あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

誰にも書ける一冊の本

2019-09-20 16:24:25 | 

 この7月に亡くなったオヤジの洋服ダンスや収納スペースから大量に出てきたものは、洋酒(もちろん封は空いてません)、新品の靴下(段ボール一杯の量の新品ですが、オヤジの足のサイズは24.5cm)、コピー用紙、茶封筒でした。洋酒や靴下は満中陰志の日に親戚で分け、コピー用紙と茶封筒は井戸書店で有効利用しています。

 さて、本書では、「入院している父がもう危ない」という連絡で帰省した時に、母から渡された原稿用紙は父が自分の人生を振り返った自分史。高校を卒業してから、函館を離れ、男子の常として、めったに帰省しない息子は父の生き様を知りませんでした。読み進めるうちに、フィクションめいていると思いながらも、父の生き方を知ることは息子にはとても貴重なことでしょう。人生の時々でどう思い、そして、どう行動したのか?これらをインプットするだけで、息子である主人公は自分の人生を豊かにできるのではないでしょうか。

 「息子よ、娘よ。   人生は、何をしたかではない。何をなそうとしたかだ。」

  「人は人生を一炊の夢に譬えるが、私には、ひとひらの雪に感じられる。てのひらの雪は、たちまちのうちに溶け、ひと滴の露となる。             指間から消えまいと、拳を握り続けるうちが人生だ。」

 この原稿用紙の存在が親子の絆を深めてくれます。私には、父が書き残したものはありませんが、残したものに思いを見出し、父との絆を深めようと思います。

『誰にも書ける一冊の本』(荻原浩著、光文社文庫、本体価格457円)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 令和の現場力 | トップ | 「空腹」こそ最強のクスリ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事