先住民族関連ニュース

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独のアイヌ遺骨1体返還へ 札幌周辺で盗掘 実現なら海外初

2017-02-04 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/03 07:00

遺骨を掘り出した経緯が報告された1880年発行のドイツの学術雑誌。「Sapporo(サッポロ)」「japan(ヤーパン=日本)」の文字が読み取れる
 ドイツの民間学術団体「ベルリン人類学民族学先史学協会(BGAEU)」は2日、アイヌ民族の遺骨を6体保管していることを明らかにした。うち1体は19世紀後半に札幌周辺で盗掘されたものと認定し、返還すると決めた。実現すれば、公式ルートによる海外からの初の返還となる見通しだ。
 ドイツでは昨年、首都ベルリンの国立新博物館がアイヌ民族の遺骨を少なくとも9体保管していると明らかにしており、合わせて15体を収蔵していることが判明した。
 協会のウォルフラム・シーア会長によると、盗掘による収集が認定された1体は、19世紀後半にドイツ人旅行者ゲオルク・シュレジンガーがドイツの解剖学者ルドルフ・ウィルヒョウに提供した。
 1880年(明治13年)に発行されたドイツの学術雑誌に「この遺骨は1879年6月、札幌近くの大きなアイヌ集落があった地域の墓地から、札幌在住のドイツ人の協力を得て掘り出した。夜の闇の中であり、冒涜(ぼうとく)的行動のリスクから急がなければならなかったが、掘り出すことに成功した」とするシュレジンガー本人の報告が掲載されていた。
 ベルリン自由大の教授でもあるシーア会長は「アイヌ墓地から非合法かつ非倫理的な手法で収集されており、われわれのガイドラインに沿って、返還すべきだと判断した」と話し、今後、ベルリンの日本大使館と協議する意向を示した。
 ベルリン医科大学が2011年、旧植民地であるアフリカのナミビアに先住民族の遺骨20体を返還した際は、ドイツ政府がナミビア政府と協議して進めた。
 北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は「これまで(国家間の協議に基づく)公式の返還は一度もないが、ぜひ、国の責任で早期返還に取り組んでほしい。ほかの遺骨も収集方法の合法性にかかわらず、当然、返してもらいたい」と話している。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0364652.html


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アイヌと茨城の接点知って あすから県立歴史館で服飾紹介 /茨城

2017-02-04 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2017年2月3日 地方版
 アイヌ民族の服飾などを紹介する展覧会「イカラカラ-アイヌ刺繍(ししゅう)の世界」が4日、水戸市緑町2の県立歴史館で始まる。展示品は約180点。アイヌと茨城とのつながりを示すアットゥシ(衣服)や、国宝の「伊能忠敬測量図下図」など見どころは盛りだくさんだ。
 アイヌは北海道を中心に樺太や千島列島などに暮らし、固有のアイヌ語を母語とした。狩猟や植物採集を基盤とし、自然との共生を重んじる独自の文化を築いた。
 イカラカラはアイヌ語で刺繍の意味。曲線を用いた文様が特徴だ。定型はなく、作り手独自の感覚で造形される。展示品は刺繍の施された樹皮や木綿のアットゥシのほか、首飾りや帯、手袋など、18世紀から現代までの服飾が中心だ。
 注目は、現存するアットゥシで最古とされる展示品だ。現在の常陸太田市出身で江戸時代後期の探検家、木村謙次が1798年の蝦夷地(北海道)派遣から持ち帰ったもので、木村の子孫が代々保管していたという。
 水戸藩とアイヌのつながりは古く、二代藩主徳川光圀は石狩地方との交易を目指し、大型船を造船。2度の失敗を経て、1686年に石狩地方のアイヌのコタン(集落)に達し、サケなどの交易品を得た。
 歴史館の飯塚信久・学芸課長は「水戸藩はどこよりも早く蝦夷地やアイヌに注目し、関わりを持ってきた。力強く華やかなアイヌ刺繍を楽しむとともに、水戸との深い関係も知ってほしい」と来場を呼び掛けている。
 歴史館とアイヌ文化振興・研究推進機構(アイヌ文化財団、札幌市)が主催。3月20日まで(3月20日を除き月曜日休館)。午前9時半~午後5時。一般600円、大学生310円、高校生以下無料。
 12日午後1時半から北海道大大学院の谷本晃久准教授が「アイヌ文化と常陸国・水戸藩」と題し講演する。定員200人、先着順。要入館券。問い合わせは歴史館(029・225・4425)。【山下智恵】
http://mainichi.jp/articles/20170203/ddl/k08/040/149000c

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日本人による寄付で再建された神社 国民党幹部から批判噴出/台湾・屏東

2017-02-04 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾 2017/02/03 11:32

高士村長提供
(屏東 3日 中央社)神職の佐藤健一さんが民間からの寄付金で再建した南部・屏東県牡丹郷高士村の高士神社をめぐり、野党・国民党政策委員会の蔡正元執行長から「日本統治時代の功績への賛美だ」と批判が出ている。高士村の李徳福村長は1月31日、蔡氏の誤った言論により集落が大きく傷つけられたとし、蔡氏に対し謝罪を求めた。

