自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

竹紙づくり(1)

2017-01-25 | 野草紙

友人のMさんは押し花絵の作家。今春,グループ展をするので作品用に竹紙(ちくし)を漉いてほしいという依頼がありました。竹紙を作品に活かして,どんな効果が現れるのか確かめてみたいということでした。

そういう提案には喜んで乗っかっていきたいとわたしは常々思っています。とはいえ,勤めの身。冬の今,晴れ間にタイミングよく漉くのはたいへん。それに乾燥も一日では到底無理です。そんななか,正月明けに紙づくりに取りかかりました。

使った竹繊維はストックしていたもの。倒木がやがて朽ちるように,竹も倒れて腐朽菌や小動物によって分解されます。分解が進んでいた竹から繊維を集めておいたのです。それを寸胴に入れて煮ました。手でつかむと,ごわごわっとした感触です。さすがに強い繊維だなあと思うほどです。


アルカリ剤はセスキ炭酸ソーダを使用しました。量は経験からみた適量で,ときどき少量追加しました。煮熟時間は5時間。思っていたより時間がかかりました。理由は量が多かったためと思われます。

 


これだけ煮ると,強靭な繊維でもかなり柔らかくなります。とはいえ,まだまだ手強い!

 


揉み洗いをしながら内皮(下写真)をていねいに取り除き,繊維だけにします。内皮は竹筒の内側にあって,主に繊維を揃える役目を果たしているもので,紙の成分としては不必要です。


冬の水は冷たく,作業は短時間でも厳しいものです。


こうして,紙にできる繊維が準備できました。

 

                                       (つづく)