神戸に関わる人として、灘中学校、灘高校へ通った中島らもを選び、本書は彼の奥さまの美代子さんによる、らもと知り合った彼が18歳から死去する53歳までの生活を綴っています。奇想人らもはこのようにして出来上がったのがよくわかりました。
彼らの暮らしは彼らだけでなく、らもの知り合いが彼らの家に集まって生活していたという奇妙奇天烈な毎日を送っていました。酒、睡眠薬、麻薬、セックス何でも有り。しかし、これが小説家、エッセイスト、コピーライター、芝居、バンドと多くの分野で活躍した根源だったのか。わかぎえふに支配される形で仕事も生活もすべて美代子さんから離れていたらもも、芝居でのスタンスの違いから元の鞘に収まります。
二人にはそれぞれの世界がありながらも、「二人は一人だけど、一人は一人だからね。」という言葉は愛情表現の極みかも知れません。美代子さんかららもへのラブレターみたいな本なんだなぁ~。
『らも 中島らもとの三十五年』(中島美代子著、集英社文庫、本体価格560円、税込価格616円)