蔡氏は1月29日、高士神社に関する文章を自身のフェイスブックに投稿。同神社の所在地は、1874年に明治政府が台湾南部に軍を派遣した「台湾出兵」で、日本人が先住民を殺害した場所だと説明し、民進党が当時の戦闘で死亡した集落酋長を顕彰するのでなく、日本の神社を建てたことは非常に不思議だとつづった。

李村長が同31日に発表した声明によると、蔡氏の投稿を受けて、非難のために集落を訪れる人が相次いでおり、極めて非友好的な態度に村民は恐怖やストレスを感じているという。

李村長は、「民進党が再建した」とする蔡氏の指摘について、神社は日本の民間からの寄付金で建てられたものだと事実関係を否定。また、日本の功績を称美しているとの見方についても、神社は「もつれた歴史に対する集落と日本人の間における許しであり、紛争の解決、友好樹立の象徴」だと説明した。

2月1日に取材に応じた蔡氏は、自身が批判しているのは集落の先住民ではなく、民進党政権だと弁明。その上で、村の先住民には祖先を祭る独自の伝統儀式があるにも関わらず、日本の神社を用いたことについて疑問を呈した。また同日、フェイスブックに再び自身の見解を発表した。

蔡氏の2度目の発言を受け、李村長は「どうしようもない」と不満を露わにし、蔡氏に対して法的措置を講じる考えを明らかにした。 (郭シセン、劉麗栄/編集:名切千絵)
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201702030002.aspx


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足が独自に進化した「ハオラニ族」が激カッコイイ! 現代版ターザンの驚愕遺伝子と、近代化の波

2017-02-04 | 先住民族関連
エキサイトニュース 2017年2月3日
 アマゾン・ジャングルに住む原住民ハオラニ族――。ワオラニ族、ワオダニ族、ワオ族とも呼ばれているアメリカ先住民の部族である。
■木登りに適した“超扁平足”に進化
 ハオラニ族が居住するアマゾン川の支流であるナポ川からほど近い一帯には、もちろん便利なファストフード店やスーパーなどは皆無だ。
 お腹が空いた時には外へ行き、猿などの動物を自力で仕留めてくるという採取狩猟民族である。ハオラニ族は木登りを得意としており、狩猟する際は木によじ登って獲物を待ち伏せする。
【その他の画像と動画はコチラ→http://tocana.jp/2017/02/post_12170.html】
 そして毒を塗った、自身の身長よりはるかに長い吹き筒を使用する吹き矢で獲物を殺す。毒が体内に回ると筋肉が麻痺して、動物は息ができなくなって死んでしまうのだ。
 食す際はそのまま火で炙ったり蒸し焼きにするなど実にシンプル。狩りでは吹き矢のほかにも槍を用いることもあり、主食は猿の肉だがペッカリー(ヘソイノシシ)や鳥のオオハシ、そして森の中で部族の女性が採取するハーブなどの植物も好んで食べるという。
 エクアドルで広く話されているケチュア語とは異なる固有の言語を持ち、ほぼ裸で過ごしているという現代版リアルターザンのような彼らだが、最大の特徴は彼らの足だ。
 極端に平べったく、親指が大きく離れて広がったつま先は専門家いわく、木登りに多くの時間を費やしてきた結果、足の形が発達していったのだという。
4千人に満たない規模で長期間にわたり周囲と隔絶して生活していた彼らは、独自の遺伝子プールを持つことでいつしか木登りに適した超扁平足となり、なんと6つの指を持つ人も少なくないというから驚く。
■急速に失われつつある独自の伝統文化
 今回、ハオラニ族の写真を撮影したのはイギリスの著名自然写真家ピート・オックスフォード氏。「自分と異なる人々と時間を過ごせること」が最も喜びを感じることのひとつである、という氏は同時に、取材時には「異質なのは彼らではなく自分自身」であることを強く意識するように心掛けているという。
「森の住人であるハオラニ族はまさに森の環境に適応して生きているといえるでしょう」とはるか昔から続くその変わらない生活スタイルに驚嘆しながらも、今後は急激に大きく変化していくであろう状況を憂いをこめて語っている。
 今日では付近の石油をはじめとする天然資源開発が進み、彼らの住む森が縮小を余儀なくされている。約50年ほど前までは外界との接触を持たなかったが、現在では吹き矢の代わりにショットガンを使用したり、衣服を身につけ、ツアー客向けに暮らしぶりを見せたりもしている。石油会社に雇われて働き、現金収入に依存する人も出てきているとのことだ。
「世界中のどの先住民の部族にも共通することなのですが、彼ら独自の文化や知識といったものは恐ろしいほど早い勢いで失われつつあります。我々人間は均一化、均等化してきているのです……」と語るオックスフォード氏は、可能な限り多くの古代文化を記録し、後世の人々に伝えていきたいという。もしかしたら将来的には消えてしまうかもしれないハオラニ族の存在を、我々も今のうちに目に焼きつけておきたい。
(文=Maria Rosa.S)
http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201702_post_12170.html

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ニール・ヤング、12月発売の新作より“My Pledge”のリリック・ビデオを公開

2017-02-04 | 先住民族関連
http://nme.com (風刺記事) (プレスリリース) (ブログ)-2017.2.3 金曜日
Photo: GETTY
ニール・ヤングは12月2日にリリースした最新作『ピース・トレイル』より“My Pledge”のリリック・ビデオが公開されている。
最新作『ピース・トレイル』はリック・ルービンの所有するシャングリラ・スタジオでレコーディングされたとのことで、プロデュースはニール・ヤング本人とジョン・ハンロンが手掛けている。
“My Pledge”のリリック・ビデオはこちらから。
https://www.youtube.com/watch?v=3YW5KrCf-iY
最近の一連のアルバムとは違ってウィリー・ネルソンの息子たちが参加しているプロミス・オブ・ザ・リアルとではなく、セッション・ミュージシャンのジム・ケルトナーとポール・ブッシュネルが参加している。アルバムはわずか4日間でレコーディングされ、ほとんどの楽曲において最初のテイクか2番目のテイクが使用されているという。
ニール・ヤングは本作の楽曲が昨年7月のライヴ・アルバム『アース』のリリース以降に書かれたことを明らかにしている。
ニール・ヤングは昨年末にドナルド・トランプの大統領当選と議論を呼んでいるダコタ・アクセス・パイプラインの建設について言及した長文のテキストを公開している。
冒頭で彼は次のように述べている。「メイフラワー号でアメリカ大陸に最初にやってきたピルグリム・ファーザーズたちがアメリカの原住民と一緒に収穫を祝福し、パンを焼いて、分け合ったという1621年秋のプリマスのプランテーションでの祭事の物語は嘘なんだ。この物語はいまだに人を鼓舞するものとして使用され、子供たちに伝えられ、感謝の美しさを教えている。
しかし、このサンクスギビングにまつわる物語が偽りの歴史であることは広く知られている。この物語は広大な大陸の元々の先住民に行使されたひどい大量虐殺をごまかすために作られたものだ。ヨーロッパ人は先住民を殲滅させようとしただけでなく、彼らの文化や言語を骨抜きにし、彼らをこの誰もが欲しがる土地から排除しようと、あらゆる努力を傾けてきたのだ。
プリマス・ロックからスタンディング・ロックまで、この嘘は僕らのサンクスギビング・デイを、大きい種族から小さな種族まで我々の前に住んでいた先住民を偲ぶ日に変えてしまった。
数週間前、ノース・ダコタ州のスタンディング・ロック・スー族のところを訪れたんだ。到着すると、500を超える部族やたくさんの人々が前例のない形で集まり、水を保護し、最も基本的な人間の真実を表明するために(パイプライン開発の)前線に立っていたんだ。彼らは水こそが命だと訴えてたんだよ。痛ましい歴史があるにもかかわらず、彼らは今日も僕らのために平和的に闘っているんだ」
テキストの全文訳はこちらから。http://nme-jp.com/news/30149/
http://nme-jp.com/news/33200/

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アイヌと茨城の接点知って あすから県立歴史館で服飾紹介 /茨城

2017-02-04 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2017年2月3日 地方版
 アイヌ民族の服飾などを紹介する展覧会「イカラカラ-アイヌ刺繍(ししゅう)の世界」が4日、水戸市緑町2の県立歴史館で始まる。展示品は約180点。アイヌと茨城とのつながりを示すアットゥシ(衣服)や、国宝の「伊能忠敬測量図下図」など見どころは盛りだくさんだ。
 アイヌは北海道を中心に樺太や千島列島などに暮らし、固有のアイヌ語を母語とした。狩猟や植物採集を基盤とし、自然との共生を重んじる独自の文化を築いた。
 イカラカラはアイヌ語で刺繍の意味。曲線を用いた文様が特徴だ。定型はなく、作り手独自の感覚で造形され…
残り535文字(全文786文字
http://mainichi.jp/articles/20170203/ddl/k08/040/149000c

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アイヌ文化フェス 子守唄披露など紹介 あす水戸で /茨城

2017-02-04 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2017年2月3日 地方版
 アイヌ文化を紹介する「アイヌ文化フェスティバル」が4日、水戸市三の丸1の駿優教育会館で開かれる。アイヌ文化財団が1998年から北海道外で年2回開催している。県内での開催は初めて。
 口承文芸の語り手で札幌市在住の大学4年生、川上さやかさん(22)が子守唄などを披露するほか、古式舞踊公演や伝統楽器のムックリ演奏も行われる。
 アイヌは江戸時代後期以降、政府による同化政策や差別に苦しんだが、2008年に「アイヌは先住民族」と…
残り196文字(全文407文字)
http://mainichi.jp/articles/20170203/ddl/k08/040/150000c

