自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

双子のシロバナタンポポ

2015-12-18 | タンポポ

本日12月18日(金)付け記事の第2話です。


 

近くのお年寄りがお亡くなりになって,今日が告別式。99歳で間もなく100歳ということで,ご家族の方はとてもたのしみにしていらっしゃいました。ほんとうに残念なこと。でも大往生。合掌。葬儀のお手伝いをさせていただき,勤務は休み。

それが終わると畑の果樹園で獣害防止ネットの片づけをしたり,野菜の収穫をしたり。作業をしながら,畑と家を往復。そして夕方のこと。たまたま家に戻ったときに,道端の隅でシロバナタンポポが開花しているのが目にとまりました。ふつうなら珍しくはないのですが,どうも花の姿が変わっているように見えました。

近寄って確認すると,花が2つ付いた双子タンポポでした。稀に見かける変わり種なのですが,稀といっても確率はとんでもないほど小さいのです。わたしは,これまでにカンサイタンポポとセイヨウタンポポの両方で見たことが何度かあります。そのうちのいくつかは標本にして保存しています。


さらに近づいて撮りました。


わたしが住む地域は内陸部です。ここにシロバナタンポポが咲いているのはふしぎなのですが,じつは背景があります。

シロバナタンポポの花茎は,生育環境さえ整っていれば1mを遥かに超えるまでに達します。どうもこれは特性のような気がします。1m数十cmの花茎の先に花が付いている光景は見事です。それを探して自生地に出かけたのは数十年前のこと。

以来何度も出かけて,そこで見つけた最長花茎は110cmをずっと越しています。もしかすると,小学一年生の平均身長より高いんじゃないかな。それをラミネート処理し今も保存しています。

そんなたのしい(?)体験を重ねていきながら,根や種を持ち帰り,我が家の周辺に植えたり蒔いたり。人為的なこうしたやり方は従来からの生態系の保存という点から見ると褒められるものではありませんが,興味ある種を身近で観察したい気持ちで試しにやってみたというわけです。

結果,シロバナタンポポが適当に自生し始め,そのことが今回の発見につながったのです。 

 


サザンカの花とツマグロキンバエと(続)

2015-12-18 | 昆虫と花

サザンカの花でツマグロキンバエの姿があまりにも目立つので,「これは超接写で撮っておくのもいいかも」と着眼。

オシベの先端,つまり葯から弾け出た花粉を舐めているオス個体をねらいました。画像は粗いのですが,からだに占める口吻の大きさが際立って見えます。まるでゾウのそれを連想してしまいます。とてもたいせつな器官であることが窺えます。 


口吻の先端をじっと見てみると,わずかに毛のようなものが光っているのがわかります。イソギンチャクでいえば,触手といったところです。もしかすると,味覚を感じることができるのかもしれません。

 
ひとしきり花粉を舐めて,休憩。口吻を収納してしまえば,なんと小ぢんまりしたことか。からだには花粉がたっぷり付いています。こうなることによって送粉が一層確かに行われていきます。 


メスの個体も撮りました。口吻の先には,まちがいなく毛が生えています。


ツマグロキンバエを見ていると,体長が大きいもの,小さいものがいることに気がつきます。 大きいもので7mm,小さいもので5mmほどです。この極小世界で見えるふしぎが,目の前で広がります。

冬のサザンカは,ツマグロキンバエにとってこの上なくすてきな活動ステージです。