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「琉球王朝の墓から遺骨持ち出し」 返還求め子孫が京大提訴

2018-12-05 | ウチナー・沖縄
毎日新聞2018年12月4日 21時33分(最終更新 12月4日 22時49分)
 昭和初期に旧京都帝国大(現京都大)の人類学者が、研究目的で沖縄の中世の首長らの墓所から遺骨を持ち出し、現在も保管する京大が返還しないのは違法だとして、琉球王朝の子孫ら5人が4日、京大に遺骨の返還と慰謝料計50万円を求めて京都地裁に提訴した。アイヌ民族の遺骨返還を求める訴訟は複数起こされ和解が成立するなどしているが、沖縄の遺骨の返還訴訟は初めてという。
 訴状によると、墓所は沖縄県今帰仁(なきじん)村にある「百按司墓(むむじゃなばか)」。14~15世紀の風葬墓で、今帰仁城(ぐすく)に拠点を置いた琉球統一前の北山(ほくざん)王国や、1429年に琉球初の統一王朝を建てた第一尚氏時代の貴族らを葬ったとされる。
 原告は第一尚氏の子孫という2人と照屋寛徳・衆院議員(沖縄2区、社民党)、沖縄出身で琉球民族遺骨返還研究会代表の松島泰勝・龍谷大教授ら。
 訴状によると、1928、29年に京都帝大助教授だった金関丈夫氏(故人)が百按司墓など県内の古墓所を調査した際、子孫や地域住民の了承を得ずに少なくとも59体分の遺骨を持ち出した。うち26体分は京大にあり、33体分は後に金関氏が教授を務めた台湾の国立台湾大(旧台北帝国大)に保管。昨年以降、原告側が両大学に返還や情報開示を求め、台湾大は応じる意向を示したが、京大は応じなかった。
 原告側は、沖縄では遺骨は先祖神として崇拝の対象で、その祭祀(さいし)を子孫や畏敬(いけい)追慕の情を示す者が行う慣習があり、第一尚氏の子孫2人や畏敬追慕する3人は民法上の「祭祀承継者」に当たると主張。所有権と、憲法に基づく民族的、宗教的自己決定権があり、それらを侵害する京大の対応は違法だとしている。
 記者会見した松島教授らは「戦後も継続する歴史的・構造的な差別、植民地主義的政策の清算を問う訴訟だ」としている。京大は毎日新聞の取材に遺骨の保管を認めたうえで、「訴状を見ていないのでコメントは差し控える」としている。【澤木政輝】
アイヌ遺骨保管の北大は順次和解
 アイヌや沖縄の人々の遺骨は戦前、研究目的で研究者らが墓を掘り返すなどして収集した。文部科学省の調査によると、12大学で計1676体のアイヌの遺骨が保管されていることを確認。近年、アイヌの団体や個人による返還訴訟が相次ぎ、1015体が確認された北海道大は順次和解に応じている。
 京大はアイヌの遺骨も87体保管。他にも鹿児島県の徳之島、喜界島、奄美大島の住民有志が、戦前に人類学者に収集された約260体の遺骨返還の要求書を今年5月に京大に提出したが、京大からの応答はないという。【菅沼舞】
https://mainichi.jp/articles/20181204/k00/00m/040/280000c
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