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現代墨絵作家 安保 真 作品展 札幌三越美術ギャラリー

2017-02-04 | アイヌ民族関連
相田みつを美術館公認 相田屋本舗のプレスリリース
プレスリリース ゼロ (プレスリリース)-2017年 02月 02

君のココロにそっと ずっと、
新しい日本の墨絵「滲み画」
現代墨絵作家 安保 真 作品展
北海道佐呂間に生まれ、千歳市で育ち
アイヌ文化に興味を抱いた安保真が
アイヌの人々が最高位の神として崇める
コタンコロカムイ(シマフクロウ)を
独自の視点で描きます。
開催日程
2月7日(火)~13日(月)
会場
札幌三越
本館9階 美術ギャラリーにて
最終日、午後4時閉場
期間中、作家在廊
今回の作品展では特別企画として
期間中、安保真の原点である「滲み」の進行形を
見られる装置を展示予定。
安保真が魅了された「滲み」の美しさと
時間の経過により変化してゆく滲みの現在進行形を
是非お楽しみください。
後援
佐呂間町
佐呂間町教育委員会
公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構
相田みつを美術館公認 相田屋本舗
http://pressrelease-zero.jp/archives/106615


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トランプ氏の大統領令で、先住民のダコタ・アクセス・パイプラインをめぐる闘いの幕、再び上がる

2017-02-04 | 先住民族関連
The Huffington Post  |  執筆者: Alexander C. Kaufman, Hayley Miller
投稿日: 2017年02月02日 14時21分 JST 更新: 2017年02月02日 14時21分 JST

1月24日、ニューヨーク。シェリル・エンジェルさん(56)と彼の仲間に冷たい雨が激しく降りつけていた。それでもエンジェルさんたちはそこから動こうとしない。56歳の活動家で、ローズバッド・スー族の長老は、ノースダコタ州にあるスタンディングロック・スー族のネイティブアメリカン保留地で数カ月間仲間と寝食を共にしながら、ここよりはるかに過酷な天候を耐え抜いた。 エンジェルさんはここで、ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)が、湖の神聖な水域の地下に掘られることを阻止するために闘っていた。
ダコタ・アクセス・パイプラインは、石油パイプライン会社「エナジー・トランスファー・パートナーズ」がノースダコタ州からイリノイ州までをつなぐ1172マイル(約1886キロメートル)のパイプラインを建設するプロジェクトだ。建設ルート近くの居留地に住むアメリカ先住民スタンディングロック・スー族とその支援者たちが、水源のミズーリ川が汚染されることを懸念し抗議デモを続けていた。アメリカ陸軍省工兵隊は2016年12月4日、ミズーリ川をせき止めたダム湖「オアへ湖」の地下にパイプラインを通す工事を認可しないと発表し、建設は中断されていた。
 
トランプ大統領が閣僚に指名した候補を承認しないよう働きかけるため、民主党のチャック・シューマー上院院内総務とカーステン・ギリブランド上院議員のニューヨーク事務所前に詰めかけた人々の中に、エンジェルさんの姿もあった。しかしエンジェルさんには、このパイプラインをめぐる闘いは終わらないだろう、という予感があった。
「アメリカよ、目を覚まして。アメリカを縦断するパイプラインが、建設されようとしている。あなたの裏庭の水も危険に瀕していることに気付いてほしいのです」と、エンジェルさんはハフィントンポストUS版に語った。「アメリカ国民が結束し、着工されようとしている水源を守らなければいけません」
トランプ大統領は24日、パイプライン建設を再開させる大統領令に署名したが、エンジェルさんはダコタ・アクセス・パイプライン建設反対運動を続ける覚悟だ。HAYLEY MILLER/THE HUFFINGTON POST
大統領令では、暗礁に乗り上げているダコタ・アクセス・パイプラインの工事を完了させ、カナダのアルバータ州からネブラスカ州までの1179マイル(約1897 キロメートル)をつなぐパイプライン「キーストーンXL」建設を手がける「トランスカナダ」に、オバマ前大統領が2015年に却下した建設計画の再申請をするように促している。
アメリカ先住民の指導者たちは24日午後、この大統領令と闘う意向をいち早く発表した。石油輸送用の導管の敷設は、2016年12月4日以来中止されたままだ。オバマ前大統領政権下で発令された、抗議デモの勝利と称賛されたこの中止命令は、新たな大統領命令によって取り消されるかもしれない。
「トランプ大統領は、文化的・環境的に豊かな大草原を縦断する『ブラック・スネーク』(ダコタ・アクセス・パイプライン)建設で暗躍する人間たちと手を組んだことで、自分の正体をさらけ出しているのです」と、草の根の非営利組織「先住民族環境ネットワーク」代表トム・BK・ゴールドトゥース氏は声明で述べた。
「トランプ大統領が出したこの建設着手命令は常軌を逸しており、行き過ぎだ。先住民として受け継いだ先祖代々の故郷への攻撃に他ならない」

「すべての人々の生活が大切なら、先住民族の生活も大切だ!」「土地をそのままにしておけ、石油は飲むことができないのだから!」とスローガンを叫ぶ声が広場内に響きわたった。
トランプ大統領の新たな大統領令に反対して、数百人の抗議デモ参加者たちが集まった。
このイベントは、環境悪化を懸念する人々に、トランプ大統領の新たな命令に反対する多くの草の根団体が主催した。
ローズマリー・フォークナーさん(74)は友人のメールで抗議デモのニュースを知り、この時とばかりにすぐ署名した、と語った。

