが長くなったがいよいよ本題に入ろう。

本書の194頁に次のような話が紹介されていた。以下、引用。

「ウェーバーの法則によると、人はお金持ちになればなるほど金銭感覚が変わってきます。

例えば、所持金100万円の人が所持金200万円になる嬉しさと、所持金1億円の人が1億100万円になる嬉しさは、(同じ100万円増えても)違いますよね。~略~

これは一定の金額が増えたときの嬉しさは所持金に反比例するということです。この”微分不定式”を解けば、
嬉しさは”対数関数”で表されるとわかるのです。対数関数なんて、なんだか難しい関数によって嬉しさが表されるなんて・・・・少し面白いと思いませんか?

音の大きさに驚く感覚も、このように音量に反比例するので対数関数になっています。」

こうして分かりやすく説明してもらうと、オーディオでも思い当たる節が沢山ありますねえ。

たとえば低域用に使う20センチ口径を複数使うときのエネルギー感覚についても同じことが言える。

つまりウーファー1発のときに比べて2発のときは√2(≒1.414)倍、3発のときは√3(≒1.732)倍、4発のときは√4(=2倍)となるのもそう。

お金で換算すると、1発10万円として、2発(20万円)のときのエネルギー感覚は1.4倍にしかならないし、3発(30万円)のときにしても1.7倍に過ぎない。突っ込むお金に対してけっして倍々ゲームにならない。


そういうわけで、どこまでもキリのない高得点の世界を狙うのがはたして妥当なのかどうか、対数関数に照らし合わせてみるとオーディオはまったく「非効率の極み」と思うのだが、こればかりは分かっちゃいるけど止められない(笑)。

ほんのちょっとした微妙な「差」なんだけどねえ・・。


オーディオは理屈で割り切れないところに究極の面白さがあるようですね。

そうは思いませんか・・。



この内容に共感された方は励ましのクリックを
 →
 
 
 
 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする