西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

木使いへの気遣い

2006-12-06 | 時論、雑感
今朝の『朝日』大阪本社版を見ていたら、熊本で行われた、外国材に押されて国内の林業は放置され、山は荒れ放題、どうしたら国産材、間伐材をもっと利用して、手入れの行き届いた山林を取り戻すか、今が最後の崖っぷちのチャンスでは・・とのシンポジュウムの概要が報告されていた。新井 満さん(平安女学院大学客員教授)が「木を植えた男」の話を基調講演でされたようだ。シンポジストの発言概要も見て危機感を抱いたのは私だけではあるまい。
日本は、森林、木材の国なのに、その活用が真剣に考えられ実行されてきたのだろうか。イギリスに行くと窓のサッシュは何処へ行っても殆ど木製で、大抵、白ペンキが塗られている。日本ではアルミサッシュが殆どだ。屋内外の手すりも前から間伐材にしたら・・、と言っているが金属製が多く、木への転換が中々進まない。今朝、バスに乗って金属製の手すりを握って立っていたが、これが木なら手にも優しいのに、バスや電車の手すりは金属製と決まったものでなく、木製にする研究開発もしたらどうか、とふと思った。昨日、空間デザイン演習で、割り箸と画用紙とスチレンボードで自由な空間を造る課題を言ったら、学生の一人が「生活環境学部の先生が、割り箸をそんなに使う課題出すのはどうなんですか」と突っ込んできた。間伐材を有効利用するなら割り箸も良いのではないか・・、と間伐材のことも説明しておいたが・・。「木使いへの気遣い」は、林業関係者だけでなく国民全体で実行すべき課題である。

・手すり木を 握りて 去る日を 想いけり  市路
(注:「去る」に「猿」の含意あり)

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菊岡 倶也(きくおか ともや)さんのこと

2006-12-06 | 諸先生・諸先輩・同輩・諸後輩の思い出
建設産業図書館館長をしておられ建設文化研究所も主宰していた菊岡 倶也(きくおか ともや)さんが今年の1月に亡くなられた。享年68歳。最近、奥さんから「喪中案内」がくるまで知らなかった。菊岡さんは 独立行政法人(旧建設省)建築研究所、財団法人日本建築センター勤務しておられた。その間、芝浦工業大学建築工学科で25年間「建設産業論」を講義。著書に「建設業 新しい産業理念の確立のために」、「建設業を興した人々 いま創業の時代に学ぶ」、「日本土木建設業史」(共著)、「建築・土木 今日は何の日」などがある。これらは知られた情報であるが、私は京大助手のころ(1970年~1974年)から当時、建設省建築研究所におられた菊岡さんを存じ上げ、資料整理等についてお聞きしたりしていた。その後、建築研究協会の『建築の研究』という雑誌に菊岡さんの紹介で数回投稿させていただいた。西山先生が亡くなられた後、「西山記念文庫」についても書かせていただいた。ご冥福をお祈りする。 (写真は、建設産業図書館館長の菊岡さん)