自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

冬,ホシノヒトミと訪花昆虫

2015-12-30 | 昆虫と花

冬のホシノヒトミがいくら自家受粉型だといっても,やはり他家受粉ができるに越したことはありません。これはつい先日の記事で触れた話。

わたしは,理屈は理屈として踏まえながらも,さらにその奥に見えるおもしろさとか深さとかを軽視してはならないと,いつも,どこでも思っています。「冬なんて昆虫が来るわけがないでしょう」と先入観で解釈する人がいても否定する気にはなれませんが,「自然は多様でゆたかなのだから,いつだって一筋縄ではとらえ切れないぞ」とすこし距離を置いて考えます。

だから,「ホシノヒトミでも,冬きっと訪れる昆虫がいるだろう」と秘かな期待感を抱いて観察を続けているというわけです。タンポポの花に期待を抱くのと同じように。

12月24日(木)。穏やかな一日でした。昼,道端に咲くホシノヒトミを見ていくと,うれしいことに,昆虫がちゃんと来ていました。ハナバエの一種でした。もちろん蜜源を求めて訪れたのでしょう。


花弁にいて,しばらくじっとしているものですから,「もう蜜にありついたのかな」と思いました。すると,そのうちに花の裏に移動を始めました。そのからだには,花粉が付いていました。これはりっぱな状況証拠。


別のホシノヒトミでも,同じなかまを見ました。花弁にいるので,見守っていると,今度は蜜源に向かって移動。そうして舐め始めたのです。ラッキー! 

 


この日はさらにもう1匹,見かけました。おまけに,小さなアブラムシのなかまも!  ヨメナヒメヒゲナガアブラムシです。体長は5mmみ満たないほど。眼の赤,頭胸部の黒,腹部の緑が際立っています。いったいなにをするために訪れたのやら。


さらにさらに,ホシノヒトミを観察しているときに,足元にベニシジミがいたのです。気が付かなかったー! 動きがまことにゆっくりしていて,飛び去る気配なし。お蔭で,至近距離から撮影できました。


冬にもこれだけの昆虫が! 自然は多様で,単純にはとらえ切れません。これまでに科学が解き明かしてきた知見を一定のものさしにして解釈を試みつつ,そこからはみ出す事例を大事に扱うことで,もっと真理に近づけ,自然となかよくできるように思うのです。はみ出し例は貴重な宝物です。 

 


ロウバイの花と昆虫(1)

2015-12-30 | ロウバイ

12月25日(金)。晴れ間が出たかと思うと,曇ったり,急にしぐれてきたり。とにかく変な天気です。陽が射したとき,前栽のロウバイを見ると,なんと花が数輪開きかけていました。つまり,今日が我が家での初開花日というわけです。昨冬と比べると1カ月も早い開花です。今冬は暖かいので,きっちりその影響が現れているように思われます。


しばらくしてから再び見ると,花のなかにヒラタアブらしき昆虫が入っていました。近寄ってみると,どうやらホソヒラタアブのよう。うれしくってアップ写真を撮りました。このコマ,ばっちりクリスマスプレゼントになりました。


ロウバイの花弁はくっきりとした黄色。それにかすかな芳香が合わさって,ヒラタアブのような小昆虫の目にも際立って見え,嗅覚をもくすぐるのでしょう。

冬の花はほんとうに限られています。そこを訪れる昆虫もわずか。タイミングよくその現場を目撃できれば,しめたもの。じつは,ロウバイもマンサクもわたしのフィールドステージなのです。これから3月にかけて,観察・発見が続きます。自然はどんな贈り物を準備してくれているのか,興味津々です。

そうそう。この日はもう一つ自然からビッグプレゼントがありました。クリスマス日と満月日が重なりました。38年ぶりということです。見事な月景色でした。