先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

先住民族アイヌの尊厳を重視 国立博物館構想

2013-08-31 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2013年 8/30)
 文化庁は29日、白老町のポロト湖畔周辺に整備する「民族共生の象徴となる空間」(象徴空間)の中核施設に位置付ける国立博物館の基本構想を公表した。博物館の整備・運営調査検討委員会(座長・佐々木利和北大アイヌ・先住民研究センター特任教授)がまとめたもので、理念や目的など5項目からなる。2014年度中をめどに基本計画を策定し、施設展示の基本設計や実施設計を進める。整備予定地の白老町でも同日、町議会に説明が行われ、関係者から期待の声が上がった。
 白老町では、文化庁の記者発表と同時刻に町議会の全員協議会を通じて構想概要を説明した。
 町生活環境課が示した基本構想では、「先住民族であるアイヌの尊厳を尊重し、国内外にアイヌの歴史・文化等に関する正しい認識と理解を促進するとともに、新たなアイヌ文化の創造および発展に寄与する」とする理念を明記。次世代の専門家育成や歴史と文化に関する調査研究、他の博物館とのネットワーク拠点など四つの目的を掲げた。基本的な業務は、(1)展示(2)教育・普及(3)調査・研究(4)博物館人材育成(5)収集・保存・管理―としている。
 博物館の組織・運営は国が主体的な役割を担うが、地元の白老町や北海道アイヌ協会、道アイヌ文化財団などが役割に応じて連携協力する仕組みをつくる。アイヌ民族の人たちが参画できる体制も構築していく。
 基本計画の策定に向けては、調査検討委員会に「展示・調査研究」「整備施設」「組織運営」の三つの専門部会を設置し、検討を進める。
 各部会には白老町から、村木美幸アイヌ民族博物館専務理事=展示・調査研究および組織運営の専門部会を担当、野本正博同常務理事・館長=同施設整備専門部会=、白崎浩司白老町副町長=同組織運営専門部会=の3人が委員として参加。新ひだか町から、藪中剛新ひだか町静内郷土学芸員が展示・調査研究専門部会の委員に加わる。
 生活環境課の廣畑真記子アイヌ施策推進担当課長は文化庁の基本構想を踏まえ、「設計段階になればある程度の形が見えると思う。専門部会での検討を待って具体内容が出てくると期待している」と説明。各ゾーンの取り扱いでは「全体ができて初めて象徴空間としてオープンできる。文化庁と国土交通省、内閣官房が連携して作業を進めている」などと語った。
 このほか、専門部会委員が現地視察のため、近く来町する見通しが示されたほか、9月11日に札幌で開かれるアイヌ政策推進会議の全体会合で、「(全体計画に関わる)スケジュールが示されるという話もある」などと述べ、プロジェクトの進展に期待を寄せた。
http://www.tomamin.co.jp/2013084241

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春採アイヌ学校の永久保秀二郎 教育差別抗議、気骨の教師

2013-08-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞(2013/08/20)
ピヤラ アイヌ民族の今
退職後は文化保存尽力
 明治から大正期にかけ、釧路市内でアイヌ民族の教育に尽くした人がいた。春採アイヌ学校で教師を務めた永久保秀二郎(1849~1924年)。在職中、国の理不尽な教育差別に抗議した一方、退職後は春採のアイヌ集落にとどまり、民族文化の保存に努めた。(桜井則彦)

