19年前に書かれた本ですが、内容が全く古びていないというか、書名ではありませんが、さらに、いぶし銀の如く輝いています。
書かれた当時よりも、デジタルのスピードは速く、その進歩は計り知れませんが、そうであればこそ、金よりも銀を目指そうという提案です。これは、昨今の禅流行りではないですが、「いまここ」を大切にする生き方です。例えば、友とのやり取りはメールよりも手紙やハガキで行い、散歩で季節を感じ、お寺で座禅を組むよりも毎日の深呼吸と、簡単でしかも心潤う方法を実行すると良いですよね。
本書で感銘を受けたのは、
「長い物差しを持て!」
ということです。著者がイスラエルのベドウィンという遊牧民のおじいさんに夜に話を伺ったとき、「こんな何もないところで生活していて、寂しくはないですか」という問いに、「寂しいものか。わしは毎晩、星と語っているんだよ。」という渋いお答え。おじいさんの心の中にある「悠久の時間という物差し」を、私たちも持っていたはずですが、便利な生活に慣れ、自然との距離が増すと、短期的な視点が主流になり、イライラとしてしまう。天との対話をできるぐらい、心にも時間にも余裕のある生き方を目指したいと思います。
『金の人生 銀の人生 毎日がいきいきと楽しくなる』(松永伍一著、祥伝社黄金文庫、本体価格552円)