自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

夏の『虫の目写真』あれこれ(4)

2015-08-02 | 随想

わたしがよく訪れる野はいくつかあります。わたし自身の撮影フィールドと呼んでも差し支えありません。そこを訪れると,必ずなにか成果があるような気がします。それは発見であり,出合いでもあります。

撮影フィールドの一つが下写真の野原です。比較的狭い空間でありながら,生きものの姿がゆたかにあり,頭上から遥か向こうに続く空があります。人影がまったくないのもまた魅力の一つ。そこで,ときには這いつくばりながら,地表付近にいる昆虫を狙うのです。

「しめしめ,ヤマジノギクの花でベニシジミが蜜を吸っている。からだの赤と,草や木の緑,空の青を取り込んでみたい!」「チョウが大自然のなかで生きている雰囲気が表現できれば 」。そう思いながら,シジミチョウが舞い上がらないようにと願ってレンズを近づけます。

 
数輪の花を往復しながら,チョウはしばらくそこにいました。ふしぎに,時間をかけて撮ることができました。花弁のかたちを見ると,手前がいかにも誇大に強調されて写っています。このレンズゆえのおもしろい効果です。汗だくになって撮った一枚でもあります。

 
草原の脇に,サクラの老木があります。それが大きな日陰を作っています。今,木で真夏を謳歌しているのはセミ。生きている限り,いつかはいのちを失うのが宿命。寿命が尽きてそこにあるのか,アブラゼミの死骸が草に引っかかっていました。まるで生きているよう。

 

 

予想されたことなのですが,殊のほか暑さ対策を心がけながらの撮影となりました。昆虫たちだって,らくらくに生きているわけではないはず。精一杯生きていくのは,どこでも,どんないのちにとってもたいへんなこと。