「トランプ大統領がどんなことをするのか、誰にもわかりません」と、フォークナーさんはハフィントンポストUS版に語った。「彼がこんな恐ろしいアイデアを実行しないことを望み続けていますが、状況は悪くなる一方ですね」
アメリカは再生可能エネルギーにもっと集中する必要がある、とフォークナーさんは語った。
「あまりにも露骨過ぎます」と、フォークナーさんは語った。「気候変動は、とても重要な問題なんです」
自由社会党の事務局員、ジェッド・ホルツさん(34)は、きれいな水域を守るために、より大きな変革を求める時だ、と語った。
「環境への攻撃を阻止するために、人種を超え、一般市民の結集がさらに広がるでしょう」とホルツさんは語った。
抗議デモ参加者を守る「人間の盾」となるためにやってきた2000人の退役軍人など、アメリカ先住民たちの水源を守ろうとする「水の保護者」たちが2016年、デモの拠点となったスタンディングロック居留地の「オセチ・サコウィン・キャンプ」に集結した。彼らは氷点下の厳寒の中、治安部隊による攻撃犬や催涙ガス、消火ホースでの放水といった攻撃を受けても非暴力を貫き、建設中止を勝ち取った。
しかし大規模デモでトランプ氏の大統領令を阻止できると期待してはならない。スタンディングロック・スー族の部族評議会は19日、1月末までに、野放図に広がったオセチ・サコウィン・キャンプから、デモ参加者に撤退を要請する決議を満場一致で承認した。「スタンディングロック・スー族の保留地の近くのさらに高台となるところに、自分たちの居場所として代替地が提供されることを、抗議デモ参加者たちは熱心に訴えていた」と部族評議会の広報担当者スー・エバンスさんはハフィントンポストUS版に語った。部族評議会はこの闘いを、法廷に持ち込むことを計画している。

ニューヨーク大学の学生ジョン・リンドストロームさん(29歳)は、この水域の保護者たちを支持するために、24日の抗議活動にやって来た。
「スタンディングロックの先住民指導者たちが私たちに求めていることを尊重しなけれければいけません」とリンドストロームさんは、デモ参加者たちに撤退を要請する決定について語った。しかし抗議がまた始まるなら、逮捕されることを覚悟でスタンディングロックの保留地に行くつもりだと語った。
スタンディングロック・スー族の代理人を務めるNGO「アースジャスティス」のフィリップ・エリス上級報道官によると、厳密に言えば、ダコタ・アクセス・パイプラインの建設着手自体は大統領令とはならないという。この大統領令は、アメリカ陸軍工兵隊に「法の下で許容された期限内に」許可手続きを完了させるように命令するものだ。陸軍工兵隊には法律上すでに環境影響評価書(EIS)の全要件を実施し、代替ルートを検討するように要求しているという。
「大統領令のどんな文言をみても、これを変更することはできないし、建設再開を求めることにすらなりません。陸軍工兵隊がこの大統領令に従って、EISの手順を踏むことなく地役権(ある土地の便益のために、他人の土地を利用する権利)を承認するようなことがあれば、法律に違反することになり、陸軍工兵隊は告訴されることになる」とエリス上級報道官は、ハフィントンポストUS版に回答した。「スー族はこの大統領令に対して法的措置を取ることを望んでいません。陸軍工兵隊が地役権を承認したら、過去の所見に反することとなります。おそらく私たちは地役権が承認された段階で再審査を要求するでしょう」
スタンディングロック・スー族のキャンプ周辺ですでに野営しているデモ参加者たちにとっては、トランプ氏の大統領令は、新たな戦闘準備のきっかけとなる。このキャンプで診療所を運営しているグループ「メディック+ヒーラー評議会」は、大統領令が署名された24日から、ボランティアに再度要請した。
「キーストーンXLとダコタ・アクセス・パイプラインを推進するトランプ政権の決定には失望したが、進歩的だったオバマ大統領の時代であっても、スタンディングロック・スー族とダコタ・アクセス・パイプライン反対運動が、武力的な抑圧に数カ月間直面してきたことを考えれば、これは想定の範囲内と言える」と、民族植物学者でメディック+ヒーラー評議会の主宰者リンダ・ブラック・エルクさんはFacebookに記した。「私たちは関係者のみなさんに、水の保護者と連携し、ダコタ・アクセス・パイプライン建設に反対するという立場で参加してくれるようお願いする」
エンジェルさんは、さらに広い視野で闘いの将来を見据えている。「アメリカは化石燃料の使用を止め、主要河川に漏洩してコミュニティの飲料水に危害をもたらすパイプラインの環境環境破壊を防ぐことが必要不可欠だ」とエンジェルさんは語った。奇しくもカナダのサスカチュワン州の先住民アボリジニの土地で23日、パイプラインが5万2834ガロンの石油を流出させた。これはトランプ氏が大統領令に署名する直前に起きた事件であり、署名する時まで24時間も経っていない。
「化石燃料産業は死に体にあり、消え去ろうとしている産業です」と、エンジェルさんは語った。「環境に配慮したエネルギーこそが、新しいアメリカをつくるのです。トランプ大統領とその閣僚が、パイプラインのインフラ建設を行おうとするので、我が国は化石燃料に依存したままになるのです」
トランプ大統領がパイプライン建設を推進すれば、アメリカ中の「水の保護者」たちにとっては大きな後退となるのは間違いない。しかし、エンジェルさんは闘いを再開する覚悟だ。アメリカ国民は、パイプラインの建設ときっぱりと手を切ることができる、とエンジェルさんは確信している。
「アメリカ国民は、何だってできるのです」と、エンジェルさんはハフィントンポストUS版に語った。「これがアメリカなんです。私たちは、いつから一人の男を恐れるようになったんですか? 怖いからといって、引き下がってなんかいられないのです」
http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/01/trump-dapl_n_14564420.html

