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『塞王の楯』で直木賞を受賞された今村翔吾さん。受賞後第1作目は3月22日発売予定の『幸村を討て』です。
舞台は大阪冬の陣、そして夏の陣。豊臣を滅ぼし、徳川の世を安泰にすべく、家康は難癖付けて、戦国最後の戦いに臨みます。関ヶ原合戦で西軍に付いた諸将以下の武士は、豊臣方が負けると認識しながらも、大阪城に入城します。それは、功なり、名を挙げ、名を残したいという武士と、戦功を作り、その評価を徳川方への売り込み材料にしようとする強かなものたち。
しかし、真田一族は独自の道を歩みます。父・真田昌幸の夢であった、悠久の歴史に名を残すだけでなく、真田家を現実に残す、つまりは大名家の一つとして徳川の世に生きる、二者両得に邁進します。兄・真田信之、弟・真田信繁(大阪城入城後は「幸村」と名を変える)は配下の草の者(いわゆる忍び)を駆使し、敵も味方も操りながら、戦いに挑みます。徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永らは自らの思惑を持ちながらも、まんまと真田の術中にはまっていきます。
戦後、家康は真田信之が背信の疑いを持っていたのでないかと尋問しますが、書名の『幸村を討て』というキーワードが、家康VS真田のバトルのファイナルアンサーになります。真田一族の強固な絆で結ばれた家族愛は盤石でした。
真田の物語に色を添えるように、淀殿(茶々)と毛利勝永との、幼少からの約束を守るストーリーも美しい。
戦国の歴史小説ながら、自分に振り返って、どう生きるのか、目指すものがあるのかを問われています。
『幸村を討て』(今村翔吾著、中央公論新社、本体価格2,000円、税込価格2,200円)
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