自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ロウバイ,花と昆虫(7)

2017-02-09 | ロウバイ

ホオグロオビキンバエなのでしょうか,青光りする金属光沢が際立つハエが1匹。ロウバイの花に誘われて飛来。プイッといなくなったので,「しまったー! 残念!」とがっかりしていたら,しばらくしてまた飛来。やれやれ。ほっ! 


思ったとおり花を舐め始めました。ふつうなら警戒心が強いはずなのに,このときはまったくそんな感じではありませんでした。 

 
うんと近寄って撮ったので,レンズ部分がからだの表面で反射して映ってしまいました。複眼には花粉がたっぷり付いています。大口の送粉者といえるでしょう。


花から出て来たので,「これはしめた!」と思いながら撮りました。頭部はそれこそ花粉まみれ。 


口吻を掃除し始めたのでまた一枚。 


口吻の手入れが終わると,また花に向かいました。頭に付いた花粉は視野をさえぎらないのでしょうか。 

 
逆立ちスタイルで食餌。脚をぐっと広げて,からだを支えています。

 
また出て来たときを狙って,今度は前方から撮りました。口吻の様子までも手に取るようにわかります。感謝,感謝の一枚になりました。

 


今冬のマンサクと昆虫(3)

2017-02-08 | マンサク

冬季,見かける昆虫は少ないのですが,その気になって探せば見つかるものです。絶対数は活動シーズンと比べると少ないのは当たり前。それを勘案すれば,大抵はからだがごく小さくて目に付きにくいだけです。

ユスリカのなかまは目にとまりやすい昆虫の一つといえます。写真の昆虫の正体はわたしにはわかりません。こういうときは体形からユスリカの“なかま” と,括ったいい方しかできない自分に歯がゆさを感じます。でも,止むを得ません。


このユスリカ,相当花に関心をもっているようです。 

 
別の花でも,すっぽりと潜り込んだユスリカを見ました。

 
また別の花でも。


この花の何を食べているのか,何に関心を持っているのか,不明です。

 


ロウバイ,花と昆虫(6)

2017-02-07 | ロウバイ

クロヒラタアブがやって来ました。今冬初めてお目にかかります。大歓迎,といったところです。 

 
花に関心を示しています。口吻が出ています。

 
萎んで枯れ気味の花なのに,そして他に新しい花があるのに,関心を持っている様子なのです。この花は開きかけたときに雪に見舞われ,そのまま萎れてしまったものです。

 
結局は花には入れませんでした。舞い上がって別の花に移動。そして中に入って行きました。そこでしばらくエネルギー源を補給して……。 


外に出て来ました。そこでまたペタペタ舐める動作。

 
やっと花の外に移動して行きました。

 
動きはじつにゆっくりとしたもの。お蔭で,ゆっくり撮影することができました。

 
冬,生きていくのはクロヒラタアブにとって容易なのでしょうか,たいへんなのでしょうか。それが聞ければおもしろいだろうなと想像しています。

 


今冬のマンサクと昆虫(2)

2017-02-06 | マンサク

2月3日(金)。数日前隣りのロウバイで見かけたケブカカスミカメが,この花にもやって来ていました。花弁の幅が2mmほどなので,体長7,8mmといったところでしょうか。とても小さいカメムシ。考えてみれば,冬の今,ロウバイもマンサクも貴重なエネルギー補給源だという点です。カメムシにはなんの損得勘定もないでしょう。あるのは感謝のみ,といったふう。


別の花でも見かけました。じっと花の中央を向きていたので,たぶん汁を吸っていたのでしょう。口吻でも確認できれば申し分ないところなのですが……。

 
花にすっぽり埋もれてしまうほどの小ささなので,見逃してしまいそう。こんな昆虫が今訪れてるという事実がまたスゴイこと。目が離せません。

2月5日(日)。雨のち曇り。雨が上がった午後。ケブカカスミカメを見かけました。この花の花汁がずいぶんお気に入りのようで。

 


多少は動きはするものの,花から離れようとはしませんでした。彼(彼女)の目には,わたしという得体の知れぬ物体などちっとも感知されていないようで。彼の目では世界はいったいどんなふうに見えているのやら。 

 

 


竹紙づくり(4)

2017-02-05 | 野草紙

かなり乾いたなあと感じるまでに4日を要しました。たとえるなら,洗濯物を絞らずに干すのと同じですから。冬場での自然乾燥なので止むを得ません。

このままでも使えるのですが,張りのある丈夫な紙質にするために,ニカワ液を塗布します。原液を4,5倍に薄めて塗るのです。表面加工処理ですから,サイジングと言い換えてもよいでしょう。書道をやっている人はこういう場合ふつうドウサ液を塗ります。ニカワ液にミョウバンが溶かし込んであるものです。この作業で強度が増し,滲みを抑えることができます。

