あなたの本の世界を変えましょう!

板宿の書店主から見た、本・まち・環境を語ります!

左脳さん、右脳さん。 あなたにも体感できる意識変容の5ステップ

2024-06-21 16:07:57 | 

 ある日突然、思考が消えて、完全なるマインドフルネスになった著者・ネドじゅんの体験談であり、意識変容への手順を説いています。これはまさに潜在意識への到達であり、その先にある全体、大自然への融合の道筋が書かれています。

 その一歩として、「呼吸」があげられています。「エレベーターの呼吸」は本当に気を静める深呼吸であり、雑念を振り払い、「過剰になった思考を収め、身体の内側の生命エネルギーと触れ合える」状態に達します。それを邪魔するのは思考です。本書では「左脳さん」こそが意地悪な存在。「右脳さん」の働きを全開にすることが幸せを導きます。

『左脳さん、右脳さん。 あなたにも体感できる意識変容の5ステップ』(ネドじゅん著、ナチュラルスピリット、本体価格1,400円、税込価格1,540円)

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きみのお金は誰のため

2024-06-21 15:25:33 | 

 「お金」の存在は有難がれるし、みんなが欲しいと思っています。その先入観を打ち砕く、「お金の教養小説」です。

 投資会社の上司から錬金術師の話を聴いてくるように言われた久能七海は、そのお屋敷の入り口を、たまたま出会った中学2年の佐久間優斗に尋ねました。案内すると土砂ぶりの雨に遭遇し、二人して屋敷に入りました。屋敷のボスは二人に「お金」について語り始めました。それは、

ーお金自体には価値がない。
ーお金で解決できる問題はない。
ーみんなでお金を貯めても意味がない。


というお金の謎を開陳。その一つ一つに、彼ら二人に問いかけながら解説を行っていきます。その内容は本書に譲り、ボスの視点は全体から俯瞰したものであり、「現在は過去の蓄積で成り立っている」や「投資によってできるのは、あくまでも未来の提案でしかない」など、自利ばかり考える人間には多くの刺激を与えてくれます。また、買い物ひとつにしても、「自分の行動の影響を理解した上で選択する」という延長線上に「街の本屋」の減少について書かれていることには驚きつつも、気にかけて下さっているのかと思えば、著者を応援したくなります。

『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と社会のしくみ』(田内学著、東洋経済新報社、本体価格1,500円、税込価格1,650円)

 

 

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元気じゃないけど、悪くない

2024-06-17 17:26:45 | 

 著者の旦那さんが私の高校時代の同級生と酔っぱらって当店にお越しになられた。これも出会いです。そこで「嫁の本です。」と紹介してもらいました。読まんと申し訳ない。

 2020年初夏を過ぎ、心身の調子を崩され、にっちもさっちもいかない。更年期か、はたまた身体のどこかに変調をきたしているのか、病院嫌いな私からは考えられないほどの各専門医院へ通院され、また、心の変調には読書からオンラインでのコミュニケーションや講座視聴まで、元気になるまでの遍歴を記録されています。一番つらかったであろう「めまい」の原因究明には読者の一人として拍手を送りました。

 もちろん、健康第一です。その上で何事もケセラセラで、なるようにしかならないという「ええかげん」な心持の人の方が生きやすいかなぁ~と感じました。また、「HELP!」と叫べる人間関係を築いておかないとあきませんね。その意味でも、健康な時には「喜ばせる」存在になりたいですね。

 私は悩まない質ですので、本書に参考文献として書かれている本たちに興味をそそられます。これまで手を伸ばさなかった分野ですもの。

『元気じゃないけど、悪くない』(青山ゆみこ著、ミシマ社、本体価格1,900円、税込価格2,090円)

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ぼくは古典を読み続ける 珠玉の5冊を堪能する

2024-06-17 14:31:00 | 

 著者は古典を読む3つの理由を教えてくれます。

 ひとつは「世界がわかる」こと。「人類が過去に残してきた記録」を知り、今にどう活かすかが大切です。
 それに「楽しい人生になる」ということ。過去の多くの知識を基に考えることが「楽しい人生」につながります。
 最後は「世界とつながる」ことができます。古典は全世界で読まれています。同じ話題でコミュニケーションが生まれます。

