せっかくだから晴れた日に,再び集落を背景にして虫の目写真を撮っておこうと思いました。モデルはカマキリさん。
やはり,陽光を味方にすればくっきりした色が出ます。青空,雲,紅葉した木々,すっかり勢いを失ったヨモギ。国道を行く赤いトラック。
近くも遠くも,それなりにピントが合って,家並みや木々の幹も確認できます。
カマキリに,この景色が具体的に見えているわけではないのですが,まるで見えている雰囲気が漂ってくるようです。そんな気持ちにさせる力を,虫の目レンズは持ち合わせています。
撮影時のわたしの姿勢は,当然ながら,地面に腹這いです。道でこんな姿をして横たわっているのを見て,ある人が「倒れているのかと思ったでぇ」とおっしゃったことがあります。ファインダーをじっと覗いている間はほとんど動きませんから,そのように思われても止むを得ません。
虫を撮るのに,なんといっても複眼にピントを合わせなくてはなりません。シャープさには期待できない虫の目レンズでも,原則は同じです。じっと見ていないとピントがあっているかどうかわかりにくいので,どうしても道に横たわった格好になります。こういう苦労を重ねていると,虫の目線で状況を解釈するのに慣れてきます。おもしろいものです。