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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

サハリン先住民族「ニグマー」、文字化に着手 ウイルタの叙事詩 北大

2009-06-02 | 日記
(北海道新聞06/02 08:06)

 伝承者が途絶えたロシア・サハリン州の先住民族ウイルタの英雄叙事詩「ニグマー」を後世に伝えようと、北大がウイルタ語を話す女性3人を同州から招き、文字化する作業を始めた。戦後、同州から道内に移住したウイルタの血を引く女性から、1975年に採録したテープを使う。ウイルタ語の原文に日本語、ロシア語の訳を付けて本年度内の刊行を目指す。
 ニグマーは、アイヌ民族の「ユーカラ」に当たる重要な口承物語。テープには、人間の男性と「上」の世界から来た女性の間に生まれた男の子シーグーニが、多くの魔物と戦って両親の元に戻る話が録音されている。47年に道内に移住し、85年に釧路市で亡くなったウイルタの血を引く佐藤チヨさんから、北大の池上二良(じろう)名誉教授(言語学)が聞き取った、4時間半を超える長編だ。
 録音は、語りはウイルタ語だが、挿入歌は近隣に住み言葉も似る先住民族エベンキの言葉で歌われる。エベンキから叙事詩が伝わった可能性があるという。そのため今回はウイルタ語を話すエレーナ・ビビコワさん(68)、イリーナ・フェジャエワさん(68)とエベンキ語のクラウディヤ・マチェヒーナさん(68)が6日までの1週間、テープから文章を起こす作業に当たる。帰国後も継続してもらう。
 北大大学院文学研究科の津曲(つまがり)敏郎教授(言語学)は「ウイルタ語を自在に話せる人は20人ぐらいに減った。今が最後のチャンス」と意義を強調。ビビコワさんらは「ニグマーは幼いころに聞いた覚えはあるが、伝承者はみな亡くなった。日本で記録してくれることはありがたい」と喜ぶ。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/culture/168902.html

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30歳、一人で伝える言語 言葉よ、よみがえれ―1

2009-06-02 | 日記
(朝日新聞2009年6月1日15時1分)
 
 世界60億人のなかで母語とする人が独りぼっちの言語――。その存在は、国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)が2月に発表した「消滅の危機にさらされている言語」に関する調査結果に記載されている。ラトビアのバルト海沿岸の漁村に伝えられるリボニア語(リーブ語)だ。
 ユネスコの調査結果の代表編集者で自らもバルト諸語を専門とする言語学者クリストファー・モズレー氏から「この人でないか」と聞いて訪ねたのは、意外にも、まだ30歳の女性ユルギ・スタルテさんだった。フォークグループ「トゥリ・ルム」(リボニア語で「熱い雪」)のボーカルを長年務めた歌手だ。歌のほとんどをリボニア語で歌う。
 スタルテ家は、リボニア語最大の詩人カルリス・スタルテ(1870~1947)を生んだ名家。しかし、この言語を話したのは祖父母の代まで。ソ連支配下でリボニア語は弾圧を受け、多くの人がラトビア語に生活言語を変える中、ユルギさんの両親もラトビア語で育った。リボニア語はウラル語族に属し、印欧語族のラトビア語とは構造は全く異なる。
 リボニア語をわずかしか話せない両親の世代を飛び越えて、ユルギさんがこの言語を受け継いだのは、両親が祖父に「ユルギにリボニア語で語りかけて」と頼んだからだ。「それがリボニア語を救う唯一の方法だと思ったから」と母ヘルミさん(60)。
 ユルギさんは他のラトビア人が通う幼稚園にも行かず、祖父のもとで昔話を聴きながら成長した。海の民リボニア人が宝とする船の物語、世界の始まりの神話、民族が生んだ偉人の逸話――。92年に祖父が亡くなるまでリボニア語で会話を続けたのだった。
 ユルギさんはいま、長男カルリスオスカルス君(10)と長女レリュちゃん(3)にリボニア語で毎日話しかける。
 言葉を失ったリボニア系市民の間で近年、言語習得運動が盛んだ。ユルギさんも頻繁に指導に出かけ、リボニア語の歌を一緒に歌う。
 取材を進めるうち、ラトビアには隠れたリボニア語の話者がいる可能性が高いことがわかってきた。カナダに住む99歳のラトビアからの移住者も知られている。
 ただ、母語話者が数人レベルに落ち込んだ言語が復活し得るだろうか。多くの言語学者は否定的だが、ラトビア大学現代言語学部のエドガルス・オシンシュ学部長(60)は「古代のヘブライ語を復活させたイスラエルの例もある。人々の意思がある限り言語の復活は可能だ」とみる。
 ユルギさんは語る。「人がその言語を自らの魂と受け止めるなら、いくつかの単語や文章を話せるだけでも素晴らしいこと。リボニア語を話す社会もいつかきっと再興できると思います」(リガ=国末憲人)
    ◇
 世界各地で失われていく言語がある。保護と復興を目指す人々がいる。ユネスコは、日本のアイヌ語や琉球諸語など約2500の言語が消滅の危機にさらされているとした。そうした言語が残る地を訪れた。
http://www.asahi.com/special/mukeiisan/TKY200906010236.html

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