 本書では、『種の起源』『ソクラテスの弁明』『地底旅行』『市民政府論』『歎異抄』の書かれた裏側とその本の重要性を懇切丁寧に書いてくれています。バックグラウンドを知れば、それぞれの古典に対してより深く興味を持つことが出来ます。

 また、Q&A方式で、古典への向き合い方やこの5冊への質問、読書論など、読書の世界を広げてくれています。

『ぼくは古典を読み続ける 珠玉の5冊を堪能する』(出口治明著、光文社、本体価格1,600円、税込価格1,760円)

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軽量登山入門

2024-06-11 15:40:41 | 

 荷物が重いとつらいし、事故にもつながります。軽量化し「快適」に歩くことを主眼に置くと、危険につながるのではないかという懸念もありますが、そこは明確な視点を持って軽量化を提案されています。つまり、

 「死なないために持つべき装備」と「快適のためだけに持っていってしまっている装備」の仕分け

こそが重要であり、「死なないために持つべき装備」は削らず、どれだけ軽量化できるかです。本書には軽量化への細かい提案や指摘があり、著者の1泊2日の山行装備の総合計重量が3.8㎏とは驚きです。ザックは749gって、私のそれの半分程度です。無事に戻ってくるためにも熟読します。

『軽量登山入門』(栗山祐哉著、Gakken、本体価格1,600円、税込価格1,760円)

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老いの品格 品よく、賢く、おもしろく

2024-06-10 15:35:55 | 

 老年精神医学の観点から高齢者を35年間診てきた著者がなりたい老人像は、「品よく、賢く、おもしろく」をもった人です。老いと闘える間は闘い抜きながらも、「できなくなっても、できることを活かしていく」、つまりは「じたばたしない」~素直になるということでしょう。あるがままを受け入れる心根が必要です。ここまでが品よくです。

 賢い人とは、「自分の考えをアウトプットする」、そのためにはインプットが必要になります。そして、「その人のもつ人生哲学や経験が人間的な『深み』や『幅』につながっているか」がキーになるかと思います。

  おもしろい人はいくつになっても好かれます。著者は高田純次推しです。

 あんな人のようになりたいというモデルをもてばいいのかなぁと思います。

『老いの品格 品よく、賢く、おもしろく』(和田秀樹著、PHP新書、本体価格930円、税込価格1,029円)



 

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2028年 街から書店が消える日 本屋再生!識者30人からのメッセージ

2024-05-29 08:23:26 | 

 業界を一刀両断で斬り捌き、見えない課題も水面に浮上させてくれています。

 この業界は「逆U字型」です。出版社と書店は規模が小さく、その中を取り持つ取次が大きい。だからこそ、業界を変革する力を発揮してほしいのは取次だと思っています。本書でも取次からのコメントが出てこなかったのは遺憾でしかありません。業界の未来予想図をぶち上げてくれれば、末端の街の書店主にも希望が持てる。正味改定やロングセラー商品の買切など、すぐに着手しないと、2028年という期限が前倒しになります。

 書店も他力本願ではなく、自力で復活への道を歩まなければなりません。現状では本だけ販売していても泥沼へ沈下していくだけ。危機を好機に診ないといけません。「イノベーションの端緒は『危機』だ」という言葉は真実でしょう。自らの長所を伸ばす思いで、2029年も笑顔で店頭に立てるように。 

『2028年 街から書店が消える日 本屋再生!識者30人からのメッセージ』(小島俊一著、プレジデント、本体価格1,700円、税込価格1,870円)

 

