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研究者が「墓荒らし」 謝罪と盗掘品の返還を 松島泰勝<奪われた遺骨、副葬品 今も続く植民地主義>上

2024-06-19 | ウチナー・沖縄

琉球新報 公開日時 2024年06月18日 14:09

浦添ようどれ近くにある伊波普猷の墓。

 2024年4月、日本文化人類学会はアイヌ民族に対する過去の研究姿勢を反省する「謝罪声明」を発表した。しかし謝罪すべきなのは、アイヌ民族だけでなく、琉球民族もその対象になるのではないか。「復帰」(1972年)前後、日本資本による琉球の土地や経済の収奪が広く見られた。同時に次のような「研究者による墓荒らし」が島々で問題になっていた。

伊波普猷の墓も

 「最近、墓荒らしの被害がつづいているのは、宮古島、石垣島、久高島、西表島などの、いわゆる民俗学資料の宝庫といわれる島々(中略)およそ三年ばかり前から、本土の大学や民間の研究者が、沖縄の島々にどっと乗込んだ。珍しい生活様式、文化遺産は、一つ一つが貴重な研究資料になった。(中略)つい八月にも、沖縄民俗学の父といわれる故伊波普猷の浦添城跡にある墓があばかれる事件があったが、故伊波も最近のとんでもない民芸、民具ブームを嘆いておられることだろう。(中略)(伊波普猷の※松島注)お骨は草むらに捨てられツボが盗まれた」(「横行する墓荒らし」『サンデーおきなわ』1971年11月20日号)遺骨は別の厨子甕(ずしがめ)に入れられ現在は墓の中にある。

 琉球人は遺骨、厨子甕を大切にするため、それを研究者が収集することは非常に困難である。それらを入手するため、盗掘や窃盗物の購入が行われた。遺骨、厨子甕を墓から引き離し、遺骨と厨子甕を分離し、博物館で保管、展示、研究するという行為は、「生まれ島」と琉球人との繋(つな)がりを切断することになる。「沖縄学の父」と呼ばれた伊波普猷の骨壺も盗掘の対象になった。1904年に東京帝国大学の鳥居龍蔵が中城城から琉球人遺骨を盗掘した際、伊波が鳥居の案内役となった。

先島、与那国も

 宮古島でも墓から副葬品が奪われた。「四百年も前に宮古を統一した仲宗根豊見親の墓と隣接する仲宗根家の一族を葬った門中墓(いずれも県重要文化財)が、今年二月から三月にかけて、また久松の松原ブサギ、池間島の島主の墓など、いずれも古いものがつぎつぎに荒らされ、多くの副葬品が盗まれているという。最近の傾向だと、この墓荒らしは平良市だけでなく、城辺町や下地町の来間島、伊良部村、多良間村など宮古全域にわたってひん発。新しいコンクリートの強固なものを除く古い墓という墓はかたっぱしから掘りかえされて被害にあっている。ネライはもちろん中にある副葬品とツボなどの焼き物、南方や中国渡来の古い物、地元独特の焼き物などが多く、ほとんどが島外に持ち出され、鹿児島県でも売りに出されているともいわれる」(『琉球新報』1974年7月15日)

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https://ryukyushimpo.jp/news/culture/entry-3207257.html

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