 宮城県出身の永久保は函館で教師となった後、釧路へ移住。キリスト教団体の釧路聖公会が1891年(明治24年)に設立した春採アイヌ学校で、開校時から1920年(大正9年)まで教師を務めた。読書や作文、算数などを教え、時にはコタンの家を自ら回り、子供たちに入校を勧めたという。
「雑録」まとめる
 永久保が在職中の16年(同5年)、旧土人児童教育規定により初等教育の修業年限が、アイヌ民族は6年から4年に短縮された。一般の修業年限は6年のままで、明らかな差別だった。
 今月4日、市立釧路図書館で開かれた、釧路アイヌ文化懇話会の例会で永久保の足跡を紹介した郷土史研究家中村一枝さん(82)=札幌在住=によると、永久保は、文部省の督学官が視察のため来校した際、アイヌ民族の児童も修業年限を6年とするよう抗議したという。
 当時学校を経営していた聖公会は、英国人宣教師ジョン・バチェラー、ルーシー・ペインらがアイヌ語をローマ字表記した福音書を使い、聖書の授業を行った。母語尊重の教育環境の中、永久保もアイヌ語への関心を深めていった。
 退職後も春採のアイヌ集落で教え子や集落のアイヌ民族と交流を継続。アイヌ民族4人の協力でアイヌ語を聞き取り、「アイヌ語雑録」をまとめた。
 中村さんは「雑録のアイヌ語は日常生活、伝承、教訓など1800語にも上る。永久保がアイヌ文化を大事にしているのがよく分かる」と話す。
教え子ら顕彰碑
 春採アイヌ学校があった付近には現在、永久保の業績をたたえる石碑が建つ。建立は永久保の死後13年たった37年(昭和12年)。教え子たちが中心となって資金を集め、集落総出の労力奉仕で完成したという。
 永久保やアイヌ学校が果たした役割について鈴木史朗・道教大名誉教授(釧路在住)は、「アイヌ文化の保存やアイヌ語の記述に大きな足跡を残している」としている。
◇アイヌ学校◇
 1877年(明治10年)、対雁(現在の江別市)に置かれ、その後道内各地に官公立と私立の学校が広がった。その数は少なくとも40校に上るとみられる。各学校で経営や教育内容には差異があり、授業料の徴収がなかった春採ではアイヌ民族以外の就学も少なくなかった。釧根管内では春採のほか茂尻矢(釧路市)、白糠などに設置された。各学校は昭和初期までには廃止あるいは尋常小学校などへ移管した。
http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/piyar/207722.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(社説)新博物館構想 アイヌ民族の尊厳が柱

2013-08-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞(2013年8月30日)
 文化庁は胆振管内白老町に計画している国立博物館の基本構想を発表した。
 アイヌ民族の文化・歴史に特化した政府主導の発信拠点として、国内では先例のない博物館となる。
 多様な文化を尊重し、異なる民族が共生するための礎となる施設を実現してほしい。
 新しい博物館構想の発端となったのは、2007年の「先住民族の権利に関する国連宣言」と08年の「アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議」である。
 これらに基づき設置された政府の有識者懇談会が、アイヌ文化を継承する「民族共生の象徴空間」の開設を提言し、公園や慰霊施設とともに博物館の建設が浮上した。
 基本構想は、その理念を「先住民族であるアイヌの尊厳を尊重する」と明記している。
 社会から差別や偏見をなくし、尊厳を守るためには、博物館の展示・研究が、和人とアイヌの過去の不幸な関係を直視するものでなければならない。
 アイヌ民族を差別し、抑圧してきた歴史を認識し、狩猟採集という生活基盤を奪ってきた反省に立つことこそが出発点だ。
 基本構想が「歴史の正しい理解」「アイヌと和人の交流」との表現にとどまり、こうした歴史認識を示さなかったのは踏み込み不足の感が否めない。来年度をめどに策定する基本計画では明確にすべきだ。
 業務の柱は展示、教育、調査・研究、人材育成、収集・保存の五つで、「新たなアイヌ文化の創造と発展に寄与する」とうたった。
 博物館を単に「過去」にとどめてはならない。伝統を生かし、工芸や歌・踊りなどをさらに発展させ、担い手が自立できる環境づくりを目指すことが重要だ。
 アイヌ民族が祖先から受け継いできたものは、木彫りや刺しゅうなどの物質文化だけではない。多種多様な口承伝承や儀礼も重んじてきた。
 基本構想が、アイヌの精神世界を含む正しい知識と理解の促進を目標に掲げたことは評価できる。精神文化を抜きに世界観や自然観を語ることはできないからだ。
 欧米では民族研究のあり方が近年、大きな変化を遂げ、文化の継承と権利の回復に何が必要かといった視点が不可欠となった。
 民族出身者の文化施設への運営参加と、研究者の養成が重視され、世界各地の民族との交流を通じた課題解決の方法も模索されている。この視点を大事にしてほしい。
 アイヌ文化に対する国内外の関心は高い。博物館には、その価値を世界中に発信する役割を期待したい。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/488588.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オバマ大統領「黒人への不平等は残存」―ワシントン大行進50周年で

