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市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その84 「64(ロクヨン) 前編」(2016 東宝=TBS)

2016-05-21 | 日本の警察

その83「松谷警部と三ノ輪の鏡」はこちら

原作の、あの謎がすばらしかったのは、わずか7日間しか存在しなかった昭和64年の世相と分かちがたく結びついていたことだ。

現代のわたしたちにとってすっかりおなじみの“あれ”がまだ一般的ではなかったことと、天皇崩御という一大イベントのために、他の事件がほとんど報道されなかったこと。

読み終えて感動。多くのミステリベストでトップをとったのもうなずける。よく考えてみれば、娘を失い、あるいは失いそうになっている二人の(実は三人の)父親のお話なので、図式的すぎるという指摘があってもよさそうだったが、横山秀夫の筆力がすべてをなぎ倒した。

このすばらしい原作が、まずはテレビでドラマ化。NHKで横山秀夫原作とくればあの「クライマーズ・ハイ」だけれども「64」も脚本大森寿美男。主人公のピエール瀧がとにかくすばらしくて、妻と呆然としながら見ていたものでした。

そして今度は東宝で映画化。長大な物語(長大であることも小説的目くらまし)なので、前後編の二部作。監督は瀬々敬久。あの「ヘヴンズストーリー」で4時間38分という、わたしが見た映画のなかでいちばん長い上映時間の作品を構築した人。64をどう料理するのかしら。

昭和64年正月。ひとりの少女が誘拐され、身代金が要求される。犯人は少女の父親をさんざん公衆電話で移動させ、スーツケースに入った金の奪取に成功する。少女は死体で発見される。警察にとって屈辱の事態。しかしこのとき、警察はある事実を隠蔽していた……

ついていけるかな、と思うぐらいの暗いオープニング。しかし、県警内部の権力抗争が露わになったあたりからむやみに面白くなる。

主人公の三上(佐藤浩市)の娘は家出中。原作とドラマは“いかつい顔をした刑事がミス県警と結婚し、その娘は容貌にコンプレックスをもっていた”という、これまたきつい設定。ピエール瀧だと納得できても(笑)、佐藤浩市ではそうもいかない。そのあたりのアレンジも妙味ですかね。

瀬々の人脈からか、バーの従業員に山崎ハコ、ある事情でひきこもりになった青年の母親に烏丸せつこ。中年男が後編を見ずに死ねないと誓う、必殺のキャスティングでした。もちろん後編につづく

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