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らーめん山頭火 海外店舗でアイヌ文化発信

2017-02-04 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2017年 2/2)
アイヌ民族衣装などを展示しているウエスト・ブロードウエイ店(提供)
 国内外で56店舗を展開する「らーめん山頭火」(統括運営会社アブ・アウト、本社札幌市)は1月31日、カナダのバンクーバー市にアイヌ文化を特徴とした2号店をオープンした。白老町のアイヌ民族博物館や白老観光協会が提供した着物や民芸品などが多数展示されており、海外へのアイヌ文化発信に同店が一役買っている。国立アイヌ民族博物館の2020年開設も積極的にPRする方針で、「これから出店する海外店舗でも同様の取り組みを検討したい」と話している。
 同社は現在、米国やフィリピンなど海外8カ国で35店舗を展開。このうちシンガポール店やバンクーバー1号店など4店舗で壁面にアイヌ文様を描いたり、店内に民具を飾るなど、アイヌ文化や北海道の伝統文化を独自にアピールする取り組みを進めてきた。バンクーバー2号店の開設準備を進める中で、知人を介してアイヌ民博関係者などと出会い、全面協力を受けることが決まったという。
 カナダ2店目となる「ウエストブロードウエイ店」(44席)では、アイヌ民博から提供された木綿衣の「ルウンペ」や「チヂリ」をはじめ、白老観光協会を介して伝統工芸家の水野練平さん=白老町在住=が提供した「イクパスイ(棒酒箸)」「イタ(お盆)」などを展示。ほかの店舗と同様にアイヌ文様を取り入れたスタッフユニホームも採用している。
 海外事業部の植田昌紀取締役部長は「カナダは先住民族としてのファースト・ネーションズの伝統文化を尊重している国。彼らをはじめ、多くのカナダの皆さんの反応が楽しみ。白老町に開設する象徴空間についても店内の掲示板を活用してPRするなど、北海道関連の情報発信につながればうれしい」と話している。
http://www.tomamin.co.jp/20170247260


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浅田舞さんらが6日に聖火リレー 札幌冬季アジア大会

2017-02-04 | アイヌ民族関連
神戸新聞 2017/2/1 19:03

冬季アジア大会の記念硬貨を手にする浅田舞さん=2016年11月、大阪市の造幣局
 札幌市を中心に開催される第8回冬季アジア大会の組織委員会は1日、聖火リレーの概要を発表した。6日に元フィギュアスケート選手で大会のPRを担当する浅田舞さんや札幌市スポーツ少年団員、一般から公募したランナーが北海道庁赤れんが庁舎から札幌市役所までの6区間(約2・25キロ)をつなぐ。
 聖火は5日にアイヌ民族の伝統的手法で採火する。19日の開会式(札幌ドーム)で聖火台に点火され、大会期間中は市役所前に設置されている1972年札幌冬季五輪の聖火台でともされる。
https://www.kobe-np.co.jp/news/zenkoku/compact/201702/0009879023.shtml

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バラエティ豊かな奇岩が立ち並ぶ 台湾の名勝は記念撮影も順番待ち

2017-02-04 | 先住民族関連
CREA WEB 1/31(火) 12:01配信

 風雨や海水により浸食された奇岩が並ぶ野柳地質公園は、台湾最北端近くの岬にある絶景スポット。
 「野柳」と言う名の由来には、この地に住んでいた先住民族が使っていた地名だったという説、スペイン語で「悪魔の岬」という意味の言葉が現地風に変化、簡素化したという説など、諸説がある。
 草履にキノコ、生姜、ろうそく、フライドチキンまで、形が似ていると言われる対象は実にバリエーション豊か。そのなかで一番の見どころとなっているのが、細い首に大きな頭が乗っているように見えるご覧の奇岩だ。
 「女王頭」と呼ばれるこの岩は、風化により首の部分が細くなり、あと20年足らずで折れてしまうと言われている。今のうちに一緒に写真に収まろうとする人で、順番待ちができるほどの人気ぶりだ。
http://crea.bunshun.jp/articles/-/12394

