Love Will Keep Us Alive
PART2「武器としての投稿」はこちら。
「こんな糞みたいなシステムの中で出世することなんか、赤子の手をひねるように簡単だぜ」という虚無的に笑ってみせると、額に汗し、口角泡を飛ばしてシステムに正面から抗っている愚直な「左翼」とか「リベラル」とか「人権派」より数段賢そうに見える。だったら、そっちの方がいいか。
内田樹は常に卓見を吐く。しかしそのなかでもこの「空虚感を抱えたイエスマン」はひときわ素晴らしい。若い世代の方が現政権を支持するという、およそ昔なら考えられない事態をズバリと解説して見せた。卓見はなお続く。
原発が時代遅れのテクノロジーだとは熟知しているが「それ以外に何か経済合理性にかなう代案があるとも思えぬ」と苦笑し、日銀による官製相場が毒性の強い政策だと知りつつも「国民の税金をオレの個人口座に付け替えてくれるなら安倍=黒田体制にはできるだけ長く続いて欲しい」と嘯く。この世界がろくでもないものであることをオレはよく知っているし、オレは誰よりこの世界を嫌っているけれども、それはこの腐った世界のシンプルな仕組みから自己利益を引き出すことを止める理由にはならない。
わたしが今20代後半から30代前半の世代だとすれば、ひょっとしたら空虚感を抱えたイエスマンになっていたかもしれないという恐怖をも呼び起こす。若い世代の性向についてもうひとりが卓見を。
「高輪」よりも「高輪ゲートウェイ」のほうがセンスいい!という理由で反対する人はほぼゼロなんですよ。署名に反対してる人はほぼみんな「抗議するほどのことか?」とか「民間企業が決めたことに逆らうなよ」的な感じなのね。ここ数年の、こういう「お上や大組織に逆らうヤツを、庶民側が嘲笑して偉くなった気になる」という空気に逆らいたいって気持ち、確実にある。
コラムニストの能町みね子のtweet。彼女もまた、空虚感を抱えたイエスマンたちへの嫌悪を。まじめな主張を冷笑することで、自分が何者でもないことを忘れ、いっぱしの人物になったかのように誤解する。若者の特権というには、あまりに底が浅い。
本日の1曲はイーグルスの「Love Will Keep Us Alive」
生粋のファンは怒るだろうなあ。でもいい歌だし、あのアルバムもけっこう聴かせたじゃないですか。ああ怒られそうだ(笑)