北海道新聞2024年9月9日 21:31(9月9日 21:55更新)
白糠で撮影された映画「シサム」の1シーン。寛一郎さん演じる主人公(右)がアイヌ民族に徐々に共感していく姿も描く©映画「シサム」製作委員会
【白糠】町内をロケ地にアイヌ民族と和人の歴史と絆を描いた映画「シサム」(中尾浩之監督)が13日、全国公開される。町民延べ100人余りがエキストラで出演。白糠なまりのアイヌ語で登場人物が会話する場面も多数登場する。白糠アイヌ文化保存会や白糠アイヌ協会が撮影に協力しており、関係者は「和人とアイヌ民族の共生と、アイヌ文化の価値を映画で訴えてくれた」と公開を喜ぶ。
作品は、江戸時代前期の蝦夷地(えぞち)が舞台。松前藩とアイヌ民族の争いを背景とする人間模様をドラマチックに描く。佐藤浩市さんを父に持つ俳優・寛一郎さんが主人公の松前藩士を演じ、三浦貴大さん、緒形直人さんらが出演。中島みゆきさんが主題歌を歌う。
昨年6~7月に町内で撮影され、白糠アイヌ文化保存会、白糠アイヌ協会が儀式や漁などの場面で監修、協力した。アイヌ語の台詞は、アイヌ文化研究者の藤村久和・北海学園大名誉教授(札幌)が訳した。
映画を企画したのは、漫画家らクリエーターのコンサルティングを手がける合同会社プロテカ(東京)。嘉山健一代表(40)が2019年に私用で町を訪問した時に白糠アイヌ文化保存会の磯部恵津子会長(75)と出会い、自然や動植物を神とあがめる風習や、差別されてきた歴史を聞き胸を打たれた。
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14日、イオンシネマ釧路で、映画「シサム」の舞台あいさつが行われる。午前9時45分からの上映後、主演の寛一郎さんらが登壇する。詳細は同施設のホームページで案内している。
※「シサム」の「ム」は小さい字