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風に恋う

2024-05-28 17:11:48 | 

 全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した千間学院高校の吹奏楽部を取り上げたテレビドキュメントを観て、吹奏楽を始めた茶園基は中学時代に全日本吹奏楽コンクールに進めなかったのを機に吹奏楽をやめる決心をしていました。千間学院高校に入学したのも関わらず。入学後、そのテレビで部長だった不破瑛太郎が吹奏楽部のコーチに就任したのを知り、基は彼からの誘いもあり、吹奏楽部の一員となります。

 瑛太郎は全日本吹奏楽コンクールへ再び導くために、現在の吹奏楽部にカンフル剤を注入することも加味し、1年生の基を部長に抜擢します。男子校だった当時とは違い、共学になり、しかも大学進学校へ軸足を移した学校になったため、練習の時間の確保もままならない状況下、瑛太郎は「勉強も部活も、自分の納得いくように頑張って、他の誰かじゃなく、自分のためにな」と部員に声をかけます。それは瑛太郎自身が吹奏楽に没頭したから。

 部員間の疑心暗鬼もありながらの吹奏楽部の快進撃のドラマは本書に譲り、音楽を追求した基は「大事なものを大事にし続けるには努力しないといけない」という青春ならではの思いを胸にサックスを吹きます。

『風に恋う』(額賀澪著、文春文庫、本体価格810円、税込価格891円)

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哄(わら)う合戦屋

2024-05-21 15:51:37 | 

 室町時代の末期の天文18(1549)年~19(1550)年の中信濃を舞台にした戦国の物語。中信濃は大名になる手前の武士団の群雄割拠の状態で、南部に位置する遠藤吉弘の手腕で内政が行き届き、小さいながらも民から慕われていた領主。但し、軍事面では弱点がある遠藤家に豪傑な武将としても軍師としても名高い石堂一徹が加わることになります。遠藤吉弘には若菜という姫がおり、彼女の魅力も遠藤家には大きな存在となっていました。

 一徹の力量で、遠藤家は四千石から二万四千石までのしあがり、小大名となります。四十万石の武田信玄が中信濃へ攻め入る前に、一徹は中信濃平定へと道を進めるも、吉弘は一徹の策を取らず、中信濃豪族連合軍で信玄に向かいます。さて、その後は・・・。

 一徹と若菜の淡い恋も描きながら、「大志ある者のみが大業をなす」、「蟹は自分の甲羅に合わせて穴を掘る如く、人もまた、自分の器量に見合った穴がある」など、戦国前期の男の生き様はとても面白い。

『哄(わら)う合戦屋』(北沢秋著、河出文庫、本体価格790円、税込価格899円)

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わたしの解放ガイド

2024-05-13 15:34:07 | 

 こころのしくみについて、顕在意識と潜在意識の存在は理解しても、また、それについての幾冊もの本を読んでも、何だかよくわからないままでしたが、今までの蓄積とともに本書で少し視界が広がりました。

 自覚している顕在意識と無自覚な潜在意識がつながると、もやもやしている自分にオサラバし、悩みや不安が気にならなくなり、自分が望んでいることが実現します。では、なぜつながらないか?

 その理由は四つあると考えられています。一つは「自分はこうありたい」と考えているにもかかわらず、「他者を介在させている」ためにもやもやが募ります。自分は変えられるけど、他人は変えれません。そこをよく認識しなければなりません。もう一つは、自分にもっとフォーカスせよ!です。自分のやりたいことを「自分主体の視点」で選択していく。これは『私のすべてを私が許可する“眠りのセラピー”』(七海文重著、CLOVER出版)で書かれていた、「幼児決断」からの決別と同じかもしれません。

私のすべてを私が許可する“眠りのセラピー” - あなたの本の世界を変えましょう! (goo.ne.jp)

 三つ目は「プライベートの優先」、そしてSNSなどの他者の情報に惑わされている現状です。ここにも他者へベクトルが向かう悪循環があります。

 「こうなりたい」「こうしたい」という思いを強く持ち、追求していく、ことこそが自分自身の解放につながるはずです。

『わたしの解放ガイド』(OCO著、ワニブックス、本体価格1,500円、税込価格1,650円)

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