自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

冬のネジバナ

2013-03-01 | 植物

これまで,冬のネジバナなんてちっとも意識することはありませんでした。ところが今冬は違います。というのは,職場の前庭のシバの間に自生しているネジバナが,草引きの度に目に入るからなのです。

元はシバだけだったはずなのに,今ではシロツメクサやスイバ,チチコグサなどがたくさん入り込んで,景観としてはいかがかなと思われる状態になっていました。それで,元の姿を取り戻そうとして,かなり徹底して雑草を引いてきたために,ネジバナの印象が強く残ってしまったというわけです。 

ネジバナは冬,ロゼット状で地面すれすれに葉を広げ光を受けています。

地中には,太短くって,イモを連想させるようなずんぐりした根が数本。ふしぎな姿をしています。洗って根毛を見ようとしたのですが,肉眼ではよく見えません。

今度はもっと丁寧に洗って乾かし観察することにしました。ルーペを使うとやっとすこし根毛が見えてきました。変わった根であることはまちがいありません。

上写真の矢印の根をさらに拡大して撮ったものが下の写真です。まずは3分割したうちのいちばん根元に近い部分です。

次は真ん中辺りの部分。

おしまいは先端付近。

接写によって,おどろくべき世界が見えてきます。ずんぐりした根だと思っていただけなのに,実は根毛にどっさり覆われている! これらの根毛が水分と肥料を吸い上げているのです。

しかし,実際の地中での様子はこんなふうではないはず。根毛は根を覆わずに,四方八方に伸びているでしょう。想像しただけでもスゴイ風景が浮かんできます。

ネットで得た情報では,この根がシバの生えたところを好むようにして伸びているとか。シバ地から掘り上げて鉢植えにしても,育てるのはなかなかたいへんらしいのです。シバとネジバナのとくべつな関係は,その根に隠されているという解説に出合いました。それもまた植物のふしぎを感じるものでした。