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「シングル・マザーは男を捕まえることもしないぐうたら」

2017-02-04 | 先住民族関連
日豪プレス-2017年1月31日
 ポーリン・ハンソン・ワンネーション党は、QLD州やWA州の州議会選挙に選挙区ごとに候補を立てると宣言しているが、候補者の不適切な発言などで次々と公認から落とされ、あるいはハンソン党首やジェームズ・アシュビー顧問と対立するなどで紛糾している。
 今度は、2017年WA州議会選挙のワンネーション党公認候補が、「シングル・マザーは男も捕まえられないぐうたらだ。そういう者を血税で援助するべきではない」と書いて騒ぎを読んでいる。
 WA州議会選挙にピルバラ選挙区から立候補しているデビッド・アーチボルド氏は、クォドラント誌に投稿した論説について、「間違ったことは書いていない」とあくまでも突っぱねている。
 2015年、トニー・アボット首相(当時)は、遠隔地の先住民族コミュニティ住民は「そういうライフスタイルを選択しただけ」と語り、論議を呼んだ。それを受けて、アーチボルド氏は、保守系雑誌「クォドラント」に、「生活保護を外すべきライフスタイルの選択」として、シングル・マザーは男を捕まえられないぐうたらとして、「300万年の人類の進化を逆戻りしているのだろう。その結果は、ぐうたらで不細工な人間が増えることになるのだろう。今日では妊娠の原因が明らかなのだから、妊娠するのはすべて任意だ。そういう者に生活保護は要らない」と書いている。
 同じように、障害者年金や託児費手当ても必要ないとしており、極めつけとして、アボリジニ混血が盗まれた世代というのは作り話だと書いている。
 QLD州選挙では、ピーター・ロジャーズ候補が公認を剥奪され、中国系のシャン・ジュウ・リン候補は公認を取り消された上に自分が委員長をしているイプスイッチ市多文化フェスティバル実行委員会の予算を取り消されている。また、アンディ・センプル氏は自ら公認を辞退している。
 また、ドウズビル選挙区のローレンス・シェーブ公認候補は2015年のフェースブックで、「ビキニでバリスタの仕事をしてくれる若い女性募集」と宣伝したことが知られている。
■ソース
WA election 2017: Pilbara One Nation candidate says taxpayers should not fund ‘lazy’ single mums
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/138719/

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「ダイハツ トーテム」いよいよ開幕 東京、大阪、名古屋で100万人以上動員 「シルク・ドゥ・ソレイユ」新作

2017-02-04 | 先住民族関連
西日本新聞 2017年01月31日11時49分 (更新 01月31日 11時54分)

「人類の進化」をテーマにした「ダイハツ トーテム」
■2月3日~3月19日 福岡ビッグトップ
 カナダの人気エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の新作「ダイハツ トーテム」福岡公演が2月3日、福岡市東区馬出の福岡ビッグトップ(筥崎宮外苑)で開幕する。3月19日まで。
 ●「人類の進化」テーマ
 「トーテム」は人類の進化がテーマ。すでに上演された東京、大阪、名古屋の3会場では、計100万人以上が来場した。
 ステージでは、地球に誕生した生命が数億年をかけて進化する壮大な物語を、北米先住民族の伝承や文化を基に表現する。冒頭は、カエルたちが鉄棒で回転したり跳びはねたりする場面。さらに高さ2メートルの一輪車に乗った少女が蹴り上げた金属製ボウルを頭でキャッチしたり、宇宙服のような衣装の男女が細長い板の反動を利用して高く跳び上がったりと、人類がたどったさまざまな場面を華麗なアクロバットで演じる。
 今回、3次元で映像を投影するプロジェクションマッピングを導入。ステージは、火山や湖などへと変化していく。
 問い合わせは福岡公演チケットセンター=092(714)0159。
http://www.nishinippon.co.jp/feature/jigyo_news/article/304976

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マイECO チョコの背景に思い 貧困や格差、地球の現状を知る

2017-02-04 | 先住民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2017年1月31日 東京朝刊