2013-08-31 | 先住民族関連
ウォール・ストリート・ジャーナル2013年 8月 29日 12:13 JST
【ワシントン】オバマ米大統領は28日、50年前に故キング牧師が黒人への人種差別撤廃を求めた「ワシントン大行進」で「私には夢がある」と叫んだリンカーン記念堂前で演説し、「世界中はワシントン大行進で力を得たが、黒人に対する経済的な不平等や低賃金は続いており、故キング牧師の夢は一部しか実現していない」と訴えた。
オバマ大統領は、選挙権や公民権の獲得、法的な差別の撤廃で、キング牧師の目標の一部は達成されたとしながらも、黒人と白人との間の所得の不平等や失業率の格差など未達成の課題もあると指摘し、雇用が1963年の大行進の主たる目標であったことを人々に想起させた。大統領は現在、議会の抵抗で立ち往生している自らの経済課題について実現させようと取り組んでいる。
 この日のワシントン大行進50周年記念イベントでは、オバマ氏のほかクリントン、カーター元大統領、黒人の著名トークショー司会者オプラ・ウィンフリー氏、公民権運動の指導者ジョン・ルイス下院議員も演説し、故キング牧師を称えた。クリントン氏は、人種間の不平等はあるものの、「米国民は今では政治的信条のためにリンチを受けたり射殺されたりしていない」と述べた。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323779204579041832567603164.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ文化振興博物館の基本構想を報告 情報発信拠点に

2013-08-31 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2013年8月29日19時7分
 アイヌ文化振興のナショナルセンターとして、政府が北海道白老町に整備する「民族共生の象徴となる空間」について、文化庁の検討委員会が29日、中核施設となる博物館の基本構想を青柳正規・文化庁長官に報告した。アイヌ民族の歴史や文化の正しい認識や理解の促進のための展示や調査・研究を行うほか、資料の収集や情報発信のための海外の研究機関などとのネットワークの拠点とする。
 2007年に国連で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」や、翌年の衆参両院での「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」採択を受け、政府は「象徴空間」の検討を進めている。博物館の具体的な展示方法などは、文化庁の検討委がさらに協議し、来年度中に「博物館基本計画」をまとめる予定で、青柳長官は「スピード感を持って計画を実施していきたい」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0829/TKY201308290183.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ようこそ北海道へ 新千歳空港でイランカラプテキャンペーン

2013-08-31 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2013年 8/29)
 アイヌ語のあいさつ「イランカラプテ(こんにちは)」を、北海道のおもてなしの言葉として普及を図る「イランカラプテキャンペーン」の開始イベントが28日、新千歳空港国内線ターミナルビル2階のセンタープラザで開かれた。アイヌ伝統の古式舞踊が披露されたほか、アイヌ文様とハートを組み合わせたロゴマークを発表した。
 キャンペーンは、政府と道、道内自治体、北海道アイヌ協会、大学など14の団体・大学・行政で組織する同推進協議会(会長・小西昭内閣審議官)の主催している。イランカラプテの言葉を広め、おもてなしの心と、アイヌ文化に関心・興味を持ってもらおうと取り組む。13~15年の3カ年の事業。インターネットで情報発信し、空港や道の駅での展示、文化体験イベントの開催、ポスター・パンフレットの作製などを行う。趣旨に賛同する団体や個人のサポーターも募集する。
 空港でのセレモニーには約70人が出席。小西会長が「アイヌ文化により関心を持っていただくため、民間、学識者、行政とできるだけ広い方々の協力を得て進めたい」とあいさつ。キャンペーンのロゴマークをお披露目したほか、アイヌ民族博物館(白老町)の職員が古式舞踊や伝統楽器ムックリ(口琴)、弦楽器トンコリを演奏した。
 北海道アイヌ協会の加藤忠理事長はロゴマークを「ハートが素晴らしい柔らかな表現」と話し、「(キャンペーンは)日本の健全な他民族共生社会の出発になる」と語った。 
 セレモニー参加者は、東京からの到着客の出迎えも行った。
http://www.tomamin.co.jp/2013084196

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

広がれ「イランカラプテ」 新千歳空港 キャンペーン開始式

2013-08-31 | アイヌ民族関連
北海道新聞 (08/29 10:49)
 【千歳】アイヌ語のあいさつ「イランカラプテ」(こんにちは)をおもてなしの言葉として普及させるキャンペーンの開始式が28日、新千歳空港で開かれた。
 国や道、道内のアイヌ民族研究者らでつくる「イランカラプテ」キャンペーン推進協議会が、アイヌ文化への関心を高めてもらおうと始めた取り組み。ホテルでの観光客へのあいさつや無償使用できるロゴマークの利用などで、イランカラプテの言葉を広げていく。
 式典には、高橋はるみ知事ら約70人が出席し、アイヌ文様をあしらったハートマークのロゴマークを発表。
 北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は「多民族共生社会への新たな出発になる」とあいさつし、同協議会の小西昭会長=内閣官房アイヌ総合政策室長=は、「アイヌ民族の生活向上に向けた国民の理解につなげたい」と語った。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/488380.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする