この間、江戸にいる間にせっせとテレビを観ていたら、
アイドルの女の子が「食べ物を噛むのが面倒くさい」とのたまっていた。
一口では食べられない大きさのものはハナから食べないらしい。
そりゃー「噛むのが」というより「口を開けるのが」ってレベルじゃないかと、
呆れてチャンネルを替えたりしていたのだけど。
かくいうヒイラギも、子どものころからちょっぴり似たようなきらいはあって。
たしかに、すじすじの多い菜っ葉をいつまででももぐもぐしていたり、
ネギの白いところは「眉間のあたりがイーッてなる」と文句をつけたりしていた。
だけどこのアイドルちゃんほど、流動食ではなかった、決して。
久しぶりにデパ地下のパン屋さんに行ったので、
クリームチーズをはさんでハチミツをかけてあるというフランスパンを買った。
コーヒーを淹れてたっぷりの牛乳でカフェオレにして、
まずは一口、とかぶりついた。
・・・・・・硬い。硬すぎる――
前歯はおろか、奥歯ででも、
やや腰を浮かせながら渾身の力をこめなければ、
一口分をまず噛みちぎるということができない。
そのあとけっこうな回数かみかみしないと飲み込めないことは言わずもがな。
おそるべし、フランス人のアゴの力。