 チョコレートを通じて貧困や地球環境の現状を知ってもらおうと、非政府組織(NGO)やフェアトレード(公正貿易)を推進する企業がキャンペーンを展開中だ。原料のカカオ豆の産地では児童労働や原生林の伐採による森林減少などの問題を抱えており「自分たちが選んだチョコの背景に思いをはせてほしい」と呼びかけている。【明珍美紀】
 「パプアは自然に恵まれたパラダイス。そこで育ったカカオを食べることが、自然と共生する先住民族の暮ら…
残り2145文字(全文2352文字)
http://mainichi.jp/articles/20170131/ddm/010/040/019000c
 「パプアは自然に恵まれたパラダイス。そこで育ったカカオを食べることが、自然と共生する先住民族の暮らしのサポートになる」
 東京都千代田区丸の内のレストラン「大地を守るDining(ダイニング)」。今月下旬にあった「チョコレートナイト」と名付けたイベントで、交易会社「オルター・トレード・ジャパン」(ATJ)事業部の津留歴子(あきこ)さん(56)が強調した。
 参加者の前に並ぶ料理の一品はカレー風味のライスコロッケだ。中に入っている粒はカカオニブ。カカオ豆を焙煎(ばいせん)して砕いたもので、カレーとカカオがあいまって独特の味を醸し出す。
 インドネシア最東端のパプア州では、先住民族の人々が森を守りながら農薬や化学肥料を使わずにカカオを栽培している。だが、インドネシア全体では、森を伐採してアブラヤシの農園に転換するなど「カカオの生産量は減少傾向にある」という。ATJでは2013年から先住民族の生産団体のカカオを輸入しており、チョコのほかカカオニブやココアパウダーなどを商品化。この冬は「パラダイス・パプア」(2種類、各600円前後)と名付けた新商品のチョコを日本とインドネシアで同時期に売り出した。
 「パプアの生産者はカカオ豆を仲買人に売るだけでチョコレートを食べる機会がほとんどなかった。このチョコは乳化剤や香料は入れず、カカオが森の果実だと実感できる味」と津留さん。実際に、自分たちが育てたカカオが「こんなにおいしいものになる」と知った生産者たちの間で「質を上げよう」と意欲が高まっているという。
 ◆
 イベントは2月14日のバレンタインデーを前に「チョコを使った料理を食べながらカカオにまつわる事情を学ぼう」と企画された。ATJのほか、有機農産物の宅配会社「大地を守る会」やフェアトレードの専門ブランド「ピープルツリー」などで構成する「チョコレート・アライアンス」のキャンペーンの一環だ。
 児童労働のない「チャイルドレーバーフリー」のカカオでチョコを製作した三枝俊介さん=東京都千代田区で
 メンバーのうち児童労働の問題に取り組む非営利組織(NPO)「ACE(エース)」は、日本を代表するショコラティエ(チョコレート職人)の一人、三枝俊介さん(60)=「パレ ド オール」オーナー=との協働でオリジナルの「ガーナスマイル カカオプレミアム」のシリーズを昨秋、発売した。
 カカオの一大産地、西アフリカのガーナでは子どもたちが過酷な労働を強いられる実態がある。ACEが支援する同国アシャンティ州の農園は、児童労働のない「チャイルドレーバーフリー」のカカオを栽培する。三枝さんはそのカカオを用いてタブレット(板状のチョコ)など2種類を製作した。価格(1064円から)には200円の支援金が含まれ、教育や農家の技術援助などに役立てられる。
 ◆
 一方、南米エクアドルのチョコレート工房と提携する「スローウォーターカフェ」は、カカオだけでなく果物や穀類を栽培する農家を応援する。新作は在来のアリバ種のカカオを使った粒状のホワイトチョコ。中にはカカオニブやゴールデンベリーが入っている。
 代表の藤岡亜美さん(37)は「チョコができる背景を知ることで、貧困や格差が生まれるいまの社会や経済の問題点が見えてくる」と言い、「生産者も食べる人も幸せになれるチョコを選び、すてきなバレンタインデーを過ごしてほしい」と話す。
チョコレートやカカオを使った料理を試食する濱田一輝さん(左)
コース料理で「味の冒険」
 チョコレートナイトで出されたコース料理は大地を守るDiningの店長、村上賢一さん(40)がメニューを考えた。
 前菜の生ハムで板チョコを包んだり、メインの短角牛(岩手県産)の煮込みはソースにシナモンやショウガ風味のチョコとカカオバターを加えたり。「自分でも味の冒険した」。母親と参加した濱田一輝さん(7)は「意外と合うね」とにっこり。一部のメニューは2月14日までの期間限定で提供している。
植物の恵みに感謝込め
 ピープルツリーのフェアトレード・チョコレートが、東京都千代田区の毎日新聞東京本社1階の「MOTTAINAI Shop」で販売されている。
 カカオは主にボリビアの小規模農家による生産者組合「エル・セイボ」から仕入れ、新シリーズの「ベジチョコ」は、ココナツミルクやザクロ入りなど4種類(各378円)。「植物の恵みに感謝する」という意味が込められている。
ウィンクイストさん
北欧と南米の素材生かす
 フィンランド屈指のショコラティエ、メルセデス・ウィンクイストさん(53)が、2月2~5日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催されるチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ2017」に初出品する。
 カカオの産地、南米ベネズエラ出身で、フィンランド南西部の自治領、オーランド諸島に工房を構える。カカオは母国から仕入れるが、バターやハチミツはオーランド産だ。夫は地元の陶芸家、ペーテルさん(76)。メルセデスさんは、ベネズエラを訪れたペーテルさんと知り合い、海を渡った。「彼女は混ぜ合わせる素材の比率を変えながら味を追求している」とペーテルさん。本格チョコを求めて北欧以外からも人々が島を訪れ、地域活性化に一役買っている。
 マイECOの「マイ」は、「MY(私)」と「毎日新聞」の「毎」をかけたものです。健康医療・環境本部では、「身近なエコを分かりやすく伝える」をコンセプトに、環境関連の特集記事や毎日の生活に役立つ情報をお届けしていきます。
http://mainichi.jp/articles/20170131/ddm/010/040/019000c

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