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黒田硫黄の原作マンガは二巻とも買ってます。この人はあの「茄子 アンダルシアの夏」の原作も描いている。作品の幅広すぎ。しかもこのふたつの傑作はほぼ同時期に違う雑誌に連載されている。
ウィキペディアで調べたら、「セクシーボイスアンドロボ」の連載は2000年から2003年にかけて。ドラマ化はなんと2007年になってからだ。これは、脚本の木皿泉の側にある事件があったからか。
木皿泉というのは、夫婦ふたりが合作するときのペンネーム。日テレの河野英裕というプロデューサーが彼らに惚れこんでいて、神戸に住む彼らのもとを何度も訪れて作品を依頼していたようだが、2004年に夫の(まだ結婚はしていなかったが)和泉務が脳出血で倒れてしまい、以降車いすでの生活を余儀なくされている。
漫才作家でもあった彼は、妻の妻鹿年季子に「あのとき死んどきゃよかったんだ」と語っていて、しかしそれだと河野プロデュース、木皿脚本の「野ブタ。をプロデュース」も「セクシーボイスアンドロボ」もなかったことになるので勘弁して。
そして書き始めた「セクシーボイスアンドロボ」だが、今度は妻の方が鬱病を発症。そのために全11回のうち、3回は他の人が脚本を担当している。「僕たちは世界を変えることができない」を書いた山岡真介の「人生やり直せるハンバーグ」(第7回)もすばらしい出来だったのに、類似の立てこもり事件のためにオンエア中止。その週を日テレは第2回を再放送することでしのいだのだ。
その、第2回が「ごぼ蔵」だったの。なぜこの回だったかは想像がつく。出来がどうこういう以前に、初回がそこそこ視聴率をとったのにこの回からガターッと8%台まで下がったので失地回復の意味合いもあったのだろう。
そうなのだ。「野ブタ。をプロデュース」以外、実は木皿作品で視聴率が好調だったことなどないのである。それでも日テレは、というか清水プロデューサーは彼らに仕事を依頼し続ける。視聴率万能に見える現在のテレビ界においても、こんな美風はまだ残っているんだなあ。以下次号。
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セクシーボイスアンドロボ #2 (BIC COMICS IKKI) 価格:¥ 980(税込) 発売日:2003-02 |