自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ホトケノザの種子とアリ

2013-03-24 | 昆虫と花

ホトケノザの季節を迎えました。今,花が満開です。

小さな種子がちらばって,あちこちに生えています。畑や空き地や,コンクリートの隙間に,いくらでも生えています。畑で野菜を作っていると,この草にはずいぶん迷惑を被ります。退治できないのです。放っておくと,すぐに大きな株になってしまいます。 

よく見ると,種がたくさんできかかっています。もっとよく見ると,落ちそうになっている種の一方の端に白いものが付いています。鞘に収まっていた種子の,根元側です。下写真の左端に写った種子がその例です。実は,これはこの種に仕掛けられた戦略なのです。 

この白い物質には,エライオソームと名付けられた成分が含まれています。それはアリの大好物。これを目当てにアリが集まってきて,巣の方に運んでいきます。あるいは,成分だけを舐めとります。エライオソームがなくなると,もちろんアリは見向きもしません。そうやって,種子が拡散していくのです。

下写真に写った種子にも,おいしそうなエライオソームが付いています。 

コンクリートの上には,アリがたくさん見られました。 ホトケノザの種が落ちていれば,当然アリが関心を示している筈。そう思って,見ていくと,何匹ものアリが案の定種子を舐めたり,運んだりしていました。種はアリを誘引するのに成功したのです。 

エライオソームはカタクリやスミレの種にもあります。 このはたらきは自然の妙です。