主人公・今昔亭三つ葉は二つ目の26歳の落語家。しかしながら、近頃は高座での調子がいま一つで、自分の落語に自信が持てない。そんな彼におしゃべりを学びたいがために、落語教室をしてほしいという。テニスのコーチをするいとこ、おしゃべり教室に通っていたOL、大阪から転校してきたが、大阪弁しか話せないためにイジメを受けている小学5年生男子、そして、仕事でうまくしゃべれない野球解説者が集い、『まんじゅうこわい』を稽古します。最後には発表会までやってしまい、その顛末はお読みください。
落語家として悩みを抱える三つ葉はこれからどうするべきか、どう落語を捉え、いかなる落語家になるかについて考えるにあたって、落語教室に通う4人へのアドバイスが自分の心にも突き刺さっていると思います。そういう意味では、「教える」ことは一番の学びであることになっているのでしょう。つまり、アウトプットをすることが人を育てるんですね。
『しゃべれども しゃべれども』(佐藤多佳子著、新潮文庫、本体価格710円、税込価格781円)