ハタチそこそこの頃、長距離走(女子は1000m)のタイムは、
3分をぎりぎり切れるか切れないかぐらいだったと記憶している。
同期のなかでは速いほうだったらしく、
長距離リレーのメンバーに選ばれてしまって、
毎日“特練”などと称して走らされた。
‘こつこつ’やらなきゃいけないことをさせられると、
心身ともに拒絶反応を示す体質なものだから、
ストレスの蓄積に勝てず、レース数日前の捻挫で棄権した。
自分のそうゆう体質は自分でじゅうじゅう分かってるから、
楽器の練習も、ときどきわざと、間を空ける。「毎日、帰ったらご飯を食べる前に必ず1回さらうこと」
師匠からそう言われているときにこれをやるのは、
小心者としてはなかなか勇気が要る。
だけど、しゃかりきになって稽古してるときというのは、
えてして、やればやるほど、デキが悪くなっていく実感がある。
手首や指先を思うようにコントロールできなくなるほど、
上半身が疲労で凝り固まってしまう危険を感じたら、
ほとぼりがさめるまで、イメージトレーニングに徹する。
しばらくぶりに、次に触ったときは、何かしら新鮮な感触で、
悶々と苦労していた部分がすんなり弾けてしまったりする。
論文を書くときと、どこか似ている。
ひと通り書き上げて、しばらく放置して、
何を書いたのだったか忘れた頃に見直すと、ぐっといいものになる。
つくづく、音楽はスポーツでもあり、創造活動でもあるのだなと思う。
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