自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その181)~植木鉢作戦Ⅲ⑭~

2012-11-17 | ジャコウアゲハ

11月15日(木)。午前6時の気温が2.5℃(アメダス)。またまた今秋の最低記録を更新。

前蛹に変化は見えません。午前8時時点で,帯糸を出した11月8日午後8時以来,6日と12時間が経過。10月28日に帯糸を出し始めた個体例と比べると,1日と3時間以上遅くなっています。さて,今日蛹化するでしょうか。

たのしみにして待っていましたが,空振りに終わりました。午後8時で,帯糸を紡ぎ出してからちょうど7日が経過。ふしぎです。

この日の最高気温11.4℃,最低気温2.3℃。

11月16日(金)。朝見ると,やっぱり変化なし。午後8時に見ても変わらず。これで帯糸を出して以降8日が経過。

このままの状態で蛹化しないとなれば,寒さが災いした結果と結論付けられます。蛹化すれば,寒さのためにずいぶん遅くなったと考えることができます。いずれになるか,結果をたのしみに待ちましょう。前蛹の気持ちを想像すると,「蛹まであと一歩なのに,もどかしすぎるよ。どうして気温さんは見向きもしてくれないのかな。このまま凍え死にたくない!」なんて思っているんじゃないでしょうか。たとえそうであっても,わたしは,自然のまま,なるがまま,の気持ちです。

今日の最高気温15.3℃,最低気温2.6℃(午前6時38分)(24時現在)。  

11月17日(土)午前6時30分。雨模様。今日現時点での最低気温5.1℃(午前1時13分)。帯糸を出してからおよそ8日と12時間が経過。変化なし。前蛹(矢印箇所)は雨を浴びて寒そう。冷え冷えとした風景です。

午後11時。変わらず。9日と3時間が経過。成長が止まったかとすこしばかり気掛かり。

今日の最高気温15.3℃,最低気温5.1℃(23時現在)。 

 


晩秋,ヒメジョオンを訪れた虫(1)

2012-11-17 | 昆虫と花

ヒメジョオンの花が,道端で名残惜しそうに咲いています。いわゆる,名残り花です。わんさと咲いていた夏の暑い時期と比べると,なんだかやさしそうな咲き方です。白い色が上品さを醸し出している雰囲気さえします。

その花に小さな小さな昆虫が訪れていました。種類も数もごくわずかですが,探せば何とか目に付く程度にはいます。

カメムシの一種。ヒゲナガカメムシかもしれませんが,今のところ同定するまでには至っていません。ネット検索していて,「イネ科植物の穂やキク科植物の花に付き,吸汁します」という解説に出合いました。

ハエがとまっていました。ハナバエの仲間でしょう。眼に花粉を付けています。

どうやらヒメバチ科のオナガバチの一種のようです。ただし,同定はできません。腹の先に付いた長い尾は産卵管です。したがって,メスとわかります。体長より長い産卵管を持っているということは,産卵場所に産み付けるのに威力を発揮するということです。昆虫の幼虫・蛹,またクモなどの卵・成虫を宿主にして,体表や体内に卵を産み付けるといいます。

そのために,宿主をさがして草を徘徊していて,偶然この花を訪れたのかもしれません。

野に咲く白い花は,今は目立ちません。それで逆に,咲いている姿を主張している感じが強くします。目立ちませんが,意外に目立つのです。それが名残り花です。そんな中,昆虫が少なくてもきちんと訪れます。自然はうまくできています。

 

 


ヤドリギに出合う

2012-11-17 | 生物

久し振りにヤドリギに出合いました。

といっても,過去の出合い体験は別種のマツグミです。マツグミとヤドリギは同じヤドリギ科に属します。少年時代は,山に生えたマツを宿主にしたマツグミとしょっちゅう出合っていました。山は生活や遊びと密接につながった場だったのです。落ち葉を集めに山に入る,山遊びで雑木林を訪れる,そんなときにこの実を集めました。ほんとうに久し振りに思い出しました。もっとも,成長してからは青年教師時代,遠足で子等と山登りをした際に見かけたことはありますが。

昔は食べ物が不足していて,マツグミの緑色の実にある肉果を集めてチューインガム代わりにして口に入れ,チコチコしたものでした。そうして,確かにこれは鳥が種子を運んで来て糞とともに落とし,それが樹上で発芽して殖えていくと理解していました。何と巧妙なしくみを備えた,かしこい植物なのだろうかと思ったものです。

それから50年が経ちました。それと同じ種と再会したわけではなく,今度はほんまもんのヤドリギをしっかり観察できたのです。わたしにはこれが本物との初めての出合いになりました。

高原を散策していると,ミズナラらしい木が生えていて,遠くから見ると幹の上の方に団塊状の塊りがあるのが目にとまりました。葉が枯れ落ちている最中に,幹に緑色の塊りが見えたので,一目でそれとわかりました。近づくと,やはりそれです。枝が二又,三又に分かれて,全体として球形の集合体のようになっているのです。

下から見上げると,黄色い大き目の実がたくさん生っていました。「これはスゴイ!」。思わずうなってしまいました。手に取って観察したかったのですが,高いので叶いませんでした。残念!

離れた所にある別の木にもあるのが目に入りました。

ヤドリギの生態には実におもしろい点があります。緑色の葉を持っているので,光合成をする植物だとわかります。したがって,宿主から適当に養分をいただくちゃっかり型の半寄生植物なのです。

実は果実。熟す前は緑色,熟せば黄色。鳥に食べてもらうために目立つ色に変化します。果実の中には,粘着質に包まれた種子が入っています。鳥の口に入って他の木々に運ばれ,糞に混ざってこの粘液とともに種子が排泄され,……。そうして落とされた種子がうまく木にくっ付けば,地面へ落下せずに済みます。

こうして,発芽して成長したのが目の前のヤドリギだったのです。環境に適応して生きる生物の知恵が,ここでも観察できます。すてきな出合いになりました。