西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

人口縮小時代のまちづくり

2011-05-17 | 地域居住学
昨日、科学者会議奈良支部総会があって参加、その前に講演会があった。講師は中山 徹さん(奈良女子大教授)で演題は「人口縮小時代の都市計画」だった。

中山さんは、先ずマクロ人口の予測について述べた。20世紀の初め西暦2000年頃(明治時代)には日本の人口は4300万人、(私の子供時代1955年前後には8000万人、)ピークに達したのは2004年の1億2700万人だった。

さて、そこから将来の人口推移を予測するとして、特殊人口出生率(女性が生涯生む子供数)が1.37(最近の値)とすると、21世紀末には4700万人になると言う。

つまり20世紀初めの人口が21世紀初頭に3倍になり、今後22世紀初めには1/3になり20世紀初めに逆戻りと言う。えー!と思った。

そこまで減らないように少子化対策を鋭意して出生率1.75ほどに保たれば、7千万人ほどになる希望もない訳ではない。いずれにせよ人口は右肩下がりに減少する。

しかし、これらの日本人口予測は、移民を大々的には受け入れない、という前提に立っている。

こういう人口縮小時代の「まちづくり」はどうあるべきなのか、今から真剣に考える要がある。しかも高齢者が圧倒的に多くなり子供は極めて少なくなるという条件があることを頭におく必要がある。

中山さんは、あるうべき姿の先行事例としてドイツ(旧東ドイツー東ベルリン)での「減築」(増築の反対)の例、韓国(ソウル)での道路から以前の川への復原例、ヨーロッパでの市電の復活(中都市100万人位まで)例をスライドで示された。

日本でも、こういう「賢い衰退(smart decline)」「創造的縮小(creative shrinkage)」を追求せざるをえなくなるだろう。

都市だけでなく、経済、組織(会社、行政、大学)なども縮小せざるをえなくなる。今までのように右肩上がりの姿は忘れる要があるが、何せ歴史上初めてのことなので、すぐに想像できない面が多いが、とにかく取り組まざるをえないのである。

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