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小川隆吉さん死去 アイヌ民族の遺骨返還に尽力

2022-07-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞07/27 23:30

小川隆吉さん
 アイヌ民族の権利回復や反差別を訴える活動に長年尽くした小川隆吉(おがわ・りゅうきち)さんが25日午前2時54分、慢性腎不全のため、札幌市内の病院で死去した。86歳。自宅は札幌市白石区北郷4。葬儀は近親者のみで行った。
 1935年(昭和10年)、日高管内浦河町に生まれ、父は朝鮮民族、母はアイヌ民族。71年に北海道ウタリ協会(現・北海道アイヌ協会)の石狩支部(現・札幌アイヌ協会)を設立し、初代支部長に就いた。76年から20年近く北海道ウタリ協会理事を務め、道内各地で差別が根強く残る現状を指摘し続けた。
 97年施行のアイヌ文化振興法に基づき、道は北海道旧土人保護法(振興法施行に伴い廃止)に基づき管理してきたアイヌ民族の「共有財産」として現金を返還しようとした。これに対し、99年、共有財産の管理の経緯が不明確で憲法の保障する財産権を侵害するとして、道知事を相手に返還処分の無効確認を求める訴訟を札幌地裁に起こした。原告団長として最高裁まで争ったが、2006年3月に敗訴が確定した。
 道内外の大学の研究者らが収集したアイヌ民族の遺骨を取り戻す活動にも力を入れた。12年には浦河町内の墓から持ち去られた遺骨の返還を北大に求めて札幌地裁に提訴。16年に和解し、12人の遺骨が浦河町に戻った。この訴訟をきっかけに各地のアイヌ民族が大学などに遺骨返還を求める動きが広がった。
 小川さんとともに遺骨返還を求めて闘った十勝管内浦幌町のラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会)の差間正樹会長(71)は「アイヌ民族の権利回復に向けて希望を捨てず、常に発信を続けてきた姿は大きな道しるべだった」と悼んだ。札幌アイヌ協会の阿部一司さん(75)は「『自分にできることを考えて戦うしかない』と言い、道を開いていった。思いを引き継いでいく」と力を込めた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/710945
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