監督シドニー・ポラック、主演ロバート・レッドフォードとくれば、「追憶」だ。
原題がThe Way We Were. わたしたちの歩んだ道、というか。当時はヒロインのバーブラ・ストライサンドのほうがレッドフォードよりも圧倒的に格上で、彼女が歌ったテーマソングも大ヒット。1974年の年間ランキング第1位にしてアカデミー主題歌賞もゲット。でも日本ではいかにもくせの強い(役柄もそうだった)バーブラよりも、これぞ美男(役柄もそうだった)というべきレッドフォードの人気が爆発した。
前任校の同僚は、その当時東京に住んでいて、名画座で「追憶」が上映されるたびに追いかけていたそうだ。
「レッドフォード目当て?」
「も、いいですけど、ストライサンドのヒロインにあこがれて」
そうですかそうですか。
それはともかくレッドフォードの甘いマスクは日本中の女性を魅了した。その勢いをかって「コンドル」は、まだまだ人気が健在だったアラン・ドロンの「フリック・ストーリー」との美男二本立てで1976年の正月は東宝東和は攻め、そして成功している。
日本公開は1975年11月29日。もっとも、その翌週に「JAWS」が公開され、えらいことになってしまうのだけれど。
さて「コンドル」。パラマウントの製作なのになぜドメスティックの配給会社、東宝東和が扱うことになったのか。おそらくはプロデューサーがディノ・デ・ラウレンティスだったからだろう。
「にがい米」でミス・ローマだったシルヴァーナ・マンガーノをデビューさせ、ちゃっかり結婚。その後、フェリーニで「道」、オードリー・ヘップバーンで「戦争と平和」、ジョン・ヒューストンで「天地創造」などを製作したこの商売人は、同じイタリアの大プロデューサー、カルロ・ポンティ(こちらはソフィア・ローレンとちゃっかり)と違い、自分のお金を絶対に使わないことで有名だったのだ。
だからきっと東和にも大枚をはたかせたのだと想像します。同じ手をディノはジョン・ギラーミン版の「キング・コング」でも使い、ぬいぐるみショーにしてしまって東和を嘆かせたのでした。以下次号。
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