自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

セツブンソウの種子

2013-03-30 | 植物

セツブンソウは漢字で書くと文字通り“節分草” 。節分の頃に咲く,キンポウゲ科の早春植物です。希少植物で,自生地は減っているといわれています。こころない人が掘り起こして持ち帰ることも一因とか。

わたしの住む地域では,知人のIさんの所有地に生えています。もちろん,群生して。

先日,Iさんから連絡をいただきました。「セツブンソウの花がいくつか咲いています。来てください。県下でも数箇所しかない群生地の一つです」と。聞くと,昨年群生地に除草剤を撒いてしまったので,大きく育っていたものがほとんど枯れ,花は数輪しかない,ということでした。その代わりに,来年以降に咲くと思われる小さなセツブンソウがわんさかと育っているとか。

それで,時間を見つけて群生地を訪れたというわけです。場所は静かな山間部。わたしの家から,自動車で30分ばかりの道のりです。なぜここに? なぜこんなに? そんなふしぎをついつい感じる生え具合です。花はまったく見当たりませんでした。下写真の矢印は花後に膨らんだ子房です。

群生地はクリの木の下にあります。一本の高さは高くてもせいぜい10cmまでです。 

膨らんだ子房をアップで撮りました。豆みたいです。一つひとつが莢状の袋になっています。長さは1cm。これを袋果と呼んでいます。

袋果にいったい何個程の種が,どんなふうに入っているのか,知りたくなりました。それで,一本だけ持ち帰って,解剖してみることにしました。

開いてみると,6個の種子が入っていました。種子はまだ熟する前段階ですが,あとどれぐらいで一人前になるのでしょう。

さらに拡大して写しました。 

単純に計算すると,一つの花からは18個種子ができると考えられます。花によって違いはあるでしょうが,その程度です。それらの種子が発芽して子孫が殖えていくのですから,数は殖える一方です。

種から発芽するのが一年目。そこから地中に塊茎が育っていきます。やがて花が咲きます。調べると,そこまで三年かかるそうです。それで,訪花昆虫にはどんなものがいるのでしょう。是非,自分の目で突き止めたくなってきました。

Iさんのお蔭でまた一つ植物とのたのしい出合いができたこと,うれしく思います。