コードネーム・ロボ、女好きのロボットおたく。コードネーム・セクシーボイス、七色の声を操る女子中学生。二人はスパイ。この複雑な世界、そして闇の中で、彼等は次々起こる難事件に挑んでいく。夢と希望を追いかける二人の名は「セクシーボイスアンドロボ」。
あなたの隣に、スパイがいる。
……このオープニングを見れば、どんなスパイアクションが繰り広げられるのかとわくわくするはず。「ルパン三世」か「ナポレオン・ソロ」ふうの(例えが古いですか)、あるいは石坂浩二が主演した「平四郎危機一発」的な(もっと古いですか)。
しかしもちろんそんな展開にはならない。なにしろ脚本があの「すいか」(日テレ)の木皿泉だから。それどころか、いちおうスパイものの体裁をとりながら(でも黒田硫黄の原作もオフビートのかたまりだった)、なんで視聴者を泣かすことができるのか。おそるべし木皿マジック。
たとえば第二話「ごぼ蔵(ごぼぞう)」を例にとってみよう。
セクシーボイスというコードネーム(最終回にいたるまで、誰もこんなコードネームは使用しないが)を持つ女子中学生二湖(にこ)は、聴いたことのある声なら自在に再現できる特技を持っている。一方のロボは、名のとおりロボットオタクで、フィギュアに萌え萌え。なんの特技もない彼の武器は、ただ単に純粋なだけだ。二湖を大後寿々花、ロボを松山ケンイチが演じていて、これがもう素晴らしいのなんの。
このふたりが美容院で鉢合わせをする。そこへ飛び込んできたのが逃走中の強盗。なぜ美容院に逃げこんだかというと、郵便局でカラーボールを投げつけられ、髪がグリーンになったので洗いたかったから(笑)。得体が知れないがなんとなく愛敬のあるごぼ蔵を演じるのは、こんな役をやらせたらもう誰もかなわない村上淳。
いきおいでいっしょに逃げることになった三人。ごぼ蔵はメモを後生大事にしていて、書いてあるのは
「パン 洗剤 さくら餅」
という意味不明なもの。しかも彼はロボの携帯を借りてどこかへやたらに電話をかける。誰にかけているかというと……うわあ長くなるぞ。以下次号。