紙に多少の湿り気がある方がニカワ液のしみ込みがよいので,“かなり乾いた” と判断した時点での作業となります。


平刷毛でさっさと塗っていきます。たくさん塗る必要はありません。


終われば,立てかけて乾燥させます。冬の日差しなら直接当てても大丈夫。


漉き終わったときの水分の量と比べるとはるかに水分が少ないので,晴れた日なら乾くまでにせいぜい1日程度でしょう。こちらは洗濯物を固く絞って干すのとそっくりです。

これで見本紙が出来上がります。 

 


ロウバイ,花と昆虫(5)

2017-02-04 | ロウバイ

2月3日(金)。節分。穏やかな天気になりました。午前,この分なら虫が観察できるだろうと思って行くと,やっぱり! 前に取り上げたツマグロキンバエが,今日は花の中にきっちり入って口吻であちこち舐め回しかけました。「これは絵になる!」と思って画像に記録。

 

 
熱心に餌に向かっているので,ちっとも気づきません。

 


しばらくして外で出て来ました。しかし,気温が低いためか動きは緩慢です。 

 


花の外を歩いて回り,また同じ花に入って行きました。 

 

 
そこでまた,ぺたぺた。わたしは左手でそっと枝を持ち上げ,手の甲にカメラを載せるようにして構えながら撮影しました。こうすることでカメラの位置を固定できます。結果,蕊を抱え込む格好になりながら口吻を伸ばす姿をとらえることができました。送受粉の仲立ちとして,からだを覆う毛が大いに役立っているのは明らかです。

 


相変わらずわたしにちっとも気づかないまま,花の中を動いて餌をたっぷり舐め続けました。 

 

 
出て来たときは,いかにも満足そう(?)。

 


昆虫1個体の動きをじっと見入ることで,その昆虫の好みがなんだかわかって来そうです。そんなひとときでした。 

 


竹紙づくり(3)

2017-02-03 | 野草紙

紙漉きの工程に入りました。溜め漉き法で漉いていきます。

まず漉き舟に水を張って……。  


漉き枠に繊維を流し込んで……。4つの繊維のうち,黒色繊維から始めました。下写真は漉き舟の水を流したあとの様子です。ふつうは水に浸かった漉き枠を両手で持ってそっと引き上げます。 

木枠を外して乾かします。


2つめの繊維は褐色でいちばん荒いもの。 


3つめは,繊維の長さが中間のもの。 


4つめは,いちばん細かな繊維。 


時間が経って写したものが下写真です。夏だと半日で乾くところですが,冬はさっぱり。 

 

 
乾くまで辛抱強く待つほかありません。

 


今冬のマンサクと昆虫(1)

2017-02-02 | マンサク

1月25日(水)。このところの寒さでマンサクの蕾もさすがに身を縮めたかなと思っていたら,とんでもない想像にすぎませんでした。いくら寒くても,季節の移り変わりを心得ていて,花を開き始めました。まるでゼンマイ仕掛けで,スルスルっと力が解き放たれていくような。どうやら日照時間を感知して,少々の寒さにはお構いなし,といったふうです。


蕾では目立たない姿でも,花弁を開くとかなりのアピール度になるのでしょう。きっと昆虫たちが黄色に引き付けられて訪れるはず。


 1月30日(月)。花が一斉に開きかけました。

 


訪花昆虫はいないだろうと思ったものの,とりあえず確かめるつもりで見て行きました。

すると,目にとまったのが先日ロウバイで見かけた正体不明の昆虫。びっくりしました。花弁の幅が2mmなので,体長は想像できるでしょう。とにかく小さい,小さい。花に引き付けられてやって来たのでしょうか。 

 


触覚の先が揃っているという特徴は,まさにあの昆虫の特徴と重なります。 

 

 
もっと近寄って撮りました。とにかく体形が印象的です。

 


もっと近づいてみると……。からだを覆う毛が際立っています。 

 


できれば同定できればと思うのですが。 

 


ロウバイ,花と昆虫(4)

2017-02-01 | ロウバイ

今冬咲く花は,ロウバイに限らずほんとうに受難だと思われます。開きかけると霜やら雪やらにやられて,受粉どころではないように見えます。気象は最大の天敵です。観察者にとっても,冬の花と昆虫とのつながりを目撃するチャンスが激減。

さて,ロウバイを気にしていたところ,開き始めてすぐに萎れゆく花で見かけたのが,小さな小さなカメムシ。よほど注意深く見て行かないと気づかない小ささです。

 

 
正体はケブカカスミカメです。花弁に口吻を突き刺して汁を吸い上げている様子。

 


カメラを近づけて写真に収めているうちにどうやら気づかれたのでしょう,さっさと枝に移って行きました。 

 

 
そこで方向を変えてじっとしていました。

 


そうして,やがて花に移動。やっと全身を撮ることができました。「やったー!」。 

 

ケブカカスミカメは,たとえわずかにせよ送粉に貢献しているのでしょう。目撃できてハッピー!